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東京都は、日本の美容師養成施設で学び美容師国家資格を取得した外国人留学生が、最大5年間、日本で就労できる国の制度を活用する方針を決めた。来年度(令和4年度)より、都内全域での実施を見込む。
国が28日に開催した東京圏国家戦略特別区域会議で、「国家戦略特別区域 外国人美容師育成事業」制度の適用を申請した。
同制度は、国が今年7月、特区実施要領に盛り込んだもので、日本の美容製品の輸出促進やクールジャパンの推進、インバウンド需要への対応強化が狙いとされる。
具体的には一定の要件を満たす外国人美容師に対し、美容所等の育成機関が育成事業を実施する場合に、就労を目的とする在留資格を最大5年間認めるとしている。対象となる外国人美容師は、美容師国家資格の他に日本語能力試験N2相当以上の日本語力等が必要。育成機関は監理実施機関に対して育成計画を申請し、監理実施機関は各自治体(今回は東京都)による認可・監督を受ける。一美容所あたりの外国人美容師の育成人数は3人以内と定められている。
都ではこれに先立つ2018年時点で、各ヘアサロン等の受入れ機関による公的管理の整備を前提とする新たな規制改革のスキームを国に提案していた。
現在、美容分野については外国人が日本の美容師国家資格を取得しても、これに対応する在留資格が設けられておらず、同分野を主たる活動内容とする日本での就労は原則として認められていない。一方で日本の美容師養成校等教育機関には外国人留学生も少なからず在籍しており、日本で学んだ高度な専門知識を将来の仕事に活かしたいとか、ヘアサロンで実践経験を積みたいという希望があっても、卒業後は日本で就職できないために帰国を余儀なくされる学生が多かった。
(公社)東京都専修学校各種学校協会が昨秋に実施した「専門学校に在籍する留学生の実態調査」でも、現役留学生の声として、学歴・専門分野による就労制限の緩和を求める意見が出ていた。
今回の東京都による「外国人美容師育成事業」申請は、東京圏に限定した国家戦略特別区域という扱いではあるものの、留学生や外国人就労者に対する国の就業規制緩和に向けた大きな一歩となりそうだ。
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