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2023-04-12 13:04:00

 

~法務省の有識者会議が「報告書たたき台」を公表~

 

技能実習制度と特定技能制度に関する政府の有識者会議が10日、今後の大きな方向性として、技能実習制度を廃止し、人材確保と育成が目的の新たな制度を創設すべきとする「報告書たたき台」を公表したが、現状への問題提起では、特に実習の開始前後における日本語能力の確保が重要な論点となっていることが分かった。

 

技能実習生が来日する際の日本語力については現在、本人の能力や教育水準に関する明確な定めがなく、実習生によっては自身の意思表示もままならぬまま就労するケースがあり、監理団体など受入れ側の負担増や、双方のコミュニケーション不足に起因する諸問題の要因ともなってきた。

 

今回の「たたき台」では「入国前に一定の会話が通じ、自分自身で要求ができる程度の日本語能力」が必要と指摘し、要件として「入国時には日本語能力試験のN5以上、技能実習(2号)修了時には技能検定とともに日本語能力試験のN4以上の試験合格を必須にする」案を示している。ただ入国前に課す日本語能力が高すぎると、有用な外国人が日本を選ばなくなる懸念や、不透明な教育費用の要求、日本語能力の偽造証明書の流通など新たな問題が生じかねないため、「不当なハードルにならない取組が必要」ともしている。

 

また来日後においては、実習生が段階的に日本語力を向上させる仕組みが必要と指摘。監理団体が行う入国後の日本語教育に関し、講習方法・内容や科目ごとの時間数などに濃淡があるとして、今後は一定の基準を設け講習の質を担保するよう求めたほか、優良な監理団体認定の要件に、日本語学習を加算措置として採り入れる方策も示している。一方で日本語教育に伴う費用負担に関しては受入れ事業者や政府の負担で、オンラインコンテンツの作成、同教育を実施している自治体等とのマッチングなど、外国人材の負担をなるべく少なくする仕組みが必要としている。

 

今回有識者会議がまとめた「たたき台」では、技能実習制度が本来掲げていた「人材育成を通じた国際貢献」とは乖離している現状を踏まえ、新たな制度においては人材育成機能を維持しつつ、人材確保も制度目的に加え、実態に即した制度とすることを明記した。具体的には特定技能制度への移行を見据え、技能実習の職種を特定技能の分野と揃えることや、現行制度では原則不可とされている実習生の転職(転籍)についても、制限を限定的に残しつつ緩和していく方向性を打ち出している。

 

さらに「たたき台」は特定技能制度に関しても見直しを提言。現行制度では登録支援機関に日本語学習機会の提供が義務化されているが、現状は「機会の提供」にとどまっていて運用が不透明なため、「実効性に課題がある点については見直すべき」としたほか、政府が決めている分野別受入れ見込数の設定を、関係者の意見やエビデンスを踏まえた透明なプロセスとするよう求めた。

 

有識者会議では今秋をめどに、最終報告を提出する見通しで、政府の制度見直しに向けた対応が本格化する。

 

★民間賃貸住宅へ入居時のガイドライン 14か国語で公表中

 

新年度に入る前後から、留学生の間でも住居の移転が増えているが、国土交通省は外国人が民間の賃貸住宅にスムーズに入居できるよう、ガイドラインを作成し、英語、中国語、ベトナム語など14か国語で公表している。契約時に記載する入居申込書や重要事項説明書などの見本とチェックシート、さらには実務対応のQ&Aも各国語バージョンがあり、言語の壁を抱え日本の賃貸制度にも不慣れな外国人にとっては有益だ。関係団体によれば、外国人入居者が日本の賃貸住宅を退去時に、原状回復費用を請求されトラブルになることもあるといい、事前に賃貸ルールに関する正確な知識を知っておくことが大切となる。

管理会社の団体である(公財)日本賃貸住宅管理協会では、賃貸住宅の原状回復とは何かについて、ポイントを整理し公表している。

 

①外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について【国土交通省HP

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html

 

②外国人入居円滑化支援のご案内【(公財)日本賃貸住宅管理協会】

https://www.jpm.jp/foreign/

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