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~次期「教育振興基本計画」の素案まとまる~
文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(中教審)ではこのほど、国の新たな教育政策の方向性を定める次期「教育振興基本計画」の素案をまとめた。少子化やグローバル化の進展に伴い生じた教育面での課題を踏まえ、今後の基本的な方針と採るべき施策について幅広く言及している。私立学校を始めとした大学・大学院や高等専門学校の取組と、留学生を含めたグローバル人材の育成にも具体的に言及しており、政府の教育政策の舵取りに影響を及ぼしそうだ。
素案では社会における高度専門人材の不足などを背景に、大学等の高等教育機関について、学修成果が適切に評価されるよう「学位と資格等との関係性を可視化するための方策」を検討する必要があるとしたほか、大学院博士課程の進学率が低迷している現状を踏まえ、博士人材が産業界で活躍するためのキャリアパスの整備を課題に挙げた。また大学としては個々の専門分野だけでなく、文系・理系の壁を越えた文理横断的な学習への取り組みと、授業科目レベルでの改善も求めている。
一方、国際関連では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、留学生を始めとしたグローバルな人的交流がここ数年激減したことに触れ、グローバル競争が激化する中で、世界で活躍するイノベーターやリーダー人材の育成が重要と指摘。今後の基本的な方針の中に、引き続き「グローバル人材育成」を盛り込むとともに、日本人学生の海外留学推進と合わせ、外国人留学生の受入れ環境や大学等のグローバル化の基盤整備、外国人への教育の充実などを図っていく必要性を指摘した。大学教育の国際化を念頭に、海外大学との大学間協定に基づく交流の拡大や、ジョイント・ディグリー、ダブル・ディグリーによるプログラム構築の促進を、国が支援することも求めている。
※「高専の留学生受入れ要件を高等学校と同等に」
さらに素案では、外国人留学生の受入れ推進の新たな施策として、高等専修学校の留学生受入れ要件を高等学校と同等の取扱いとするよう、提言が盛り込まれた。
また日本語教育関連では、現行の基本計画の内容が踏襲されており、日本語教育機関の認定制度と、日本語教師の新たな資格制度の創設を始め、「日本語教育の参照枠」を踏まえた日本語教育の標準化、オンライン活用、地域における教育体制づくりの支援等に言及している。
中教審では2月24日に行う部会でこの素案を審議し、近く文部科学大臣に対して答申を行う見通しだ。
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