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日本政府が留学生等に対し継続している入国制限など、現行の水際対策を見直すよう求める声が、教育界や留学予定者を中心に相次いでいる。
「日本語教育学会」は今週、外国人留学生の受入れを早期に再開するよう求める立場を表明した。同法人は1962年に発足し、日本語教育に関する学術研究や人材の育成、情報交流を中心に事業を展開している。同会では日本政府の新規留学生に対する入国禁止によって、在留資格認定証明書を受けながら入国を止められた留学希望者が多数に上り、渡日を断念する事例も多く発生していると指摘。①留学生の受入れは多様な言語文化を包摂し、様々な人々が自分らしい生き方を享受できる豊かな社会の実現に必要、②海外の若者に教育の機会を提供することは国際社会の一員としての日本の責務、とする見解を表明した。その上で、日本以外のG7各国が水際対策を徹底した上ですでに留学生の受入れを始めていることにも改めて言及している。
同時に日本語教育学会は、先に同様の見解を発表した「留学生教育学会」と、「コロナ禍の日本留学の扉を開く」の声明に賛同するともしている。
この内、「留学生教育学会」は先月、留学生の受入れ早期再開に関する「緊急アピール」の中で、すでに留学生に門戸を開いた韓国が今年上半期に3.4万人の留学生を入国させ、その内コロナ陽性者は255人で、全員が入国時の検査か隔離期間中に感染診断が行われたケースだったことを紹介。韓国教育部も「留学生が原因となって市中で感染が拡大した事例はまったくない」としており、「感染症制御と留学生受入れが十分に両立できる」ことをアピールしているとした。その上で留学生教育学会では①ワクチン接種記録、隔離、検査など様々な手法を組み合わせた感染抑制策のもと、留学生受入れ早期再開に向けた条件整備、②ビザ交付時や日本入国時に日本の責任でワクチン接種を実施する等、他国への留学との差別化、などを訴えた。
一方、来日できずにいる留学予定者らが相次ぎ窮状を訴えているサイト「コロナ禍の日本留学の扉を開く」は、「日本留学を目指しながら裏切られた思いで過ごしている多くの若者の声」を伝えようと立ち上げられ、連日、世界の若者たちのインタビューを発信し続ける。同サイト上には、仕事や教育の機会を失ったまま母国で待機中の留学予定者や、税金を払い続けながら再入国できずにいる留学生らの肉声が溢れており、ツイッターなどSNSでも大きな反響を呼んでいる。
「扉を開く」では、コロナ禍でも新規入国の留学生によるクラスターは発生していないことや、非常にコントロールされた受入れ体制が整備されていることへの理解を深め、留学生の入国への協力を得たいとしている。
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