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~政府が分野別の受入れ見込み数を運用方針に盛り込む~
政府は先週「外国人の受入れと共生に関する関係閣僚会議」を開き、「特定技能1号」の対象分野として新たに自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、現行12分野と合わせ計16の特定産業分野とすることを閣議決定した。既存の技術系分野である「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は名称を「工業製品製造業分野」に変更し、同分野を含む計3分野において新たな対象業務が追加されている。同時に政府は、今年4月以降の向こう5年間で、「特定技能1号」外国人の受入れ見込み総数(上限数)を82万人とする方針を決定し、各分野別の受入れ見込み数を「分野別運用方針」に盛り込んだ。
出入国在留管理庁のまとめによれば、昨年末時点で在留資格「特定技能1号」を有し国内に在留する外国人は20万8462人にとどまっていて、今回政府が決めた見込み数はその4倍の規模に相当する。今後新たに創設される「育成就労制度」が、「特定技能1号」への育成期間(3年間)と位置付けられており、向こう5年間の後半には育成就労からの移行も想定しているとみられるが、現状からみて目標数値のハードルは相当高く設定された印象だ。
小泉龍司法務大臣は閣議決定後の会見で、この見込み数が「大きい数字」であるとの受け止めを示した上で、制度が導入された5年前と比べ、人手不足への対応から外国人の受入れニーズが高まっている点を理由に挙げた。閣議決定に先立つ与党内の議論では、労働条件の向上など国内の人材確保に向けた努力を先行させるべきとの声もあったが、小泉大臣は「生産性の向上、或いは国内における雇用の拡大がまずあって、その次の手段として外国人労働者の受入れということはしっかりと枠組みとして設定されている」と述べた。
政府がこのほど策定した特定技能の在留資格に関する「分野別運用方針」によると、令和10年度末まで5年間の全16分野における受入れ見込み数(上限数)は、「工業製品製造業」が17万3300人で最も多く、「飲食料品製造業」(13万9千人)と「介護」(13万5千人)を合わせた3分野が10万人以上。さらに「建設」8万人、「農業」7万8千人、「外食業」5万3千人、「ビルクリーニング」3万7千人、「造船・舶用工業」3万6千人、「宿泊」2万3千人、「漁業」1万7千人、「自動車整備」1万人、「航空」4400人となっている。
また、今回追加された新分野の中では「自動車運送業」(2万4500人)の数が突出していて、「木材産業」は5千人、「鉄道は」3800人、「林業」は1千人にそれぞれ設定された。
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