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2021-05-28 15:18:00

   衆院文科委員会で質疑  文化庁が見解示す

 

526日の衆議院文部科学委員会で質問に立った浮島智子議員は、現下の入国制限により経営危機に見舞われている日本語教育機関の現状を取り上げた上で、「日本語教育機関は国内の大学や専門学校への進学において極めて大事な存在であり、多文化共生社会の構築にとっても重要。現在の支援策だけでは対応できない」と述べ、先に関係6団体と日本語教育推進議員連盟が加藤勝信内閣官房長官に要望書を提出したことを踏まえ、所管する文化庁の対応を質した。

これに対して文化庁の矢野和彦次長は、前回の萩生田光一文部科学相の国会答弁を踏襲し、まずは雇用調整助成金や新型コロナウイルス特別貸付等、既存の支援制度を活用するよう重ねて求めた。一方で同庁では、日本語教育機関が具体的に困窮している内容について現在聴取を進めているとした上で、①教育の質を担保するためクラスを維持する必要があり、在籍数の減少に応じた教員の休業にも限界がある、②校舎や寮は告示基準上、学生規模に応じた縮小や再拡大が難しく、コロナ後を考慮すると確保しておく必要もある、などの課題を把握していることを明らかにした。

矢野次長はこれらを踏まえ、「国の政策として、日本語教育機関の振興と活用推進を図ることにより、外国人受入れ体制を充実させることは非常に重要であり、今後日本語学校の継続のためにさらにどのような支援が可能であるかについて検討をしていきたい」と述べた。

【衆院文科委員会の質疑内容(概要)

浮島議員:現在、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策が強化され、海外からの入国は制限がされています。外国人の留学生の授業料で経営が成り立っている日本語学校への影響は甚大であり、学生の在籍数は落ち込んでおり、今後の見通しも全く立っておらず、まさに日本語学校は危機的な経営状況にあると言われています。現在、日本語教育推進法を受けて公認日本語教師の資格の創設などに向け、政府が検討している一方で、このままでは経営の悪化により、そもそも日本語学校や日本語教師がいなくなってしまい、今後留学生を迎える際の日本語教育推進にも深刻な影響が出かねないと思います。こうした深刻な状況を伝えるため、512日には日本語教育推進議員連盟と日本語教育機関関係6団体が加藤官房長官のもとへ伺い、要望書を提出しました。今直面しているコロナを乗り越え、日本語学校が今後も継続できるように支援をしていかなければなりません。日本語教育機関は国内の大学や専門学校への進学において極めて大事な存在で、また多文化共生社会の構築にとって重要であり、現在の支援策だけでは対応できないと思います。日本語教育機関の振興と活用推進を図ることにより、外国人受入れ体制の充実を図る必要があると考えますが、文化庁の見解を伺います。

矢野文化庁次長:日本語教育の推進は、多様な文化を尊重した活力ある多文化共生社会の実現に資するものであり、日本語学校はその推進にあたり重要な役割を担っていますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、海外からの学生を受入れることが出来ず、厳しい状況にあると承知しています。政府全体の日本語学校の継続支援対策としましては、例えば新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主に対する雇用調整助成金や、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した法人に対する新型コロナウイルス特別貸付等が利用できる場合があるため、これら各種支援策を最大限、まずはご活用頂ければと考えています。文化庁としては現在、超党派でつくる日本語教育推進議連と共に、要望書を提出された日本語教育機関関係6団体から具体的にどのような点で困っているのか、その現状をお伺いしているところですが、例えば教育の質を担保するため、在籍者が減っていてもクラスなどを維持する必要があり、教室の最大定員20名のところ数名でもクラスを設置する必要があるため、在籍者数減に応じた教員の休業にも限界があるとか、あるいは現在の学生数に応じて校舎・寮を縮小したくても、待機学生が入国制限解除の際すぐに入学してくることを想定し校舎・寮を確保しておく必要がある、コロナ後に備える必要があるということです。また校舎については一度縮小してしまうと再拡大には告示基準上の手続きがあり、簡単に拡大できない、こういった声が届いています。国の政策として、日本語教育機関の振興と活用推進を図ることにより、外国人受入れ体制を充実させることは非常に重要であり、今後日本語学校の継続のためにさらにどのような支援が可能であるかについて検討をしていきたいと考えています。

浮島議員:今、国の政策としてという言葉もありましたが、早急にしっかりと対策を検討し、そしてしっかりとした支援を強く要望します。

 

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