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昨年(令和4年)1年間に、海外にある日本の在外公館で発給された「留学」ビザの総数が17万1495件とコロナ禍前を大きく上回ったことが、外務省の公表した最新のビザ統計から明らかになった。4年前の令和元年には年間約12万件に上っていた「留学」ビザの発給件数は、新型コロナウイルス感染症が拡大した令和2年は7万件弱に減少。さらに令和3年には入国制限が長期化した影響により、9106件まで激減していた。昨年は一転、日本政府による水際緩和が段階的に進み、3月以降、留学生の入国も本格的に動き出したことが数字上に現れた形だ。
※5万6千件で最多の中国 在外公館ごとの内訳は?
昨年、「留学」ビザが発給された対象を国・地域別にみると、中国(大陸)が5万6854件と最多で全体のほぼ3分の1を占めた。中国内の大使館や総領事館・領事事務所など在外公館ごとの発給件数をみると、北京の在中国大使館が1万7022件で、上海総領事館(1万4795件)、広州総領事館(7918件)の順に多い。さらに、重慶(5083件)、瀋陽(4873件)、青島(4696件)、大連(2024件)という内訳だ。これらのほか、香港とマカオを管轄する在香港総領事館が2227件となっている。
中国(大陸)以外の国・地域では、来日者が急増したネパールが2万9919件で、3位のベトナム(1万5317件)の2倍近くに達している。さらに韓国(9510件)、台湾(5069件)、インドネシア(4568件)、米国(4506件)、スリランカ(4317件)、ミャンマー(4216件)、バングラデシュ(3620件)などが続く。これらの内、ベトナムの内訳は、ハノイの在ベトナム大使館が1万963件、在ホーチミン総領事館が4331件と、北部での交付が圧倒的に多い。台湾も交流協会の台北事務所が3960件で高雄事務所が1102件、韓国はソウルの在韓国大使館が7678件で釜山の総領事館が1891件と、いずれも内訳に同様の傾向がみられた。在外公館ごとの「留学」ビザ申請件数では、国内の申請先がカトマンズのみとなるネパールの在ネパール大使館が、世界で最も多かった。
なお、外務省がとりまとめているビザ発給件数は、出入国在留管理庁(入管庁)が別途公表している外国人入国者数とは異なる。ビザの種類に違いがあることや、ビザを発給しても実際には入国しない事例が一定数あるためだ。入管庁の統計によれば、令和4年中に在留資格「留学」を取得し、新規で来日した外国人の総数は16万7128人となっている。
★教育振興基本計画を閣議決定 留学生受入れ40万人など盛り込む
政府は6月16日、来年度以降5年間にわたる教育政策の方針を示す「第4期教育振興基本計画」を閣議決定した。持続可能な社会の創り手を育成することを目指し、「人への投資」を重視しており、盛り込まれた5つの基本的方針では「グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」が柱に掲げられた。
具体的な施策としては、日本人学生・生徒の海外留学のほか、外国人留学生の受入れを推進すると明記。高等学校段階からの戦略的な受入れを進めるとして、日本留学の魅力の発信、外国人留学生に対する奨学金等の経済的支援、企業と連携した国内就職の支援を課題に挙げた。同時に、専修学校への外国人生徒の受入れを加速させるため、在留資格制度を改善し、高等専修学校(専修学校高等課程)の留学生受入れ要件を高校と同等にするとした。
大学等の国際化に関しては、外国人教員・留学生の受入れ環境整備や海外大学との大学間協定に基づく交流拡大、ジョイントディグリー・ダブルディグリーのプログラム構築などを重点的に支援する方針に言及している。
さらに基本計画では5年間で目指す教育指標として、日本人学生・生徒の6割以上が高校卒業段階の英語力でCEFRのA2レベル(英検準2級)相当以上に達することや、2033年までに日本人高校生の海外留学生数を12万人とする目標を掲げた。外国人留学生の受入れについては、すでに岸田文雄政権が打ち出した「高等教育機関及び日本語教育機関で38万人、高校で2万人」の計40万人を目指す方針が改めて盛り込まれた。国内進学者を除いた、卒業留学生の国内就職率を6割とする目標も明記している。
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