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~文科省調査で「グローバル人材育成と大学の国際化の状況」が明らかに~
文部科学省が全国の大学を対象に行った調査で、外国語授業や入学時期の多様化、海外大学との交流など、国際化対応に関する全般的な進捗状況が明らかになった。いずれの項目においても、コロナ禍前と比べれば一定の進展はあるものの、直近では概ね大きな変化はみられない。
同調査は令和4年10月から同5年1月にかけて行われ、全国の国公私立大学に、教育内容の改革・改善状況について尋ね、回答のあった775大学の状況をまとめたもの。各大学の令和3年度の状況が反映されており、大学教育の質向上に向けた取組、コロナ禍で進んだ遠隔授業の活用等のほか、「グローバル人材育成と大学の国際化の状況」についても個別に回答を得ている。
※英語による授業のみで卒業・修了できる学部・研究科は?
集計結果によると、回答があった大学の内、英語による授業のみで卒業(修了)できる学部・研究科の数は、学部が43大学(88学部)、研究科が118大学(295研究科)だった。前年度は学部43大学(86学部)、研究科106大学(276研究科)であり、学部の数はほぼ変わらないが、大学院が1割ほど増えている。このうち私大の学部では、早稲田大学の8学部、上智大学の6学部、立教大学の4学部等が先行しているほか、同志社大学(国際教育インスティチュート)、関西学院大学(国際学部)、中京大学(国際学部)等も、個別に英語対応済みだ。
※4月以外の入国 留学生では進まず
一方で、海外からの留学生受入れにプラスになるとされてきた「4月以外の入学制度」を設けている大学は、学部段階が261大学(前年度257大学)、研究科段階が342大学(前年度341大学)で、こちらも前年度と大差なかった。ただ、実際にこの制度を活用し入学した外国人留学生の数をみると、学部で1708人(前年度1743人)、大学院で6315人(前年度6307人)にとどまっており、前年度との比較でみると学部では35人減少している。日本の年度開始時期である4月期以外の留学生の入国は、想定ほどには進んでいない状況が改めて浮き彫りになった形だ。
※大学の海外拠点は留学生募集が主目的
また海外の大学との間で大学間交流協定を締結中の大学は全体の87%(679大学)で、協定に基づく単位互換を行っている大学も同55%(432大学)に上ったが、この内ダブル・ディグリーの実施大学は217校と同3割を下回っている。さらに、海外に拠点を設置する大学は前年度と同じ160大学で全体の2割程度となっており、私大が99大学を占める。海外での活動内容の内、最も多かったのは「留学生の受入れを目指した募集活動(15%、121大学)」で、現地情報の収集や海外での広報活動なども多い。また日本人学生の留学・インターンシップに伴う現地での支援とか、帰国した元留学生や外国人研究者とのネットワーク維持を目的に挙げた回答もあった。
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