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~告示校662校等の嘆願添え 政府に「出口戦略」の提示求める~
菅義偉首相は先月28日の会見で、現在一時停止中の外国人留学生の受入れ再開を検討していく方針を示したが、これと前後して日本語教育推進議員連盟(河村建夫会長)が政府に対し行った入国制限緩和を求める要望書には、全国の日本語教育機関(告示校)の8割以上に相当する662校が名を連ねたことが分かった。目下、主要先進7か国(G7)の中で留学生の入国を原則拒否しているのは日本だけで、この間、水際対策を行いつつ留学生の受入れを再開した韓国などに日本留学希望者が流出しつつあることから、日本語議連では政府に対して早期の対応を求めている。
日本語議連が加藤勝信官房長官に提出した要望書では、日本政府から今後の留学生受入れ方針が何ら示されていないために、来日を目指して待機中の留学希望者らの「日本に対する期待は不信感に変化しつつある」と指摘。在籍学生数の激減に見舞われている日本語教育機関の経営が行き詰まることは、単に各機関の事業継続の問題ではなく、「多文化共生社会を担う日本語教育インフラの崩壊」を意味すると訴えた。同時に重要な外国人人材の卵が他国へ流れてしまうことは、人口減社会である日本の将来にとって様々な分野で大きな社会的損失になると警鐘を鳴らしている。
その上で日本語議連では、「入国制限早期緩和」と、「Withコロナ下で安定的に留学生の受入れが可能なスキームの確立」を要望した。
具体的には、まず在留資格認定証明書が交付されていても入国できず本国で待機中の学生らを念頭に、一層の安心・安全の条件の下で積極的に受入れを進めるべきとして、▶受入れ緩和やビザ発行条件に、ワクチン接種と陰性証明を必須とする、▶ワクチン外交の一環として留学生や日本で就職希望の学生に、在外公館でのワクチン接種を可能にする、などを提案。日本にとっての留学生の重要性に鑑み、早期の入国制限緩和とそこに向けた出口戦略を示すよう政府に求めている。
同時に他国の状況なども参考にしながら、感染拡大防止と両立できる受入れスキームとロードマップを、日本語教育機関等と協力しながら早期に確立することも要望した。
これに先立って、日本語教育機関6団体が呼び掛けていた嘆願書には全国の告示校662校が実名で賛同しており、日本語議連による加藤官房長官への要望書には、各教育機関のリストが添えられている。なお要望書にはこの他に、専門学校ら数校も賛同した。
★私大連は私費留学生の入国緩和を文科省に要望
一方、日本私立大学連盟(私大連)は、私費留学生等の入国緩和を求める要望書を、文部科学省に提出した。要望書では日本への留学を希望する世界の学生がその選択を諦めざるを得ない状況になっているとした上で、入国制限の更なる継続は、日本への留学機運を削ぐだけでなく、すでに入国した学生の他国への転学や今後の志願者減少をもたらしかねず、大学や日本全体にとり大きなダメージになると指摘。すでに入国が可能となっている国費留学生だけでなく、私費留学生についても入国制限を緩和するよう求めている。私大連によると目下、国費留学生の割合は留学生全体の3%に過ぎず、私費留学生が実数にして30万人近くと96%を占める。
要望書は同様に交換留学生の扱いにも言及し、コロナ禍前まで受入れと派遣の両面で私立大学が主要な役割を担ってきた状況を踏まえ、中長期にわたる交換留学生は不要不急の短期渡航とは区別し、受入れを可能とするよう要望した。
私大連では、文科省を始めとして、留学生の入国・在留を所管する法務省や外務省にも私立大学の状況を理解してもらえるよう、要望を行う予定だとしている。
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