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~必須の「教育内容50項目」等への対応状況を確認、来年1/15まで~
文化庁は来年度からスタートする「登録日本語教員」で、現職教員が経過措置の対象となるための要件である日本語教員養成課程について、個々の養成課程が、必須とされている教育内容に対応しているか否かについて、確認申請の受付を始めた。この経過措置は、当面の間、資格を取得しなくても、所定の要件を満たす現職教員について一部の試験を免除し、円滑に移行できるようにするためのもの。同庁のワーキンググループで11月2日に示された経過措置案によれば、現職者が経過措置の適用を受ける際には、①文化審議会国語分科会が示した必須の「教育内容50項目」、②日本語教員養成に関する平成12年報告が指定した「5区分の教育内容」、等に対応した課程を修了しているかどうかで、必要な試験や講習の内容が変わってくる。
文化庁では今回、経過措置の対象となり得る日本語教員養成課程を公募することにより、求める教育内容に対応した課程と実施期間を確認し、有識者の審査を経て公開するとしている。
申請には所定の申請書のほか、申請機関の概要、開設科目一覧、科目の内容(シラバス)と履修方法に関する書類を提出する必要がある。受付はすでに始まっていて、締め切りは来年(令和6年)1月15日。文化庁国語課の日本語教育推進室までメール(nihongo@mext.go.jp)で申請する。
↓↓関連記事バックナンバーより 【2023.11.6号】
★登録日本語教員の経過措置 検討進む
~現職教員対象のルート、6パターンに分かれる~
来年度から始まる日本語教員の国家資格(登録日本語教員)では、当面資格を取得しなくても、所定の要件を満たす現職教員について円滑に移行できるよう経過措置が設けられる見通しだが、これに関する具体案の検討が進んでいる。
経過措置が適用される対象は原則として、新たな法律が施行される前後5年間(平成31年4月1日~令和11年3月31日)の間に、法務省告示機関や大学、文部科学大臣指定の日本語教育機関等で日本語教員として1年以上勤務した者とされている。
11月2日に文化庁が開催したワーキンググループでは、現時点での経過措置案が示された。「登録日本語教員」の養成機関と同等と認められる現行の「必須50項目(下記※参照)」に対応した課程を修了しているか否かで、講習の要否が変わるほか、「日本語教育能力検定試験」の合格者も含めると、現職者が経過措置の適用を受けるためのルートは全6パターンに分かれる形となった。
通常、「登録日本語教員」となるためには「基礎試験」と「応用試験」に合格し、登録実践研修機関での「実践研修」を修了する必要があるとされているが、現職教員向けの経過措置では、①「必須50項目」対応課程の修了者には応用試験の合格のみを、②「必須50項目」対応以前の課程修了者には応用試験合格のほかに、講習受講と同修了認定試験の合格を求め、いずれも基礎試験と実践研修は免除する。また③「日本語教育能力検定試験」の合格者については、新たに講習受講・同認定修了試験の合格のみが必要で、基礎試験、応用試験、実践研修は全て免除となる。今回示された案では、上記②は養成課程の内容によって、③は受験時期によって、それぞれ受講が必要な講習の内容が、2パターン(講習ⅠとⅡの両方、または講習Ⅱのみ)に分かれる。さらに、上記①~③のいずれにも該当しない現職者は、実践研修のみが免除され、基礎試験・応用試験とも合格が必要となる。
今回示された案では、上記①と②の対象者要件として、新たに、「学士以上の学位を有する者」が加わった一方で、①の「必須50項目」対応課程修了者については、勤務1年要件(上記緑表記の要件)は求めないとしている点も注目される。
なお、経過措置の期間に関しては、原則5年だが、①についてはさらに4年を追加し、令和15年3月31日までの9年間とする案が先般ワーキンググループから示されている。養成課程を実施する大学等の準備が遅れた場合、原則5年の経過措置が終了した直後に登録機関として実践研修・養成課程を開始するケースも想定されるためとみられる。大学の修業年限(4年)分を延長することで、それ以前から在籍していた学生が不利益を被らないよう配慮した形だ。
※「必須50項目」:文化審議会国語分科会が「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版(平成31年3月4日)」で示した「日本語教師の養成における教育内容」で、全50項目に上る。「日本語教育とICT」、「目的・対象別日本語教育法」等を新たに加えたほか、「教育実習」や「授業分析・自己点検能力」等の中身も変更されている。
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