インフォメーション

2022-01-21 16:48:00

 〜オンライン入試など代替措置や入学検定料の扱いに留学予定者からも問題提起〜

 

政府の新規入国外国人に対する水際対策が長期化する中で、今春の大学等への入学を目指して受験のため来日予定だった留学予定者らも、足止め状態が続いている。岸田政権の方針により、すでに2月末までは入国できない見通しとなっていることから、年度内の留学生入試の受験は困難な状況となった。

こうした中で、出願していた海外の受験生らに対する対応の在り方が課題として浮上している。SNS上では「入国できないため受験資格を取り消され、受験料も返還できないと言われた」とか、「オンライン試験を検討するとしていたのに最終的にできないという知らせが来た」と訴える留学予定者の声がいくつか投稿されている。コロナ禍における海外受験者向け対応に関しては、昨年9月に文部科学省が各大学向けに通知を出し、「入国できない出願者を念頭に、ICTを活用したオンラインによる試験の実施などの代替措置を講じ、受験機会を失うなどの不利益を生じないよう、工夫を行うこと」を求めた。

一方で海外からの出願を受け付けている大学(学部・研究科)の中でも、例えば実技科目や制作した作品の提出が課されるなど試験内容によってはオンライン試験の実施が困難な場合や、公正な評価がしづらいケースもあるといい、来日受験が事実上の前提となっているところは少なくないのが現状だ。そのため、入国制限により入国できない場合でも、オンライン入試や追試験などは一切行わないと最初から謳っている大学も見られる。

さらに出願時に支払った入学検定料の扱いに関しては、あらかじめ入試情報サイト等で「いかなる事情があっても返還しない」とするところが多い一方で、例えば同じ大学の中でも研究科ごとの判断により、特定の期限までに出願を取り下げる申し出を行えば、所定の方法で返還する方針を打ち出しているところもある。

海外出願者らも、大半がこれらの出願条件を一応事前に了承した上で出願しているとみて良い。とはいえ、日本政府の国策により入国も受験もできない状態が長期化していて、人生の重要なステップである留学生活のスタートが切れない中、来日予定者らは焦燥感と先が見えないことへの底知れぬ不安の中にいるのが現状であり、「事務的に淡々と受験不可を伝える大学からの連絡に不信感が強まった(受験予定だった海外学生)」との声も聞かれる。

このほかにもSNS上では、制度の在り方として「堂々と外国人選抜枠を設けながらオンライン入試に対応しないというのは、グローバルな高等教育機関ならあり得ない」とか、「本人の都合による未受験ではないので検定料を返還しないのはおかしい」といった指摘も出ている。返還の有無にとどまらず、コロナ禍が原因で来日・受験が叶わなかった海外受験生への対応いかんは、留学生の大学評価や今後の出願動向にも直結し得る要素と言え、次年度を見据えた各大学の入試方針の策定においても課題となりそうだ。

 

※文科省、「判断の妥当性を検討し、受験生の立場に立った対応を」

文部科学省では、コロナ禍で入国できない海外受験者向けの入試対応で、大学側に代替措置の検討を呼び掛けてきたが、オンライン入試等を実施できない場合の入学検定料の取り扱いについては各大学に向けて特に通知はしておらず、「今後も発出の予定はない」という。

文科省大学入試室は『留学生新聞』の取材に対して、「受験予定者が事前に支払った入学検定料の扱いは民間(大学)と民間(受験生個人)との契約という位置付けになる」としつつ、「入国制限などにより、来日した上での受験の可否は予測できない部分があるとは思うので、受験生から相談があればきちんと対応し、各大学は返還等に関する判断の妥当性を十分に検討した上で、受験生の立場に立った対応をしてほしい」と述べている。

************************************************