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後藤茂之厚生労働大臣は10日の定例会見で、大型連休中に岸田文雄首相が表明した6月以降の段階的な水際緩和に関連し、現在関係省庁で具体策を検討中だとした上で、「検疫体制や防疫措置の実施状況、新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、政府全体で適切に判断していきたい」と述べた。
4月10日より、入国者数上限を一日あたり1万人程度に引き上げた後の入国検疫状況については、一部の検疫手続きを事前にオンライン上で済ませることで入国時手続きがスムーズになる「ファストトラック」の利用率が入国者全体のほぼ半数に上るなど、スピードアップに寄与していると指摘。今年度より検疫所職員を130名以上増員し、エアライン関係者向けの業務委託を増やすなど体制整備を進めていることも強調した。その上で、入国時の待ち時間が長時間に及ぶなど混雑しているとの指摘はあるものの、現状では受入れ枠1万人に対応した体制を政府としてまかなえているとの認識を示した。
現在政府内には一日あたり入国者数上限のさらなる引き上げを模索する動きが出ているが、後藤大臣の発言には政府としての対応能力をPRする思惑もありそうだ。
※観光客の扱いなど具体的な水際措置は「検討中」~官房長官
松野博一官房長官は10日午前の定例会見で、外国人観光客も対象に含めた水際緩和の判断基準に関連して、大型連休後に見込まれる感染者数の増加や医療逼迫状況との兼ね合いを問われた際、「感染拡大防止と社会経済活動のバランスをとりながら、段階的な緩和を進めているところ」だと述べた。また松野長官は「連休後の感染状況をしっかりと見極めた上で、6月にもG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう、水際措置を見直していく」との基本的なスタンスを重ねて表明した。
外国人観光客に対する入国制限の扱いなど、6月以降の水際対策の具体的なあり方については「検討中」だとして、「検疫体制や防疫措置の実施状況等を勘案し、新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、適切に判断をしていく」と、後藤厚生労働大臣と同様の見解を述べるにとどめた。
観光客向けの水際緩和を巡っては、まずは団体観光客の受入れから試験的に開始するのではないかとの観測が内外で浮上しており、与党関係者は「受入責任者(による管理)が前提の入国申請システム(ERFS)活用が念頭にあるのではないか」との見通しを述べている。
※経団連会長は「スピーディーに国を開いて」と要望
一方、日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長は9日の会見で、日本政府が6月以降、外国人観光客を受け入れる方向で検討しているとの観測について問われ、「事実であれば歓迎したいし、なるべく早く緩和してほしい。この大型連休中、多くの日本人が観光・レジャー目的で海外に渡航した。他方、日本は今なお外国人の観光目的の入国を認めていない。相互主義が世界の常識であり、現実的な検討を行っていただきたい」と述べた。また十倉会長は、現下の円安が訪日客にとってはチャンスだと位置付けた上で、大阪・関西万博を控える中、「海外の方々を日本ファンとして引きつけておくためにも、スピーディーに国を開いていただきたい」と迅速な対応を政府に求めた。
★「円滑入国スキーム」 韓国からの利用可能便が拡大
航空便の空席を入国予定の留学生へ優先的に割り当てる「留学生円滑入国スキーム」で、韓国からの来日者の利便性が広がる。これまでは対象が平日便に限定されていたが、今週13日以降は金曜日から日曜日までの一部到着便についても利用が可能となる。該当便は大韓航空とアシアナ航空のソウル(仁川空港)から中部空港行きで、大韓航空は土・日のKE―741便(仁川9:10→中部11:00)、アシアナ航空は金曜日のOZ-122便(仁川8:30→中部10:25)。
また韓国系航空会社で、新たにジンエアー(Jin Air)とチェジュ航空(済州航空)も同スキームへの参入が決まった。ジンエアーは5月31日までのソウル(仁川空港)から成田、関西、福岡行きの一部平日便が、また済州航空は同26日までのソウル(仁川空港)から成田と関西に向かう一部平日便が、それぞれ対象となる。いずれも、既販売分が予約で埋まっている場合に活用できる。
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