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2023-06-12 12:05:00

 

 

政府は69日、特定技能制度の中で熟練した技能が求められる在留資格「特定技能2号」について、対象となる分野を現在の2分野から11分野へと拡大する方針を閣議決定した。今後、入管法(出入国管理及び難民を認定法)の省令を改正し、正式に新たな枠組みへと移行する。これまで「特定技能2号」は建設分野と造船・船舶工業分野の一部(溶接区分)のみに認められてきたが、変更後は介護分野を除く全分野が対象となる。

 

今回「2号」の対象として追加されたのは、①ビルクリーニング、②素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、③自動車整備、④航空、⑤宿泊、⑥農業、⑦漁業、⑧飲食料品製造業、⑨外食業の9分野と、造船・船舶工業の内「溶接」を除く全業務区分。

 

出入国在留管理庁では、各申請者が要件を満たす技能水準に達しているかどうかは、分野別の試験と実務経験で確認し、試験の詳細は各分野を所管する省庁が定めるとしている。なお、「2号」に介護分野が含まれていないのは、すでに専門的・技術的な分野の受け皿として在留資格「介護」があり、同スキームで対応可能なためだという。

 

「特定技能」の在留資格を得て日本に在留する外国人は、昨年末時点で13万人を超えていて、特に飲食料品製造業が多く、国籍別ではベトナム出身者が6割近くを占める。またルート別では、日本国内で他の在留資格から「特定技能1号」に変更する人が全体の8割で、大半が「技能実習」からの移行組だが、一部は留学生が卒業後に日本で就職する際の受け皿ともなっている。今回、より高度な位置づけの「特定活動2号」の対象分野が大幅に拡大されたことで、外国人にとっては日本で就職後の長期的なキャリアプランを描きやすくなる。「特定技能2号」の在留資格を付与されると、将来的に日本永住への道が開かれるほか、配偶者の帯同も申請できるからだ。

 

政府は国策上、海外からの移民の受入れを否定してきたが、今回の運用見直しは産業界の人手不足を背景に、いわばなし崩し的に進む「移民政策」への第一歩ととらえる向きもある。一方で、従来はわずか2分野限定とはいえ「2号」付与者がわずか11名にとどまっており、「1号」からどの程度の移行を認めるかなど、今後の運用が成否のカギを握る。

 

9日に改訂された政府の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(以下「総合的対応策」)」では、「特定技能1号」による在留者が2024年度以降に順次、在留上限(5年)を迎えることから、計画的に試験を実施するなどして「特定技能2号に円滑に移行できるよう制度を適切に整備・運用する」と謳った。

 

※直近では「特定技能」新規来日者でインドネシアが首位に

 

 「特定技能1号」の在留資格を得て海外から新たに来日する外国人については、最近頭打ち傾向がみられるベトナムに代わり、インドネシアからの来日者数が出身国・地域別でトップを占める。2022年(1年間)の新規入国者(2418人)の内訳で見ると、インドネシアが4割近くに及ぶ8068人で、以下、フィリピン(3668人)、ベトナム(3221人)、中国(1972人)の順。今年に入ってからも同様の傾向は続いており、出入国管理庁によれば1月から3月までの「特定技能1号」新規来日者数の累計でみると、インドネシアが3027人で引き続き最も多く、ベトナム(1821人)、フィリピン(1260人)、中国(591人)などの内訳で推移している。

 

★日本語教育情報の多言語発信などを「総合的対応策」に明記

 

政府は外国人材の受入れに関する方向性と単年度で取り組むべき施策をまとめた「総合的対応策」を、今年度向けに改訂した。6月9日に開催した「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」で決定したもの。通常国会で日本語教育機関の認定制度と日本語教師の資格を整備する新たな法律が成立したことを受け、関係する部分の記載を一部変更した。

 

「総合的対応策」では、「日本語教育機関認定法」の確実な実施を図るため、「制度の詳細や運用について検討する」とした上で、▶日本語教育情報を一元的に発信する多言語情報発信サイトの整備、▶日本語教師の試験実施等に必要なシステムの検証、を進めると明記。引き続き日本語教育に対し、必要な支援措置を講じていく方針を示している。

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