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2024-01-09 14:06:00

 

~認定基準の具体的な運用ルールが徐々に明らかに~

 

今年4月に日本語教育をめぐる大きな制度変更が行われるのを前に、文化庁と文部科学省は昨年の通常国会で成立した「日本語教育機関認定法(以下「認定法」)」の具体的な運用を定めた法律施行規則と文部科学省告示を公布した。昨年11月に定めた法律施行令を受けたもので、いずれも41日より正式に施行される。認定法は日本語教育機関の新たな認定制度と日本語教員資格の創設が大きな柱で、政府が掲げる外国人との共生社会づくりに向けた環境整備の一環とも位置づけられる。

施行規則等の中では、認定法の条文・附則と認定基準で定められた内容について、個別に留意事項を併記しており、これまで曖昧だった部分が徐々に明確になってきた。本稿では今回示された運用方針の中から、ポイントとなる事項を整理する。まず1回目は、認定日本語教育機関に関する内容から。

 

1:留学課程の修業機関に関する特例

 

新たに認定される認定日本語教育機関の内、「留学」のための課程は原則1年以上でなければならないと定められているが、「文部科学大臣が別に定める特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、六月以上とすることができる」ともされている。この「6か月特例」が適用される要件では、課程が目標とする日本語能力や必要な知識・技能を短期間で修得するのに十分な教育内容と、留学生の在籍管理が適正に実施できる体制の整備を必須とした。

 

2:同時に授業を行う生徒数の特例

 

認定日本語教育機関で同時に授業を行う生徒の数は原則20人以下とされ、例外的に教育上支障がない場合はこの限りでないと定めている。20人を超えることが可能な授業については、①生徒の日本語能力がおおむねB1以上で、個別の指導機会が減少しても独力で授業を理解する力がある、②生徒の人数に対して最低面積以上の広さを有する教室において実施される、③授業時間の半分以上が生徒の設問への回答時間に充てられる等、教員と生徒のコミュニケーションを必要とする機会が比較的少ない、等の場合に限定されると規定。これらを満たす場合でも「本規定を使った授業を多用することは適切ではない」と釘をさしている。

 

3:「留学」課程の授業を行う時間

 

「留学」のための課程の授業は、日本語教育課程での学習を主目的に在留する留学生を主対象とする性質上、日中に日本語の学習が行われることが適当と考えられ、原則、午前8時から午後6時までの間に行われる必要があると定めた。特に、夜間に授業を実施する運用は認められないとしている。

 

4:収容定員数と設置課程

 

新たな制度では、日本語教育課程の設置目的別に「留学」・「就労」・「生活」の各課程に区分されており、日本語教育機関では課程ごとに収容定員数を決め、その数を超過した受入れは認めていない。だが例えば「留学」目的の課程で修業期間が1年と2年の課程を併設した場合には、両課程を合計した収容定員数の範囲内であれば、各課程の収容定員を超えて受入れることは問題ないとした。

 

5:日本語教育機関の事業引継ぎ

 

日本語教育機関の認定は「日本語教育機関の設置者がこれを受けるもの」と規定されている。認定日本語教育機関の設置者が同事業を他の法人や個人に引き継ぐ場合には、新たな設置者である法人や個人が改めて認定を受けなければならず、親会社や子会社、関連会社等への引継ぎであっても、他の法人や個人である限りは同様とした。もし新たな設置者が認定を受ける前に引継ぎが行われた場合、この日本語教育機関は、新たな設置者が認定を受けるまでの間、認定日本語教育機関とはみなされず、認定日本語教育機関の名称を用いてはならないとも定めた。

 

6:日本語教育課程の新設や収容定員数の変更に係る変更の届出

 

認定日本語教育機関が設置している日本語教育課程の設置目的(「留学」・「就労」・「生活」)を変更する場合には、実質的に別の日本語教育課程を実施するものと位置付けられ、既存の日本語教育課程の変更ではなく、既存課程を廃止し改めて日本語教育課程を新設する必要があるとした。

 

7:仲介手数料等の点検・評価

 

日本語教育機関が定期的な点検・評価を行うことが求められている項目の中には「財務に関すること」が含まれるが、これに関連し、入学者の募集や生徒の入学手続支援等を行う者に対し支払った仲介手数料等の適正性についても評価を行う必要があるとした。質の高い日本語教育を安定的に確保する観点から、生徒一人当たりについて支払う仲介手数料等の額は「日本語教育機関が生徒から徴収する授業料等の額と比較して、相当程度高額でないこと」を求めている。

 

(※次号では「登録日本語教員」と「大学の日本語教育課程」について掲載予定。

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