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2021-11-24 11:20:00

 

政府が先に水際対策を条件付きで緩和し、留学生ら新規入国者の受入れを再開したことを踏まえ、文部科学省は海外に在住の外国人が日本の大学へ入学を志願する場合に、「短期滞在」の枠組みにより受験目的の来日を認める方針を決め、すでに各大学長あてに通知した。原則としていずれか1つの大学が受入れ責任者となり、日本国内の行動管理を担うことを許可条件とする。文部科学省関係筋は24日、『留学生新聞』の取材に対して、大学院と大学(学部)の他に短期大学も許可対象となることを明らかにした。

 

新型コロナウイルス感染症の影響下で、これまで文科省では海外にいる外国人入学志願者については、可能な限り渡航を伴わない方法で入学者選抜を行うよう各大学に要請してきた。入国制限の段階的な解除後も同原則は維持されており、ICTを活用したオンライン試験の工夫など、代替措置を講じることで、受験機会を確保するよう求める方針は変わっていない。

ただ各大学が留学予定者に課す選抜方式によっては、渡航した上でなければ実施が難しい場合もあることから、文科省では本人が入国して受験するためのスキームを新たに示した。

 

具体的には、大学の留学生入試が「大学入学共通テスト」を利用する場合としない場合とで対応方法が分かれる。まず同テストを利用しない選抜方式で、受験に際し入国を求める場合には、海外在住者からの出願や受験希望を受けた大学が、受験生の受入れ責任者となり、入国前から入国後の行動制限解除まで責任を担う。受験生によっては他校との併願もあり得ることから、受入れ責任者としての申請が重複しないよう、事前に本人への出願状況や他校への相談の有無の確認も求める。

 

一方で共通テストを利用する選抜方式の場合、同テストに海外から出願した外国人受験予定者に対し、まず大学入試センターが最大5大学まで志望校を確認した上で、志望大学に入試方針をただす。例えば第一志望の大学が来日した上での共通テスト受験を求める時には、同大学が共通テストの受験も含めた受入れ責任者となり、入国前から入国後の行動制限解除まで責任を持って対応する形となる。

 

文科省関係筋によれば、今回の「受験入国」については、留学生の新規入国者らを対象とする「長期滞在」のスキームではなく、主として「商用・就労目的の短期滞在(3か月以下)」による来日となる。入国後の待機期間もワクチン接種証明書の提示と入国後3日目の検査結果により、同4日目以降は事前の申請に沿った活動が可能だが、共通テストや志望大学の入試を受験できるのは、原則、最も早くて行動制限が解除される同10日目以降となる。ただ同関係筋は、入試日程との絡みでこのスケジュール感では間に合わないような場合には、事前に大学側から申請してもらい、ケースバイケースで判断することもあり得ると述べた。

 

なおこのスキームで受験生として来日する場合には、留学生とは異なり入国時期に制限等は設けられていないが、後日合格した場合でも、留学生としての新規入国受入れが当面の政府方針に基づき段階的に進められている現状から、必ずしも大学や本人が当初予定していた入学時期の前に入国できる保証はない。そのため受入れ責任者となる各校においては、入学手続き、履修登録、さらにはオンライン授業の実施など、受験者が今後入国できないケースも想定した対応が必要となる見込みだ。

 

海外の入学志願者が受験目的で来日する場合の申請は、文科省高等教育局大学振興課・大学入試室で受付を開始した。(メールアドレスは、gaknyusi@mext.go.jp)。同省では目安として、入国前3週間程度の余裕を持って申請するよう求めている。

 

★法相、「特定技能2号」に12分野の追加を検討

 

古川禎久法相は先の会見で、熟練した技能を持つ外国人を対象とする在留資格「特定技能2号」に関して、対象分野を広げる可能性を公式に認めた。現在は適用外とされている12分野について、「各分野の所轄官庁と共に、現場や業界団体の意向を踏まえつつ、対象分野の追加に関する検討を行っていると承知している」と述べたもの。具体的な見直しの時期については「検討中」として明言を避けた。

 

現在、全部で14ある特定産業分野の内、「特定技能2号」での受入れが可能なのは、建設と造船・船舶工業の2分野に限定されている。

 

「特定技能2号」の対象に追加されれば、在留資格上の上限が通算5年の「特定技能1号」とは異なり、在留期間更新許可申請を行う上での制約が無くなるほか、家族の帯同も認められる。一部ではこれにより、外国人の就労が事実上「無期限」になるとの報道も出ていた。

 

これについて古川法相は「特定技能2号」は「受入れ企業との雇用契約を前提に、個々の在留状況に応じて一定の期間ごとに更新を認めるものであり、決して無期限の在留を認めるものではない」と否定した。

 

また現状では技能実習生からの移行が「特定技能」全体の8割を占めることについて、古川法相は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、外国人材が予定通りに来日できない状況が大きく影響しているのではないか」との認識を示した。

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