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昨年末(令和5年末)時点で留学生として日本に在留する外国人が前年より約4万人増の34万0883人となり、コロナ禍前の水準に戻ったことが出入国在留管理庁のまとめで分かった。在留資格「留学」所持者の数は令和元年末に過去最高となる34万5791人に達したが、新型コロナ拡大の影響により直後の2年間で14万人近く減少。その後の水際緩和を受けて、令和4年末には30万人までV字型回復していた。昨年以降も留学生の新規入国者数は順調に推移しており、こうした流れが在留者数にも反映された形だ。
「留学」在留者を出身国・地域別にみると、最多の中国が13万4651人と全体の4割近くを占めた。コロナ禍の前後を比較しても、中国出身者の比重は4割前後でほぼ変わっていない。これに次ぐのが近年急増しているネパール(5万5604人)で、初めて2位に浮上した。3位のベトナム(4万3175人)を合わせた主要3か国で、留学生全体の68%に達する構図だ。
さらに韓国(1万4671人)とミャンマー(1万2177人)、及びスリランカ(1万0378人人)が1万人を超えているほか、台湾(8154人)、インドネシア(7741人)、バングラデシュ(7231人)等も一定数に上る。
都道府県別の「留学」在留者では、全国の3分の1近くを占める東京都(11万2916人)を筆頭に、大阪府(3万7318人)、福岡県(1万9921人)、京都府(1万7701人)、神奈川県(1万6473人)、埼玉県(1万6455人)、千葉県(1万5507人)、愛知県(1万5169人)、兵庫県(1万3664人)の計9都府県が1万人を超えている。
なお、同様に昨年末時点で、留学生が卒業後に日本企業等へ就職する際に取得する在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留者数は、前年から約5万人増の36万2346人だった。「技・人・国」の出身国・地域別では、ベトナム(9万3391人)が中国(9万2141人)を上回り、最多となっている。また「技能実習」は40万4556人、特定技能は20万8462人で、いずれも同7-8万人増えている。在留外国人全体の数は341万人余りで、過去最高を更新した。
★学校除籍後の在留等で「留学」の在留資格取消が183件
昨年(令和5年)1年間に、留学生が「留学」の在留資格を取り消されたケースが183件に上ることが、出入国在留管理庁のまとめで分かった。同取消の件数は令和2年にピークとなる524件に達した後、翌年(令和3年)は157件に激減したが、ここ2年は再び増加傾向に転じている。
入管難民法では、在留資格に応じた活動を一定期間行うことなく在留していた場合等に在留資格を取り消すことができると定めており、在留資格「留学」の場合はこの期間が3カ月となっている。昨年の取消事例で特に多かったのは、学校を除籍された後、学業に携わることなく3カ月以上在留していた等のケースで、7割近く(126件)を占める。また同時にこうした対象者がアルバイトを行うなど、他の活動を行いつつ在留している事例も3割(56件)に上った。
「留学」を取り消された者の出身国別ではベトナム(121件)が全体の6割で、中国(17件)、ネパール(12件)など、いずれも留学生在籍者数の多い国となっている。
在留資格「留学」の所持者全体(約34万人)に占める在留資格取消者の割合は0.05%にすぎないが、こうした事例を減らしていくためにも、取消ルールを含めた在留資格制度に関する留学生への周知が、改めて課題となりそうだ。
なお、令和5年における、他の在留資格も含めた在留資格取消件数は全体で1240件となり、前年より1割増えている。在留資格別では「技能実習」が983件で最も多かった。
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