インフォメーション
来年度(令和6年度)から始まる日本語教員の国家試験について、文化庁は先週の日本語教育小委員会で正式な実施日を提示した。第1回目の試験は2024年(令和6年)11月17日(日)に、国が直接運営を担う形で行われる。出題方式は紙ベースとなる。具体的な実施要項等は、先に実施済みの試行試験結果を踏まえて検討の上、4月以降に改めて公表するとしている。
今回は初回となるため国による直接実施という形が採られるが、日本語教育機関認定法においては、文部科学大臣が指定する試験機関に実施事務を行わせることができると定められており、令和7年度試験以降の試験では適切な法人を指定する方向で準備が進められる。また試験方式については、受験機会の拡大を視野に、今後コンピュータを使った試験方式(CBT)が検討される見通しだ。
※試行試験結果を公表 協力者内訳ごとの平均点も明らかに
これに関連し、昨年12月10日に仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の5か所で行われた日本語教員試験 試行試験の結果も明らかになった。試験構成は基礎試験と応用試験(聴解/読解)に分かれ、協力者を務めた1242名の内訳は、①現職日本語教師で教師歴3年以上(417名)、②現職日本語教師で教師歴3年未満(295名)、③養成課程等在籍者で大学院修士課程や大学学部3・4年生等(393名)、④養成課程等在籍者で大学学部1年生や日本語教育機関の養成研修受講開始者等(137名)。
文化庁のまとめによると、全体の平均点は基礎試験が66.97点(100点満点)、応用試験が148.74点(220点満点)だった。協力者の内訳別にみた平均点では、上記①の層が基礎試験70.69点、応用試験159.67点で最も高い。②と③の層は基礎試験がいずれも65点台だが、応用試験では②が148.12点、③が143.10点で5点の差がある。まだ養成課程で学び始めて日が浅い④の層では、基礎試験が61.22点、応用試験が132.99点となっている。全体の最高点は基礎試験が95点、応用試験が206点だった。
なお今回の試行試験においては協力者に対し、試験システムや運営、試験問題等に関する事後アンケートも実施されている。この内、試験問題関連では、試験問題に比して解答時間が「長すぎる」または「とても長すぎる」との意見が基礎試験(120分)で32%、応用試験の読解試験(120分)では70%に上った。また応用試験の聴解試験では、音声が「とてもよく聞こえた」と「聞こえた」が合わせて8割を超えた一方で、「聞こえにくかった」「とても聞こえにくかった」とする人も1割近くおり、今後の運営には課題も見え隠れする。
文化庁では、試行試験に出題された問題の一部と解答を公開している。
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大学等の授業料減免と給付型奨学金制度を組み合わせて支給する、いわゆる修学支援制度について、文部科学省は来年度から対象者を拡大するための省令案をまとめ、民間からの意見聴取手続き(パブリックコメント)に入った。
今回の見直し案では、これまで世帯年収の目安が380万円までとされていた支援対象層を,子供3人以上の多子世帯の扶養親族である学生と、私立の理工農学系の学部・学科に在学する学生についてはいずれも同600万円程度まで拡大する。ただ対象となる学校の要件では、専門学校に関して収容定員充足率が5割を下回っている学校は、他の要件を満たす場合でも適用の対象外とした。但し例外的に、都道府県知事がその学校を、地域で重要な役割を担う専門人材の養成機関として認める場合には、収容定員充足率に関わらず支援対象とする方針も盛り込んだ。また大学や短大、高専等に関しては経常収支差額、資産及び定員充足率(8割以上)の3要件を課すが、直前年度の定員充足率が5割以上で、かつ卒業生の進学・就職率が9割を超えている場合には特例の対象とする。
一方、外国籍者に関しては目下、修学支援制度の支援対象となっているのは、▶特別永住者や永住者、▶日本人の配偶者等、▶永住者の配偶者等、▶在留資格「定住者」の内、将来日本に永住する意思がある人、に限定されている。これらに加えて新たな省令案では、「家族滞在」の在留資格で日本に在留する学生も、来年度から一部を対象とする方針が明記された。具体的には、①日本国内で出生したか、或いは12歳に達した日の属する学年の末日までに初めて日本へ入国した者、②日本の小学校等から高校等までを卒業・修了している者、③大学等を卒業・修了後も日本で就労し定着する意思がある者、を全て満たすことが条件となる。
文科省では同案に対するパブリックコメントを、3月15日まで受け付けている。
★中国籍留学生の進学先 大学・大学院が75%~日振協調査
先月末時点で日本語教育機関226校が加盟している〈財〉日本語教育振興協会は、令和5年7月1日時点における加盟校の学生数や進学状況等に関する概況をとりまとめ、公表した。それによると加盟校全体の学生比率は出身国別で、中国31.8%、ネパール23.2%、ベトナム12.6%、ミャンマー6.3%、スリランカ4.7%、バングラデシュ3.8%等となっている。学生の実数は前年度より1万人以上増の3万7384人で、コロナ禍の水際対策終了によるプラス効果が数字にも現れた形だ。
同時に日振協では、令和4年度の在籍学生の進路状況も調査しており、加盟校の修了者1万1108人の内、進学が確認されたのは8306人で、数字上の進学率は74.8%だった。進学者を出身国・地域別でみると、中国出身者(4770人)は大学・大学院への進学者が76%(3621人)を占める。ベトナム出身者(1168人)は専門学校進学者が78%(909人)だが、一方で大学・大学院へ進学した者も2割(233人)に達するなど、年々厚みを増しつつある。進学率が95%と極めて高かったネパール出身者(757人)の主要な受け皿となったのも専門学校で、進学先に占める比率は96%だった。
★ウクライナ避難民の親族にも数次短期ビザを発給へ
外務省は、ウクライナ国民に対する訪日ビザ(査証)の発給要件を緩和する方針を決めた。岸田文雄首相らが参加しこのほど東京都内で開催された日・ウクライナ経済復興推進会議を踏まえ、人的交流を含む双方の二国間関係をさらに強化する方針だ。商用目的で来日するウクライナ企業の常勤者向けに発給要件を緩和するほか、日本に滞在中のウクライナ避難民の親族について、知人・親族訪問等を目的とする「数次短期滞在ビザ」の発給対象に加える。
具体的な運用の開始時期については外務省が検討中で、今後改めて公表する。
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国内外で実施される日本語試験の中で最大規模の受験者数を擁する日本語能力試験(JLPT)を、国際的な言語評価の共通指標であるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に対応させるための検討が進んでいる。試験の実施元である日本国際教育支援協会等は昨夏、JLPTの試験結果にCEFRレベルの参考表示を追加する計画を明らかにしたが、このほどその具体的な手続きのプロセスが明らかになった。
CEFRは欧州域内の言語学習・教育における共通評価の枠組みとして定着しており、日本の文化庁は2021年時点でこれを参考に策定した「日本語教育の参照枠」を公表済みだ。今後は同参照枠をCEFRに直接対応付けすることにより、JLPTを始めとした日本語試験の国際的な位置づけが明確になることが期待されている。例えば「JLPTのN3を受験し、××点を取得した受験者は、CEFRレベルではB1到達に相当する」というような関係性を明らかにし成績表にも記載することにより、日本語試験の受験者がグローバルな場でも自らが取得した資格レベルを活かせるようになることが見込まれる。
今回、同協会ではJLPTをCEFRに対応させるための手順を公表した。JLPTの得点上にCEFRの境界点を設定する「基準設定」の手続きが柱となり、学習者や受験者、言語教育の専門家ら10人以上の専門家で構成されるグループが検討作業に携わる。基準設定にあたっては問題の難易度や正答率など、試験問題をベースに合否の境界を定めていく方法のほかに、受験者中心の立場から試験の得点を基準とする方法もあるといい、どのアプローチを採るかに関する検討が行われている。
現状では特定技能外国人や新たに創設される育成就労制度で対象者に求める日本語能力に関し、CEFRを参考にした「日本語教育の参照枠」の基準が、JLPTの基準等と共に併記されるなどの例があるが、日本語試験をCEFRに直接対応付けした報告例はまだ少ない。国内外で最もスタンダードな日本語試験と位置付けられるJLPTの対応付けに向けた議論の帰趨は、他の日本語試験にも相応の影響を及ぼしそうだ。
日本国際教育支援協会等では今後慎重な検討を進め、2024年度中にもJLPTのCEFR対応付けに向けた正式な手続きを行う予定で、2025年度の第1回試験(7月試験)以降は、各レベルの総合得点に対応するCEFRレベルが、成績表に参考表示されるようになる見通しだ。
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留学生がアルバイト等のために申請する資格外活動許可について、出入国在留管理庁は年明け以降オンラインで申請し郵送で受け取ることができるようになったとして、活用を呼び掛けている。
現在、在留期間の更新や在留資格の変更に関する許可申請等は、入管庁が運用する「在留申請オンラインシステム」を通じて行うことが可能で、所属機関職員のほか、留学生本人もマイナンバーカードを所持していれば、地方入管局の窓口へ出向かなくてもオンライン上で手続きができる。申請結果は電子メールで通知され、それを受けて申請者が在留カード等を郵送すれば新しいカード等が送られてくるしくみだ。
従来、資格外活動許可申請はこれらオンライン手続きとは別に、入管庁へ出頭して受け取る必要があったが、同庁では今年1月から郵送で受理できるよう運用を改めた。ただオンラインによる資格外活動許可申請は、在留期間更新や在留資格変更の許可申請等と同時に行う必要がある。システムでの申請時に、「受領方法」で「郵送」を選択すると審査完了後にメールで案内が届き、同案内に従い必要書類を簡易書留かレターパックで入管庁に郵送する。
なお資格外活動許可を地方入管局の窓口で受け取る場合には、従来通りパスポートに証印シールが貼付されるが、オンライン手続きにより郵送で受け取る場合、証印シールの代わりに「資格外活動許可書」が発行される。同許可書には本人の氏名、国籍、住居地、旅券・在留カード番号、在留資格と在留期間等のほか、許可された資格外活動の内容と期限が明記される。
実際にアルバイトを始める際には、雇用主が許可の有無を確認するので、在留カード裏面(資格外活動許可欄の記載)と併せ、資格外活動許可書又は証印を提示する。取得した資格外活動許可書はパスポートにホッチキス留めするなど、紛失しないよう注意が必要だ。
★国立大学法人の授業料・検定料など柔軟設定を容認へ
文部科学省は国立大学法人が設置する大学と専修学校(専門課程)が、必要に応じて外国人留学生の授業料(年額)や入学料、入学検定料を柔軟に設定できるよう特例を設ける。現行の「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」が一部改正される見通しで、同省では新たな省令案に関するパブリックコメントを今月22日まで公募している。
同省例では現在、国立大学における授業料等の額を、学部、大学院研究科など設置区分ごとに厳密に定めている。政府の教育未来創造会議は昨春の第2次提言(J-MIRAI)で、国立大学法人における留学生受入れの質の向上を図るため、授業料の設定を柔軟化するよう促していた。文科省では意見聴取手続きを踏まえ、4月1日からの施行を目指す。
なお新たな省令案ではこのほかに、国立大学法人が外国に国立大学の学部、学科又は研究科を設ける場合に、所在国の他大学の事情等を考慮した上で、授業料や入学料、入学検定料を定めることができるとする特例も盛り込んでいる。
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今春、日本国内の大学や専門学校を卒業後に日本企業等への就職を予定している留学生は、年度末に向けて在留資格変更の手続きがピークを迎える。特に卒業前後の3、4月は申請が集中することが見込まれるため、出入国在留管理庁では早めに手続きを行うよう留学生らに呼び掛けている。
例年、留学生が就職する際に申請する在留資格の9割以上が「技術・人文知識・国際業務」だが、最近は「特定技能1号」への移行を希望する人も一定数に上る。「特定技能1号」に在留資格変更許可申請を行うに当たっては、いくつか注意を要する事項がある。
まず提出書類の中には、就職する特定産業分野ごとに求められる所定の書類のほか、税金関係(国税・地方税)、国民健康保険、国民年金保険料の納付をそれぞれ確認できる書類が含まれており、在学時のアルバイトの状況によっては確定申告や納税証明書も必要となる。この点は在留資格「技術・人文知識・国際業務」等とも共通する義務事項だ。
一方で両資格において異なるのが、家族滞在の扱いである。「技術・人文知識・国際業務」の場合、本人の扶養を受ける配偶者又は子に関し、「家族滞在」で在留することができるが、「特定技能1号」にはこうした運用がない。ただ留学生から移行の場合には、在学中に扶養対象家族を「家族滞在」者として呼び寄せていることがあり、こうしたケースでは本人が「留学」から「特定技能1号」への在留資格変更を申請する際に、家族も「特定活動」への在留資格変更を申請することで引き続き日本に在留することが可能だ。手続きは居住地を管轄する各地方出入国在留管理局・支局が行う。
各地方入管局等では留学生の就職に関する事前相談の窓口も設けており、留学生本人のほか、教育機関関係者や留学生の雇用予定企業関係者からの相談にも応じている。
※記事内容の一部訂正について
本紙1月31日号配信の「EJUの基礎学力科目 26年度からシラバスの一部改訂へ」において、「日本学生支援機構(JASSO)が年度明け4月頃を目途に、具体的な日程と改訂案を公表する」と記載しましたが、正しくは「日程と改訂案の公表時期をお知らせする」でした。お詫びして訂正いたします。
(再掲)EJUの基礎学力科目 26年度からシラバスの一部改訂へ
日本留学試験(EJU)の基礎学力科目について、2026年度からシラバス(出題範囲)が一部改訂されることになった。2018年時点で日本の高校における学習指導要領が告示されたのに伴う措置で、EJUの試験科目の内、「理科」、「総合科目」及び「数学」が改訂の対象となる見通し。「日本語」科目のシラバスには変更は行われない。
実施元の日本学生支援機構(JASSO)では、年度明け4月頃を目途に、正式なシラバス改訂に係る日程と改訂案の公表時期をホームページでお知らせするとしている。
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