インフォメーション
~岸田首相、「G7並みの円滑な入国へ、さらに緩和進める」~
岸田文雄首相は31日午前、対面での公務を再開するにあたって会見を行い、新型コロナに対する当面の政府方針を明らかにした。この中で水際対策に関し、9月7日より入国者数の上限を一日あたり5万人に引き上げるとともに、全ての国を対象に、添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国を可能とする考えを明らかにした。個人観光の解禁には言及しなかった。今後については「G7並みの円滑な入国が可能となるよう、さらに緩和を進めていきたい」と述べた。
また首相は、入国時の検疫手続きを簡素化する「ファストトラック」に必要な、健康居所確認アプリ「My SOS」を改善し、「空港での入国手続き円滑化を行う」考えも表明した。
※7月の一日あたり入国者は1万4千人、本格回復には追加緩和が不可避
政府は目下、海外から入国・帰国する人向けの水際措置として、入国者数の一日あたり上限総数について2万人を目途として設定しているが、出入国在留管理庁によれば、7月の入国者は単日平均値で1万4345人となっている。この内訳を見ると、日本人渡航者で帰国した人が8581人、外国人の再入国者が2170人で、これらを除く外国人の新規入国者は一日あたり3594人となっている。
新規入国者(単日平均値)の内訳では、短期滞在が2149人、技能実習が407人、留学が330人などとなっていて、留学は4月のピーク時に1500人を超え、5月も千人近くに達したが、入学シーズンの経過とともに、現在の水準に落ち着いた形だ。
現状では入国者の上限数が5万人に引き上げられたとしても、すでに留学や技能実習などの中長期在留者については、水際緩和前における入国待機組の内、相当割合が入国済みであり、今後も大幅に増えるとは言い難く、回復のカギを握るとみられるのは観光客だ。政府は6月より、添乗員付きの団体観光に限り入国を解禁したが、翌7月の入国者は一日あたりわずか225人に止まっている。当初、日本への旅行を希望していた外国人の間では、複雑なビザ申請手続きや防疫措置に加え、個人旅行が制限されていることから、日本を敬遠する傾向も顕著だという。
岸田首相は「G7並み」の水際措置を標榜する一方で、感染状況をにらみながら小出しの緩和を続けており、入国者総数引き上げが入国者数自体の本格回復につながるまでには、もう一段の追加措置が求められそうだ。
*********************************************************
~受入れ・送り出しの両面を視野 教育未来創造会議で来春までに具体策~
岸田文雄首相は29日、留学生受入れ戦略の柱となってきた「留学生30万人計画」について、見直しに向けた具体策の検討を永岡桂子文部科学大臣に指示した。
内閣官房の関係筋によれば、この中で岸田首相は「コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資具体化に向け、現在の留学生30万人計画を抜本的に見直し、留学生受入れだけでなく送り出しを加えた、新たな留学生受入れ・送り出し計画を策定すること」を求めたという。
同時に首相は、「留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備と、教育の国際化の促進」について、教育未来創造会議で具体策をとりまとめるよう指示した。とりまとめのスケジュールについては、G7サミットの開催を見据え、来春までを目途とする。
外国人留学生の受入れに関して、政府は2008年に当時の福田康夫内閣が打ち出した「留学生30万人計画」に基づき、受入れ拡大を推進した結果、留学生数は2019年に31万2千人といったんは目標を達成した。だがその後、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、来日者数が激減したことで再び大台を割り込み、直近の昨年5月時点では24万2千人まで減少している。文部科学省では先に発表した「高等教育を軸としたグローバル政策の方向性」において、5年後の2027年を目途に、受入れ留学生数を「少なくともコロナ禍前の水準に回復」させると謳った。
内閣官房の関係筋は30日、『留学生新聞』の取材に対し、今回の首相指示では留学生の新たな受入れの数値目標などには言及しておらず、具体的な中身は今後、関係閣僚や有識者を交えた同会議において議論が進められるとの見通しを語った。
★アフガン人133名を難民認定~昨年8月からの1年間
葉梨康弘法務大臣は26日の会見で、昨年8月から今年8月20日までの間に、日本への退避を希望するアフガニスタン人の内、133名を難民と正式に認定したことを明らかにした。アフガン難民をめぐっては直近の3週間で、大使館関係者など98名が認定されたとの情報があり、日本政府が短期間の内に特定国からこれだけ多くの難民認定を行うことは極めて異例といえる。
葉梨大臣は昨年8月以降に「申請を受け付けたのが143人」だったとした上で、「最新のアフガニスタン情勢を踏まえると、難民認定申請がなされた場合には、難民と認定すべき者は適切に認定していかなければならない」と述べた。
***************************************************************
~出身国(地域)別内訳が判明 ネパール2万人、ベトナム1万人が続く~
今年上半期(1-6月)の半年間で、新たに来日した外国人留学生(10万5032人)の内、中国出身者が約3万5千人(3万4499人)に上り、全体の32.8%を占めたことがわかった。中国に、ネパール(2万1270人)、ベトナム(1万850人)の両出身者を合わせた3か国の比率では6割を、さらに韓国(6563人)も加えると7割近くに達する形となっている。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、政府は一昨年から2年近くに渡って行ってきた新規留学生らに対する入国制限を今年3月に緩和した。「解禁」当初は、待機留学生の来日が相次いだこともあり、来日者の出身国籍は世界各地に分散化する傾向もみられたが、入国ラッシュを迎えた4、5月以降は、もともと留学生在籍数が多かった国・地域からの入国が急増している。
主要4か国以外で、今年上半期の留学来日者数が多かった国・地域は、インドネシア(2734人)、台湾(2706人)、スリランカ(2626人)、バングラデシュ(2536人)、ミャンマー(2523人)など。これらの他に千名以上が来日している国・地域はタイ、モンゴル、米国、香港、フランス、フィリピン、ウズベキスタンとなっている。この内、香港はパスポート表示で「中国香港」(1213人)の他に、「英国香港」でも149人が入国している。
一方、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵攻が開始されて以降、今月24日でちょうど半年が経過したが、2022年に入って以降、6月までに、ロシアから来日した留学生の数も、のべ681人に上る。また同期間に、ウクライナから「留学」の在留資格を取得し入国している人は43人で、日本政府が同国からの避難民受入れを開始した3月2日以降に来日した約1700人の内大多数が、在留資格「特定活動」による入国となっている。
※6月の月間来日者数では 中国が再逆転し首位に
なお、今年6月の1か月間に、在留資格「留学」を取得して来日した留学生(1万2951人)の出身国・地域別状況では、中国が6305人で再びトップとなった。5月に単月で国・地域別の首位に躍り出たネパールは、6月は2299人に止まった。ベトナムは732人だった。以下、バングラデシュ459人、韓国420人、ミャンマー266人、スリランカ243人、台湾233人、インドネシア227人、米国163人、モンゴル135人、タイ129人等となっている。
**********************************************************************
~2年半ぶり、日本との留学相互往来が復活~
中国政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大以降停止していた外国からの留学生受入れを再開することを決めた。中国駐日本国大使館(東京)が23日、日本からの留学予定者を念頭に、ビザの申請受付を再開すると発表した。すでに有効な留学居留許可証を所持している人については、直接入学できるようになる。ビザの希望者はまず申請表をオンライン(https://www.visaforchina.org)上で入力・アップした上で、提出日時の予約を行う必要がある。
コロナ禍に入って以降、中国の大学に在籍中で一時出国した学生や、新規の留学希望者はいずれも入国・再入国ができなくなっており、中国日本商会などが現地政府に善処を求めていた。
中国の留学生の受入れ再開はほぼ2年半ぶりで、これにより今年3月の水際緩和により受入れを再開した日本と、双方向での留学往来が復活する。
*****************************************************************
~首相が会見で表明、9月7日より開始~
岸田文雄首相は24日午後、公邸からオンラインで会見を行い、新型コロナウイルス感染症に対する当面の対応方針を発表した。保健所や発熱外来の逼迫緩和に向けた緊急対応策として、患者届出の範囲を自治体の判断により、高齢者や重症リスクが高い人等に限定できるようにする考えを示した。
一方で水際対策に関しては「入国者総数、出国前検査、入国時検疫対応等の各種措置について今後さらに緩和する」と述べた。具体的な措置としては、渡航者に対し日本入国・帰国時に求めている現地出国前の検査証明書に関して、9月7日より、「入国前72時間以内の陰性検査(証明)に代えて、ワクチン接種証明の利用を可能とする」ことを明らかにした。対象はワクチン3回接種完了者とする。
一方で、一日あたりの入国者総数引き上げなどその他の水際措置について岸田首相は、「G7並みの円滑な入国が可能となるよう、段階的に緩和を進めていく」とする原則論に終始し、具体的な数字についても「感染状況を踏まえながら、速やかに公表する」として、会見の段階では明言を避けた。
★薬学教育の質確保へ 留学生の入学に必要な学力の確認求める
文部科学省の「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」はこのほど、薬学部教育(6年制課程)の現状と、教育の質を保証するために必要な取組についての概要をまとめた。薬学部に関しては、平成15年度から令和3年度までの間に33の新設学部が設置された一方で、入学定員は平成20年度をピークに減少傾向にあり、私立大学においては約3割が定員充足率80%を下回っている現状にある。少子化によって将来的に薬剤師が供給過剰となる見通しも出ていて、教育の質を確保する観点から、入学者選抜の在り方にも課題が指摘されてきた。
検討会の「まとめ」では、18歳人口の減少による出願者不足を背景に、「文理を問わず得意科目1科目のみを問う入試の実施や留学生の積極的な受入れなど、学生確保のための多様な取組み」が行われていることに触れ、「一部の大学では、入学に際して求められる必要な学力の確認が軽視されていると考えられる事例もあった」と問題視している。
その上で、各大学に対しては、薬学分野を学ぶために必要な知識を確認する試験も適切に組み合わせ、評価を行うよう提言。留学生の積極的な受入れを進める場合には、「日本語教育の支援や入学後の学修支援、就職支援等の適切なフォロー」が求められると釘をさしたうえで、「大学の特色も踏まえ、留学生の受入れ及び育成に関する明確な方針とそのための体制整備が必要」と指摘している。
目下、薬学系の学部・研究科の留学生選抜においては、出願者を各国大使館の推薦や指導教員による口頭試問合格者に限定しているケースや、日本人と同様の入試など高いハードルを課している例がある。一方で留学生選抜の枠内で受入れている大学では、日本留学試験(EJU)を利用し理科や数学の知識力も確認する入試から、面接と日本語試験だけで選考する入試まで、実施方法は様々だ。出願段階で求める日本語レベルも、日本語能力試験N3レベルで出願を認める大学がみられることから、検討会では現状への警鐘を鳴らしたものとみられる。