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昨年(令和4年)1年間に、日本企業等への就職を目的に在留資格の変更許可を受けた留学生が3万3415人と、単年で統計史上最高の数を更新したことが、出入国在留管理庁のまとめでわかった。留学生の就職許可件数は新型コロナウイルス感染症が拡大する直前の令和元年に3万人の大台を突破したものの、以後コロナ禍により2年続きで停滞。昨年は企業活動が正常化し始めたことで採用意欲がやや回復したとみられ、対前年比で15%増えた。申請数(処分数)に対する許可率は94.5%とほぼ「完全交付」に近い。
就職の在留資格別では「技術・人文知識・国際業務」が2万8853人で全体の86%を占めたほか、「特定活動」2087人、「教授」934人等が伸びた。かたや近年増加傾向にあった起業等の「経営・管理」は430人と、前年より124人マイナスに転じた。
就職者の出身国(地域)別では、最多の中国が再び1万人に乗せた(1万182人)ほか、2位のベトナムが前年比22%増の8406人とこれに肉薄。ネパールは同31%増の5769人と主要国中、伸びが特に顕著だった。さらにスリランカ(1347人)、韓国(1212人)を含めた計5カ国が千人以上となっている。
就職先の業種別では「卸売業・小売業」が全体の2割(9025人)に及び、「学術研究、専門技術・サービス業」、「情報通信業」、「宿泊業」等が各3千人台で続く。「医療・福祉業」は2664人だった。これら非製造業が全体の8割で、製造業は金属製品(1284人)、食料品(956人)が目立つ程度だ。職務内容は「翻訳・通訳」が8792人で最も多く、「情報処理・通信技術」、「企画事務」、「管理業務(経営者以外)」が各4千人前後に上る。
就職先企業の規模を見ると、資本金1億円以下、及び従業員数で1千人未満の企業がいずれも8割近くを占めていて、留学生の主要な就職先の受け皿が中小企業である実態には概ね変わりはない。
就職者の日本での最終学歴別では、専門学校1万6191人、大学9770人、大学院6002人で、卒業したベトナムやネパール出身者が多く在籍していた専門学校と、中国出身者が多数の大学・大学院が、全体をほぼ二分する形となった。短期大学は1143人だった。
留学生が就職した企業の所在地(都道府県)別では東京都が1万2186人で全国の36%に達したほか、大阪府(3129人)、神奈川県(1969人)、埼玉県(1595人)、愛知県(1575人)、千葉県(1480人)、福岡県(1289人)の順に多い。採用企業が多い首都圏に、就職者全体の過半数が集中する構図となっている。
なお上記の統計には、「留学」から「特定技能」へ在留資格を変更した者は含まれていない。一方で、卒業後の継続就職活動等を目的とした「特定活動」から就労資格への在留資格変更分は対象としてカウントされている。