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2022-02-16 11:21:00

 

松野博一官房長官は15日の会見で、昨年1129日に政府が外国人の新規入国を原則停止して以降、今年210日までの間に「特段の事情」により日本へ新規で入国した留学生が約6千人(速報値)に上ることを明らかにした。

出入国在留管理庁によれば、これ以前の新規留学入国者は月間ベースで、11月が1709人、10月は1522人となっていて、12月以降は逆に増勢へと転じていることが伺える。政府は年末年始にかけて入国停止措置を延長したが、これと並行して「特段の事情」による留学生の入国は以前より多く容認していたことになる。ただ在留資格の事前認定を受けながら入国できていない留学生が、「昨年末時点で約15万人に上る(松野官房長官)」状況には変わりはないことから、本格的な回復には岸田文雄首相が表明した3月以降の水際対策緩和が不可欠となっている。

 

1月の単日あたり入国者平均は2240

一方、今年1月の入国者総数は69458人だったことが、出入国在留管理庁のまとめで分かった。内訳は日本人帰国者が39723人、外国人再入国者が27720人。また外国人の新規入国者は全ての在留資格者の合算で2015人で、特別永住者ら一部を除けば、いずれも人道上・公益上等「特段の事情」により入国を許可されている。総入国者を1日あたりの平均値でみると2240人。政府は3月以降の水際対策緩和に際して、この数を5千人に増やす方向で検討を進めている。

 

★自民党などが政府に留学生の入国を求める決議を提出

自民党と公明党は15日、留学生の入国を認めるよう求める党の決議案をそれぞれ政府に提出した。

自民党は14日に文部科学部会が発議した「留学生の入国再開を求める決議文」を政務調査会で了承の上、松野博一官房長官に直接手渡した。

決議全文によると、G7など諸外国が国家戦略としてコロナ禍でも留学生の入国を認めている中、日本は外国人の新規入国停止長期化により、留学志望の若者が他国に進学先を変更するなど、「留学生から選ばれない国となりつつあり、国際的な地位は急落している」と指摘。従来は年間3万人が国内企業へ就職していた大学等卒の留学生が入国できないことにより、国際的な人材獲得競争でも後れをとり国益を損なうと懸念を示した。

その上で決議文は、水際対策の骨格について見直すよう政府に求めた。具体的には、①未来の知日派・親日派たる留学生の受入れを、最優先で積極的かつ継続的に進める、②国費・私費を問わず、一日の入国者数上限にとらわれず、簡素な事務手続きにより迅速・円滑に入国できるようにする、③留学生の受入れ教育機関が責任をもって隔離中の適切な防疫措置と、留学中の法令違反時の改善指導を行い、厳格なペナルティも導入する、④待機留学生の入国見通しが立つよう、文部科学省主体で留学生の戦略的な受入れ方針を検討・公表する、などが盛り込まれている。

山本朋広・自民党文科部会長によれば、松野官房長官からは「入学、新学期のタイミングを踏まえて前向きに検討したい」との返答があったという。

一方、公明党の文科部会は同日、国費や私費、緊急性等の区別を設けることなく継続的な留学生受入れを行うことや、留学生・文化芸術・スポーツ関係の入国全般が可能となるよう政府に緊急の申し入れを行った。

 

★首相、与党の「提言踏まえ緩和に向け検討」

岸田文雄首相は15日の政府・与党連絡会議で、3月以降の水際対策について「総合的に勘案し、緩和に向けた検討を進めてまいります。自民党、公明党の皆様からも多くの提言を頂いております。両党のご意見も踏まえながら、新型コロナ対応に全力を尽くしてまいります」と述べた。

 

※政府内の調整大詰め 明日以降・週内が大きなヤマ場に

現在、政府内では3月以降の水際措置について、緩和に向けた最終的な調整が大詰めを迎えている。留学生を含めた外国人の新規入国を観光以外、原則として認める案や、入国審査に関し昨秋は義務付けられていた事前審査を無くして申請窓口を一本化する案など、スムーズな入国を可能にする方向で緩和策が検討されている模様だ。ただ自民党内には「実際には大幅緩和にはならない。変異株の特性を踏まえた段階的緩和が実際的(佐藤正久・外交部会長)」との慎重論も一部に残っており、本日予定されている党外交部会が、本格緩和に向けた最後のハードルになるとの見方がある。

明日17日には、今後の水際対策の方針などについて岸田首相自身が会見を行う方向で調整中との観測も出ており、明日以降週内には政府方針が固まることが有力視されている。

 

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