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2021-11-04 17:07:00

 

留学生が日本の教育機関を卒業後に継続して日本で就職活動を希望する場合、従来は要件を満たした大学や専門学校の修了者を主対象に「特定活動」の在留資格が付与されてきたが、今秋からは海外の大学等を卒業した日本語教育機関の留学生もこの対象に加わっている。コロナ禍で学生の就職状況が厳しさを増す中、就活中の日本語教育機関の留学生にとっては、卒業までに就職先が決められない場合に次善の選択肢となり得る。

 

これまで同制度は日本語教育機関については国家戦略特別区のみ適用される特例措置の扱いだったが、法務省では今秋から全国展開する方針を決め、すでに各地方入国在留管理局や関係自治体等に通知済みだ。

 

具体的には、日本語教育機関に在籍中で、来日前に海外の大学・大学院を卒業・修了し学士以上の学位を取得している留学生が対象。本人が在学中から就職活動を行っており、同機関を修了後も引き続き日本で就活継続を希望する場合、所定の要件を満たせば、最長1年間に限り、「特定活動」の在留資格を許可する。

 

本人の海外における学歴は「学士以上」が条件なので、例えば中国出身者の場合、4年制大学の修了と学士取得が前提となる見込み。在留資格の申請時には在籍していた日本語教育機関の推薦状が必要で、在籍時の出席状況が良好であることや、日本で生活する上での経費支弁能力も求められる。また卒業後は、本人が在籍していた日本語教育機関に対し定期報告等を行う義務がある。

 

推薦状を出す日本語教育機関にも要件があり、いわゆる「適正校」であることや、就職紹介事業許可もしくは就職目的のコースを設置していることなどのほか、直近の1年間で留学生1名以上又は同3年間に2名以上の日本における就職実績が必要となる。さらに本人が卒業後の定期的な面談や、在留期間内に就職未決定の場合に適切な帰国指導を行うことなども課されており、従来実施されてきた大学・専門学校向けと同様、推薦者の選定には一定の枠がはめられているとも言えそうだ。

 

同制度により付与される在留期間は原則6か月で、本人が日本語教育機関を修了後の経過期間が1年未満であることを条件に、1回の期間更新(+最長6か月)を申請できる。また継続就活の期間中は、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内でアルバイトが可能となっている。

 

日本学生支援機構(JASSO)が実施した調査によれば、2019年度(令和元年度)中に日本語教育機関を修了後、日本国内でダイレクトに企業等へ就職した留学生は修了者全体の7%(3758人)だった。この数は出身国に帰国し就職した人の数(28%,1499人)を上回っていて、今後、海外大卒者の継続就職活動が条件付きながら可能となることで、就職の機会は広がりそうだ。