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2021-11-29 12:08:00

 

〜在籍校が要件満たす対象学生を推薦、要件は昨年度内容を踏襲か〜

 

文部科学省は新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に厳しい状況にある学生らが学びを継続できるよう、所定の要件を満たす学生約67万人向けに1人あたり現金10万円を支給する事業を近く行う方針だが、この対象には外国人留学生も含まれている。該当する教育機関は国公私立大学(大学院を含む)、短大、高専、専修学校専門課程と、法務省告示に指定される日本語教育機関で、各在籍校から対象学生を推薦するスキームとなる。

 

推薦する学生の目安としては、原則として自宅外で生活しており、家庭から多額の仕送りを受けていないか、家庭の収入減少等により追加的支援が期待できないこと等が挙げられている。文科省関係筋は『留学生新聞』の取材に対して、具体的な対象者の要件については、おおよそ昨年度支給時の内容を踏襲する形で、最近の社会状況も踏まえつつ検討していることを明らかにした。昨年度は留学生の推薦にあたっては上記の他に、成績や授業の出席率、仕送り金額等、学習奨励費の受給要件に準じる要件を満たすことが要求された。

 

文科省の調査では令和3年度にコロナ禍を理由とした中退者や休学者は前年度より増えており、スピード感のある給付により経済的な困窮を理由とする退学者等の更なる増加を食い止める狙いがある。同省は「学生等の学びを継続するための緊急給付金」として、今年度補正予算案に675億円を計上しており、補正予算の成立を受けてなるべく速やかに支給を進めたいとしている。

 

★在留資格認定証明書を電子化へ 補正予算案に計上

 

法務省は留学生等、長期間の在留目的で来日予定の外国人が来日前に取得する必要がある在留資格認定証明書(COE)について、デジタル化を推進するための予算を今年度の補正予算案に計上した。現在は紙媒体で交付しているCOEを電子化し、代理人などにメールで通知する形へと改める。

 

留学等の申請者は在外公館で査証(ビザ)申請を行う際にCOE原本が必要で、これまでは事前に学校等の受入れ機関が出入国在留管理庁に申請の上取得し、海外にいる本人に郵送しなければならなかったが、電子化されればこうした手間が省かれる。空港での入国時にも、COEの表示された電子メールを提示してもらう形に改めることで、利便性の向上を図る。

 

法務省では、行政機関同士の情報連携など、他の行政デジタル化も含め、必要経費として618700万円を盛り込んだ。

 

日本留学試験(EJU) 感染防止策徹底で運営コスト増

文科省、「確実な実施」で補正1億円計上

 

文部科学省は今年度の補正予算案に、日本留学試験(EJU)を感染拡大防止策に配慮しつつ確実に実施するための事業費として1億円計上した。EJUは目下、国内16都道府県とアジアを中心とする国外14か国・地域で6月と12月の年2回、行われているが、今年度はデルタ株の蔓延などにより、試験の実施に際して新型コロナウイルスの感染拡大防止策を、さらに徹底する必要性が増した。具体的には、①試験会場が密集状態になるのを避けるため受験者間の距離を通常よりも離したことに伴うキャパの拡大、②増加する試験監督官の着実な手配、③コロナ罹患等が原因で本試験を欠席した受験生に対する追試験の実施、などが運営コストを押し上げた。

 

今年9月現在でEJUを入学選考等に活用している大学は889校に上っており、文科省では引き続き同試験の推進が、優秀な留学生の受入れや日本の大学の国際化に不可欠とみている。

 

★入国できない留学予定者向けのオンライン授業を財政支援

文化庁、400件程度を対象に 補正で41億円を計上

 

文化庁は新型コロナウイルス感染症の影響で入国が困難な外国人留学生への日本語教育が滞らないようにするため、オンライン教育を行う日本語教育機関等を財政的に支援する方針を決めた。ハイブリッド型やオンデマンド型など多様な授業形態により、留学予定者のレベルに応じたオンライン授業を実施し、日本語授業に参加できるようにする取組を対象として、1件当たり400万円から1千万円を財政支援する。今年度の補正予算案に41億円の事業費を計上しており、認められれば400件程度を対象とする計画だ。

 

コロナ禍で留学生に対する政府の入国制限が長期化し、水際対策が緩和された現在でも、留学生の入国は在留資格認定証明書(COE)の交付時期が早い人から段階的に実施しており、引き続き入国できないままの留学予定者が、今後相次いで留学を辞退する状況が危惧されている。

文化庁ではこうした層の日本語教育ニーズを満たすとともに、日本留学の辞退者増加を食い止める必要があると判断しており、今事業の推進により日本の大学等への外国人進学者がさらに減少しないよう予算措置を講じた。

 

事業の実施は国から民間団体に委託後、日本語教育機関等に再委託するスキームなどが検討されている模様で、同庁は事業成果を後日検証の上、オンライン教育のノウハウを全国展開することも視野に入れている。

 

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