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新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言解除に伴い、菅義偉首相は国際的な人の往来再開を視野に、留学生等に対する入国制限緩和も検討していく方針を明らかにしたが、28日の首相会見直前に開催された新型コロナウイルス感染症政府対策本部の配布資料にも、新規入国の再開を含めた水際措置の段階的な見直しが盛り込まれていたことがわかった。
同資料によると、現在一時停止されている外国人の新規入国について、「国内のワクチン接種の進捗状況、海外での感染状況等を見ながら、ワクチンの有効性なども踏まえ、行動管理や検査も組み合わせた管理措置による入国の検討」を進めると明記。コロナウイルス対応においても、すでに日本国内における主要な流行株に置き換わったとみられるデルタ株に代わり、ワクチン効果が不明なベータ株等や、新たな変異株であるミュー株等の流入を防ぐ対策に力点を置く方針が打ち出されている。
政府が明日(10月1日)から始める新たな水際対策では、ワクチン接種証明書の提示により、入国後の自宅や指定宿泊施設等における待機措置を一部緩和する措置がスタートする。こうした取り組みをベースに、今後、留学生ら新規入国者の受入れ再開にあたっても、海外におけるワクチン接種歴等を活用した「管理措置」の枠組みが検討される可能性がある。
★「日本留学アワーズ」大賞を発表
(財)日本語教育振興協会による2021年「日本留学アワーズ」の最終結果がこのほど発表された。同アワーズの選考は例年、全国の日本語学校の教職員から「留学生に勧めたい進学先」をアンケートで回答してもらう方法で、今年は全国166校より450票が集まったという。国公立大学、私立大学(文科系、理工系)、専門学校(技能・技術系、社会・文化系)など各部門別に東西地域選出のトップ校10校を選出し、さらに大賞1校が選ばれる仕組みだ。
今年私立大学で大賞に選ばれたのは、文科系部門が拓殖大学(東)と流通科学大学(西)、理工系部門が東京理科大学(東)と立命館大学(西)で、専門学校は技能・技術系部門が日本電子専門学校(東)と専門学校トヨタ名古屋自動車大学校(西)、社会・文化系部門は専門学校東京国際ビジネスカレッジ東京校(東)と専門学校エール学園(西)だった。国公立大学部門では横浜国立大学(東)と神戸大学(西)が大賞に選出された。
これら受賞校の内、専門学校東京国際ビジネスカレッジ東京校と横浜国立大学は、5年連続の大賞に輝き、アワーズの規定に則り新たに「殿堂」入りとなった。
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菅義偉首相は緊急事態宣言解除に伴う28日の会見で、新型コロナウイルス感染症の水際対策により新規入国を停止中の外国人留学生について受入れ再開の見通しを問われ、「外国人留学生の新規入国については現在原則一時停止しているが、(外国人留学生の受入れは)大学等の国際化や教育・研究力を向上させる観点から重要だと考えている」とした上で、「国際的な人の往来については、制限を緩和していく方策をこれから積極的に検討していきたい。留学生の入国についても、国内におけるワクチン接種の進展や国内外の感染状況を踏まえながら、ここは前向きに検討していきたいと思っている」と明言した。退任直前とはいえ、首相自身が留学生の受入れ再開に直接言及したことで、関係省庁間における検討が今後本格的に進むことが期待される。
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~政府、10月1日より実施の方針~
政府は10月1日0時より新型コロナウイルス感染症に対する水際対策を一部変更し、入国者に求めている指定宿泊施設や自宅等における待機措置を、ワクチン接種証明書の所持者について緩和する方針を決めた。全国における緊急事態宣言が今月30日に解除される見通しとなったことも踏まえた措置だが、対象となるワクチンや国・地域の範囲は限定的で、来日・再来日を予定している留学生等に対する更なる緩和が待たれる。
新たな水際対策措置では、現在原則として入国後14日間求めている自宅等での待機期間について、ワクチン接種証明書を所持しており、同10日目以降自主的に受けた検査で陰性が証明された場合、それ以降の待機を免除し、実質10日間に短縮する。また現行ルールでは、政府が変異株の流行国・地域と指定したエリアについては、入国時に指定宿泊施設における6日間か3日間の待機を義務付けているが、この内、10月1日から待機期間が3日間となる33か国・地域については、ワクチン接種証明書の所持を条件に、宿泊施設等での待機を免除する。つまり3日間待機か自宅等待機の対象者については、ワクチン接種証明書の提示と入国10日目以降の陰性証明により、待機期間が最短10日間に短縮されることになる。
※ワクチン接種証明書の対象は限定的
今回の水際緩和の対象となるワクチン証明書は、日本国内だけでなく外国で発行されたものも有効となる。ただワクチンはファイザー、モデルナ、アストラゼネカのいずれかを2回以上接種し、2回目の接種日から14日以上経過していることが条件。証明書の記載は日本語か英語で、それ以外の言語には翻訳を添付し、氏名、生年月日、ワクチン名(メーカー)、接種日、接種回数が明記されている必要がある。
またワクチン接種証明書は所定の国・地域の公的機関が発行したものに限定されていて、アジア地域で有効とされているのは香港、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、スリランカの7か国・地域のみ。例えばアストラゼネカから技術供与を受けてインドで製造されている「コビシールド」や、WHO(世界保健機関)が緊急使用リストに追加済みの中国製不活化ワクチンについても、厚生労働省は現時点でワクチンとして認めておらず、今回の制限緩和の対象外とされている。
※宿泊施設待機の対象・期間を変更
水際対策の一部緩和と並行して、政府は指定宿泊施設等での待機を求める変異株流行国・地域について9月30日0時以降、適用エリアも変更した。アフガニスタン、キルギス、スペイン、ネパール、ミャンマーの5か国は3日間待機から「待機なし」に変更となったが、フィリピンやブラジル、ペルーなど9か国は待機期間を6日間に延長し、アルバニアとギニアも「待機なし」から3日間待機へと変更された。
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~外国人留学生高等教育協会が官房長官に要望~
全国の専門学校や日本語学校等、187校で組織する外国人留学生高等教育協会(外留協)は、留学生の入国規制緩和とワクチン接種支援に関する共同要望書を、菅義偉首相と加藤勝信官房長官あてに提出した。外留協によれば、全国の関係各団体に共同要望を広く呼び掛けたところ、27団体から賛同が寄せられ、24日に正式な要望へと至った。
当日、外留協側からは日本語教育機関が直面している窮状と、大学や専門学校等に今後及ぼす影響、及び将来的な高度外国人材確保への懸念などを説明。入国時のワクチン接種証明の提示や、新規入国留学生へのワクチン接種支援など万全の防疫措置を講じた上で、入国制限緩和を行うよう要請した。要望書を受け取った加藤長官は現状の政府対応と今後の経過予測について見解を述べたという。
目下、主要先進7か国(G7)の中で、コロナ禍とはいえ留学生の新規入国を原則禁止しているのは日本だけであり、在留資格認定証明書を申請・取得しても査証(ビザ)が発給されずに来日できずにいる留学予定者は2万人を超えると推定される。
先月来、介護人材養成機関や日本語教育機関等の関係団体からは、留学生の入国制限緩和を求める要望が相次いでいる。依然として新型コロナウイルス感染症の脅威は続くが、ここにきて日本国内におけるワクチン接種率の高まりと、新規感染者数の大幅な減少も相まって、制限解除への環境は整ってきており、今後の政府の対応に注目が集まる。
~文科省が国公私立大学向けに配慮求める通知を発出~
文部科学省大学振興課は、留学生の受入れ先の内、日本への渡航を伴う外国人入学者選抜を今年度中に実施する国公私立大学に対して、受験機会の確保を徹底するよう求める通知を発出した。新型コロナウイルス感染症向けの水際対策に伴い、目下、留学生ら外国籍者の新規入国が一時停止される状態が続いていることを踏まえた措置で、ICT(情報通信技術)の活用によるオンライン入試や授業の実施を提言している。
具体的にはすでに出願を開始済みの大学に対して、入国できない志願者が受験機会を失うなど不利益を被ることが無いよう、ICTを活用したオンライン試験等の代替措置を講じるよう要請。受験科目に学力検査や小論文を設けている場合には不正防止策への目配りも求め、運用例として、①試験開始前に写真付きの身分証明書を撮影させることで本人確認を徹底、②受験場所全体を撮影させる、③試験時間中はマイク機能をオンの状態にしておく、などを列挙した。
さらに同通知では、入国制限が今後、志願者の入学時期まで継続される事態も想定した上で、入国可能になるまではICTを活用した授業を行うことや、入学時期を遅らせるなど柔軟な対応策をあらかじめ検討しておくことも各大学に求めている。
これに先立って今年6月に制定された「令和4年度大学入学者選抜実施要項」では、コロナ拡大抑止の観点から外国人入学志願者の選抜については、ICTを活用したオンライン試験の実施等、「可能な限り渡航を伴わない方法により実施する」方針が明記されていた。
有力大学の中にはすでにこうした方向性に沿い、日本留学試験(EJU)の結果やオンライン面接等による選抜を行う方針の大学のほかに、現時点ではあくまでも来日した上での受験を求めている大学もある。本格的な入試シーズンが迫る中、今回の文科省通知を受け、対応を見直す大学も出てきそうだ。
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