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2021-09-07 11:48:00

 

文科相、入学時期見直しや寄付・投資環境の整備を課題に挙げる

 

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英国タイムズ紙が発行する高等教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」が、恒例の「世界大学ランキング(2022年版)」を公表した。同ランキングは、数ある類似のランキングの中でも、最も信頼度が高い一つと位置付けられている。国際的な研究論文の発表数に加え、留学生や外国人教員の比率など「国際性」に評価の大きなウェイトが置かれているとされ、各国教育機関のグローバル化の程度を測る目安としても注目を集める。

 

今回THEにランク入りした1662校中日本の大学は118校となり、国別のランク大学数では米国に次ぎ世界第2位だった。とはいえ、個別大学で上位100位以内に入ったのは、昨年同様、東京大学(35位)と京都大学(61位)の2校のみで、500位以内も東北大学、大阪大学、東京工業大学、名古屋大学、産業医科大学、横浜市立大学を含めた8校にとどまっている。

 

こうした評価について萩生田光一文部科学相は3日の定例会見で、「公開されている指標のスコアを見る限り、産業界からの収入面や国際面などで(日本の大学の)数値が上がっている」とする一方で、問題点として①論文の引用数の評価が低い、②留学生や外国人教員比率などの指標で構成される国際面の評価でスコアは上昇しているものの、相対的にはなお低い、などの受け止めを明らかにした。この内①については英文で発表された論文でなければ対象になりにくい点や、国際論文に引用されやすい理系・科学技術系の学部と研究者・学生が少ない日本の現状をネックに挙げた。また②に関しては「留学生や外国人に日本で働いてもらう環境を考えた場合に、日本の4月入学、3月卒業という制度は国際スタンダードからみて、人流が難しい環境にある」と指摘。こうした制度上の課題などについて、教育再生実行会議の後継となる会議の場で議論されることへの期待を示した。

 

萩生田文科相は同時に、安定した研究環境の確保には、海外の大学のように寄付や投資による好循環が必要だとして、新たなスキームとして設けた10兆円規模の大学ファンドなどにより大学や研究者への投資を促進するとともに、寄付税制の見直しも検討課題に挙げた。

 

中国の北京大・清華大がトップ20入り アジアの大学が躍進

 

一方、2022年版THEで躍進したのが中国とアジアの大学だ。前回も上位に食い込んだ北京大学と清華大学が揃って16位となり、アジアの大学中トップの座を維持したほか、21位にシンガポール国立大学、30位に香港大学が入った。国際性を強みとする大学が上位に来やすいとされるTHEの特色を反映し、南洋理工大学(46位;シンガポール)、香港中文大学(49位)など、留学生数が多く国際的な研究投資も盛んな香港とシンガポールの大学が、トップ100校中計6校と、中国本土(6校)に肩を並べているのも特筆される。

 

中国本土の大学は300位以内に22校、500位以内で24校と、いずれも数字上は日本の大学(300位以内3校、500位以内8校)を大きく引き離した。近年、英文による学術論文の発表数が大幅に増加中であることや、途上国からの留学生受入れなど国際化を強化してきたことも作用したとみられる。台湾からは、台湾大学が113位に入った。

 

中国(香港・マカオ含む)の大学で世界300校以内にランクされたのは、下記の19校となる。

 

大学名

所在地

THE世界ランキング

01北京大学

北京市

16

01清華大学

北京市

16

03香港大学

香港

30

04香港中文大学

香港

49

05復旦大学

上海

60

06香港科技大学

香港

66

07浙江大学

浙江省

75

08上海交通大学

上海市

84

09中国科学技術大学

安徽省

88

10香港理工大学

香港

91

11南京大学

江蘇省

105

12香港城市大学

香港

151

13武漢大学

湖北省

157

14南方科技大学

広東省

162

15華中科技大学

湖北省

181

16マカオ大学(澳門大学)

澳門

201-250

17北京師範大学

北京市

251-300

17澳門科技大学

澳門

251-300

17中山大学

広東省

251-300

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