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2022-09-08 11:17:00

 

出入国在留管理庁(入管庁)は、福岡県内の日本語教育機関で在籍留学生に対する人権侵害行為があったとして、今後同機関に対し新たな留学生の受入れを認めない措置を採った。7日付で、法務省が告示する在留資格「留学」の申請が可能な日本語教育機関のリストから抹消した。日本語教育機関の運営ルールを定めた告示基準では、「抹消の基準」として、在籍学生の平均授業出席率や在留期間超過の発生割合などとともに、「生徒に対し、人権侵害行為を行い(中略)若しくは助けていた」場合も明文化されている。今回、問題の教育機関においては、留学生を鎖で拘束するなどの行為があったことが確認されたという。

 

松野博一官房長官は7日の会見で、「日本語教育機関による留学生に対する人権侵害行為は決してあってはならないものであり、今回の処分は入管庁が厳正に対処したものである」との受け止めを示した上で、「留学生の受入れを行わせることが適当でない日本語教育機関があった場合には、事実関係を確認した上で、引き続き厳正に対処していく必要がある」と述べた。

 

他方で松野長官は、「外国人留学生は諸外国との友好関係を構築し、わが国の教育研究力の向上やさらなる発展に極めて重要な存在であり、その受入れは公益性が高い」との認識を示すとともに、留学生への情報発信の強化、受入れ支援に取り組んでいると説明。「今後も関係省庁が連携し、政府として留学生の適正な受入れに努めていく」考えを明らかにした。

 

★昨日から水際再緩和 官房長官「円安メリットも想定」

 

政府は7日から水際対策の再緩和に踏み切り、一日あたりの入国者上限数を5万人に拡大するとともに、ワクチン3回接種者を対象に出国前の陰性証明書提出を免除し、同時に添乗員を伴わないパッケージツアーによる外国人観光客の入国も認めた。

 

松野博一官房長官は同日の会見で、「今回の水際措置の見直しにより、世界各国で活発化している国際的な交流にわが国も参加するとともに、円安のメリットを生かすこともできると想定されている」と述べて、為替相場で最近急激に進んでいる円安ドル高傾向も背景に、来日者増加につながることへの期待を示した。

 

さらに今後の水際対策について松野長官は、「感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りながら、緩和を進めていくという基本的な考え方に変わりはなく、今後も内外の感染状況やニーズ、主要国の水際措置の状況等を踏まえながら適切に判断していく」と従来の見解を繰り返した。

 

※経済界は冷ややかな反応、「効果は限定的」

 

一方で、政府による追加の水際緩和策に対し、経済界の反応は総じて冷ややかだ。日本経済団体連合会(経団連)」の十倉雅和会長はこれに先立つ5日の会見で、「緩和の方向に動き出したことは率直に評価したい」としつつ、コロナ禍以前は一日あたり約9万人に上っていた訪日外客数の9割近くが観光目的で、うち8割が個人旅行だったと指摘。個人観光客の受入れ解禁を見送った今回の見直しについて「効果は限定的だ」と語った。足元では新型コロナの新規感染者数が減少傾向にあることから、経済界は引き続き政府に対し、次なる緩和に向けた対策を迅速に講じるよう求めていくとみられる。

 

★入国時検査の陽性数 8月は前月と同水準

 

 厚生労働省によると、8月中に日本へ入国・帰国した人の内、空港検疫で判明した新型コロナウイルス検査の陽性者は総計862名で、国籍内訳は日本国籍が348名、外国籍が514名だった。前月(7月)は日本国籍354名、外国籍476名の計830名で、状況はほぼ変わっていない。

 

政府は6月以降、水際措置を緩和し、空港検疫の対象者を各国・地域ごとのリスクに応じてグループ分けしており、入国段階で検査が免除される対象者も相当数に上ったことから、同数値は入国者全体の状況を反映しているわけではない。さらに97日以降は、到着時検査が必要な対象を、水際区分が「黄」グループの国・地域からの入国で、且つワクチン接種証明書がない人のみに限定している。

 

★「大学の世界展開力強化事業」に14件を選定

 

文部科学省は、留学生の受入れと送り出しの両面で質の保証を伴った交流プログラムを支援する「大学の世界展開力強化事業」で、今年度の選定事業を決定した。「インド太平洋地域等との大学間交流形成支援」が支援対象で、大半が英国、豪州、インドとの交流事業。全30件の申請に対し、国立大学11件、私立大学3件の計14件が選定された。

 

 選定事業のテーマはSDGs時代の経済安全保障やグローバルリーダー養成、カーボンニュートラル社会実現、工学系グローバル人材育成を目指す試みなど、多彩な内容となっている。

 

私大の選定事業の中では、東洋大学が申請した「ビジネス日本語教育を通じた高度日本語人材と多文化共生グローバル人材の育成プログラム」が、連携相手先の大学数で6か国11機関と、全事業中最も広範な協力の枠組みとなっている。

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