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~日本語教育機関の関係6団体が賛同校を募集〜
日本語教育機関の関係6団体は、留学生に対する入国制限の早期緩和を求める嘆願書を近く、菅義偉首相に提出する方向で準備を進めている。計画によると、趣旨に賛同する日本語教育機関名を列記し、6団体が連名で嘆願を行う予定だという。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、今年1月13日より外国人の新規入国が原則禁止されて以降、留学生の入国も、在留資格を所持する再入国者や「特段の事情」によるケースを除き、基本的にストップしたままとなっている。この間、日本語教育機関の在籍者数は大幅に減少しており、6団体が先に行った経営実態調査では、このまま入国制限が続けば、半数以上の教育機関が1年以内に事業継続が不可能になると回答した。
日本語教育機関側はこれまで関係省庁や官房長官などに、制限緩和等に関する陳情を重ねてきたが、コロナ感染の再拡大もあって、具体的な成果を得られておらず、さらに強い要請を行う必要があると判断した。
提出を予定している嘆願書では、コロナ禍の中でもG7各国や韓国などが水際対策を工夫しつつ、すでに留学生の受入れを再開している現状に触れ、日本だけが入国制限を続ける中、制限緩和を心待ちにしていた留学予定者たちの間でも、留学先を他国に変更する動きが加速していると指摘。現在の入国制限措置が継続されれば、①日本語教育機関が各国と連携して築いてきた募集基盤と、日本語教育インフラが崩壊、②日本語教育機関の事業継続が決定的に困難化、③高等教育機関への進学希望者や日本企業への就職希望者などの受入れ窓口としての機能が崩壊・消滅、等の事態を招く、として、「留学生の早期の入国制限緩和の実施」を切望している。
6団体は現在、今回の嘆願に賛同する日本語教育機関を募っており、賛同校は関係6団体のホームページから所定のパスワードでアクセスの上、学校名など必要事項を記載し送信する。期限は今月13日まで。(留学生新聞ニュース)
文科相、入学時期見直しや寄付・投資環境の整備を課題に挙げる
英国タイムズ紙が発行する高等教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」が、恒例の「世界大学ランキング(2022年版)」を公表した。同ランキングは、数ある類似のランキングの中でも、最も信頼度が高い一つと位置付けられている。国際的な研究論文の発表数に加え、留学生や外国人教員の比率など「国際性」に評価の大きなウェイトが置かれているとされ、各国教育機関のグローバル化の程度を測る目安としても注目を集める。
今回THEにランク入りした1662校中日本の大学は118校となり、国別のランク大学数では米国に次ぎ世界第2位だった。とはいえ、個別大学で上位100位以内に入ったのは、昨年同様、東京大学(35位)と京都大学(61位)の2校のみで、500位以内も東北大学、大阪大学、東京工業大学、名古屋大学、産業医科大学、横浜市立大学を含めた8校にとどまっている。
こうした評価について萩生田光一文部科学相は3日の定例会見で、「公開されている指標のスコアを見る限り、産業界からの収入面や国際面などで(日本の大学の)数値が上がっている」とする一方で、問題点として①論文の引用数の評価が低い、②留学生や外国人教員比率などの指標で構成される国際面の評価でスコアは上昇しているものの、相対的にはなお低い、などの受け止めを明らかにした。この内①については英文で発表された論文でなければ対象になりにくい点や、国際論文に引用されやすい理系・科学技術系の学部と研究者・学生が少ない日本の現状をネックに挙げた。また②に関しては「留学生や外国人に日本で働いてもらう環境を考えた場合に、日本の4月入学、3月卒業という制度は国際スタンダードからみて、人流が難しい環境にある」と指摘。こうした制度上の課題などについて、教育再生実行会議の後継となる会議の場で議論されることへの期待を示した。
萩生田文科相は同時に、安定した研究環境の確保には、海外の大学のように寄付や投資による好循環が必要だとして、新たなスキームとして設けた10兆円規模の大学ファンドなどにより大学や研究者への投資を促進するとともに、寄付税制の見直しも検討課題に挙げた。
※中国の北京大・清華大がトップ20入り アジアの大学が躍進
一方、2022年版THEで躍進したのが中国とアジアの大学だ。前回も上位に食い込んだ北京大学と清華大学が揃って16位となり、アジアの大学中トップの座を維持したほか、21位にシンガポール国立大学、30位に香港大学が入った。国際性を強みとする大学が上位に来やすいとされるTHEの特色を反映し、南洋理工大学(46位;シンガポール)、香港中文大学(49位)など、留学生数が多く国際的な研究投資も盛んな香港とシンガポールの大学が、トップ100校中計6校と、中国本土(6校)に肩を並べているのも特筆される。
中国本土の大学は300位以内に22校、500位以内で24校と、いずれも数字上は日本の大学(300位以内3校、500位以内8校)を大きく引き離した。近年、英文による学術論文の発表数が大幅に増加中であることや、途上国からの留学生受入れなど国際化を強化してきたことも作用したとみられる。台湾からは、台湾大学が113位に入った。
中国(香港・マカオ含む)の大学で世界300校以内にランクされたのは、下記の19校となる。
大学名 |
所在地 |
THE世界ランキング |
01北京大学 |
北京市 |
|
01清華大学 |
北京市 |
16位 |
03香港大学 |
香港 |
30位 |
04香港中文大学 |
香港 |
49位 |
05復旦大学 |
上海 |
60位 |
06香港科技大学 |
香港 |
66位 |
07浙江大学 |
浙江省 |
75位 |
08上海交通大学 |
上海市 |
84位 |
09中国科学技術大学 |
安徽省 |
88位 |
10香港理工大学 |
香港 |
91位 |
11南京大学 |
江蘇省 |
105位 |
12香港城市大学 |
香港 |
151位 |
13武漢大学 |
湖北省 |
157位 |
14南方科技大学 |
広東省 |
162位 |
15華中科技大学 |
湖北省 |
181位 |
16マカオ大学(澳門大学) |
澳門 |
201-250位 |
17北京師範大学 |
北京市 |
251-300位 |
17澳門科技大学 |
澳門 |
251-300位 |
17中山大学 |
広東省 |
251-300位 |
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12月5日に予定されている日本語能力試験(JLPT)で、インドネシアとマレーシアの計10会場における実施が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止されたことがわかった。
インドネシアで中止が決まったのは、スラバヤ、ジョグジャカルタ、パダン、デンパサール、マラン、スマラン、マカッサルの計7会場。当初計画の12会場の内、ジャカルタ、バンドン、メダン、マナド、パレンバンの5会場については、今のところ実施予定は変わっていない。
またマレーシアでは、予定5会場の内、イポー、コタキナバル、ジョホールバルの3会場が中止となり、実施会場は現時点でクアラルンプールとペナンを残すのみとなった。
東南アジアではすでにフィリピンの全4会場でもJLPT中止が決まっており、感染状況が落ち着く兆しが一向に見えないから、今後中止エリアがさらに広がる可能性もある。
今年6月に行われた日本留学試験(EJU)の実施結果が判明した。日本学生支援機構(JASSO)のまとめによると、受験者は日本国内が1万2576人、国外が3591人の計1万6167人。入国制限の影響などで、昨年度11月試験と比べ3割強減少している。
日本国内受験者の出身国・地域別内訳を見ると、中国出身者が9836人で8割近く(78%)を占めたほか、ベトナム(1050人)、ネパール(264人)、韓国(239人)、インドネシア(169人)、台湾(152人)、ミャンマー(149人)、香港(122人)等、8か国・地域が受験者数100名以上となっている。
大学や専門学校の2022年度留学生入試においては、これら国内受験者と今年11月試験の受験予定者が、入学予備軍の基数となる。
また国外は、コロナ拡大の影響により台湾やベトナム等の計9都市で試験が中止されたため、最終的な受験者は、韓国(ソウルと釜山の2都市)の2742人を始めとして、香港451人、モンゴル235人、インドネシア(2都市)149人等にとどまった。
科目別の状況では、受験者数が1万5919人と最多の「日本語」科目(400点満点)は、「聴解・聴読解」と「読解」の合計平均点が245・4点で、得点分布で最も多かったのが200-209点(911人)と190-199点(899人)の層だった。受験者の過半数(8066人)が240点以上で、上位3分の1に絞るとほぼ280点以上の得点者(5129人)に相当する。別途採点される「記述(50点満点)」は平均点が34・4点だった。
一方、「日本語」以外の科目では、平均正答率が「総合科目」と理科の「生物」で6割台、理科の「物理」、「化学」及び「数学(コース2)」が5割台となっている。文科系受験者を主対象とする「数学(コース1)」は49・1%と最も正答率が低かった。コロナ禍に伴う様々な制約もあり、学科試験対策が思うように進まなかった状況が見て取れる。
★留学予定者向けワクチン接種事業 新規受付を終了へ
今秋までに海外留学を予定している12歳以上を対象に行われてきた「留学予定者ワクチン接種事業」が今月10日以降、相次いで新規の申請受付を終了する。同事業は、接種希望者にまずメールで文部科学省に「ワクチン接種案内」の申請を行ってもらった上で文科省が接種会場を割り振り、これに基づいて本人が指定会場に予約する仕組みにより行われているが、今月10日(金)をもって「ワクチン接種案内」の新規申請受付を終了する。この内、18歳以下の高校生等については24日(金)まで受付が継続されるという。文科省によれば1日時点で同接種を行っているのは、国際医療福祉大学、東京大学、京都先端科学大学、大阪商業大学の全国4会場で、4日以降に2大学が加わる予定だ。
なお渡航先で必要となる「ワクチン接種記録保有証明書(英語)」の申請は、引き続き文科省で受け付ける。
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文科省の令和4年度概算要求 概要が判明
文部科学省は令和4年度予算の概算要求に、大学等の留学生交流予算として、対前年比6億円増の341億円を盛り込んだ。「留学生30万人計画」の検証結果を踏まえ、学生の派遣・受入れの両面で質の高い国際流動性の確保に取り組むとしている。この内、受入れ面では優秀な留学生の戦略的な獲得をめざし、293億5千万円を計上した。
内訳は外国人留学生奨学金制度が対前年度予算比1億円増の226億円、日本学生支援機構(JASSO)の留学生事業向け運営費交付金が同2億円増の63億円などとなっている。奨学金関係では国費外国人留学生制度に1万1371人、学習奨励費(留学生受入れ促進プログラム)に7420人分をそれぞれ想定する。JASSO事業については、留学生宿舎の運営、奨学金の支給等の他に、日本留学試験(EJU)のコンピュータ試験化に向けた予算も含まれる。
また国立高等専門学校の国際化を目指す枠組みにおいては、「KOSEN(高専)の海外展開と国際標準化」を目指し、モンゴル、タイ、ベトナムの重点3か国で、留学生への日本語教育体系を強化するための予算措置を講じる。タイでは日本型システムを導入した高専がすでに2校開校していて、同国から日本への留学生受入れをさらに拡充する意向だ。
一方、「大学の世界展開力強化事業」と銘打った新規事業(要求額5億円)では、コロナ禍で留学生市場がリセットされ、オンライン活用の普及や英語圏優位からの変化がみられるとして、英語圏からの優秀な留学生獲得に向けた支援策を模索。豪州、インド、英国との2国間以上で行われる双方向型の大学間・学生交流プログラム(16件、1件あたり3千万円)を採択・支援する方針も打ち出した。
全般的に、既存の留学生支援策と併せ、中長期留学や学位取得型留学へと繋げていくための、オンライン交流や短期留学にも目配りした予算編成となっている。コロナ禍で留学希望者の状況も変化する中、新たな留学生層の掘り起こしが当面の政策目標となりそうだ。
★在留手続きのデジタル化推進にも予算措置
法務省の令和4年度概算要求概要も明らかに
法務省は令和4年度予算における同省の概算要求(概要)を公表した。新設のデジタル庁所管分も合わせると、今年度予算比で617億円の増額要求となる8469億円が計上されている。この内、「外国人材の受入れ・共生社会の実現に向けた取組の推進及び出入国在留管理体制の強化」が重点事項の一つに掲げられ、279億2500万円が盛り込まれた。
具体的には政府が先に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対策」で課題に挙げた、①特定技能外国人のマッチング支援充実、②外国人在留支援センターにおける効果的支援の実施、③不法滞在者に対する長期収容等の課題解消、④在留手続きにおけるデジタル化推進等の施策充実、への対応などが念頭にある。外国人受入れのための環境整備と相談体制の強化、及び出入国在留管理体制の強化を行うための予算という位置づけになる。
同時に「矯正・出入国在留管理施設等の環境整備」にも385億円あまりが計上された。先に名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人女性が死亡した事案等を踏まえ、収容施設における適切な医療体制の整備に努めるとしている。
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