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2023-04-20 13:48:00

 

~政府有識者会議が新たな中間報告書案、留学生の就労分野にも一定の影響~

 

技能実習制度と特定技能制度に関する政府の有識者会議は19日の会議で、先に公表した「たたき台」に修正を加えた新たな「中間報告書(案)」を示した。この中では技能実習制度だけでなく、「特定技能の課題も検討することが必要」として、最終報告書のとりまとめに向けた議論の方向性を示している。目下、特定技能は留学生からの移行組も多く、今後の議論の帰趨は留学生の就職をめぐる環境にも一定の影響を及ぼしそうだ。

 

同案では、特定技能制度を「深刻な人手不足に対応するため、引き続き活用していく方向で検討すべき」とした上で、現行の技能実習制度廃止を前提とした新たな制度との関係性や、人材に対する支援体制と指導監督のあり方等について、具体的な議論が必要と指摘した。

 

また就労が可能な領域については、現在、技能実習制度の対象とされながら、特定技能制度には含まれていない職種や分野も、「業界からの要望及び受入れの必要性を前提として(特定技能への)追加を検討すべき」と明記。分野が極端に限定されている高度な「特定技能2号」に関しても、外国人と受入れ企業の双方にとりインセンティブとなるよう、対象分野の追加を求めている。これらが近い将来実現すれば、留学生が卒業後に日本国内で活躍できる分野の拡大にもつながりそうだ。

 

一方で同案は技能実習制度と同様、特定技能制度においても、①転職実績の把握、②労働者保護の視点に立った政策の総合的な検討、③業所管省庁における取組状況や労働市場への影響を踏まえた受入れ見込数の設定、などを課題に挙げた。

 

有識者会議では今後、同案を軸として具体的な制度設計を議論し、今秋をめどに最終報告書をまとめる。

 

高度外国人材の新制度が21日より運用開始

 

政府は岸田文雄首相が2月に表明した高度外国人材受入れに関する新制度の運用を、今週21日より正式に開始する。トップレベルの高度人材受入れ促進策である「特別高度人材制度(ジェイ・スキップ)」は、これまでの高度人材ポイント制とは別の枠組みで、学歴・職歴と年収が一定水準以上の外国人向けに「高度専門職」の在留資格を付与し、現行よりも拡充した優遇措置を認める。具体的な基準については別途、法務省令で定めるとしている。

 

同時に、将来有望な高度人材の卵を確保することを念頭に「未来創造人材制度(ジェイ・ファインド)」も新設し、優秀な海外大学の卒業生に対し、日本国内で最長2年間、就職活動や起業準備活動を行うことを認める。

 

外国人支援コーディネーターの育成・認証制度を創設へ

 

一方、法務省は政府が決定した「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」に基づく受入れを推進していく上で、生活上の困りごとを抱える外国人を適切な支援につなげるコーディネーターの役割が重要と判断。有識者による検討会がこのほど同内容に関する報告書をまとめたことも踏まえ、コーディネーターの育成・認証制度の創設に向けて検討を進めていく方針を明らかにした。

 

齋藤健法務大臣は先の定例会見で、検討会の議論では、外国人が適切な相談窓口や生活上必要な情報にたどり着くことができていないとの問題提起があり、その背景に外国人の相談対応支援の専門性や職種の特徴が社会的に認知・理解されていない、結果として、専門性に見合う評価等を受けることができない、などの状況があると述べた。

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