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2024-04-09 14:07:00

 

2023年末現在の「在留外国人数」統計から読み解く~

 

出入国在留管理庁が先に公表した在留外国人統計によれば、2023年末時点で「留学」の在留資格を得て日本に在留する外国人は34883人で、この内ほぼ4割(134651人)を中国出身者が占めた。他の在留資格所持者を含めた在日外国人全体においても、中国出身者の数は821838人と、これに次ぐベトナム(565026人)や韓国(41156人)の出身者を大きく引き離し、出身国・地域別で最多となっている。来日外国人の日本における在留目的が多様化する中、「留学」以外の在留資格をもつ中国出身者の状況はどのように推移しているのか。過去の状況を含め、最新の概況を整理する。

 

1)在留者の4割占める「永住者」が33万人

 

日本に在留する中国出身者の内、在留資格別比率が4割と最も高いのは「永住者」であり、その数は33810人に上る。全ての国・地域を含めた「永住者」全体(891569人)の内訳をみても、中国出身者の割合は37%と群を抜く。「永住者」はもともと「留学」や「家族滞在」等、他の在留資格で来日後、就労等を目的とする在留資格に変更するなどして長期間にわたり日本に在留し、日本国内に生活の拠点を持つ人が大多数に上る。中国出身「永住者」はすでに10年前(2013年末)の時点で20万人に達しており、新型コロナが拡大する直前の2019年末には27万人、さらに22年末には30万人を突破。昨年末時点の数は、前年(2022年末)よりもさらに約26千人増えている。

一方で、日本政府は最近、「永住者」の内、納税や社会保険料納付等の義務を果たしていない在留者について、永住許可の取り消しを含めた措置を検討する方針を示した。中国出身者に限らず、今後はこうした該当者への対応強化が見込まれる。同措置と並行して、新たな永住許可申請に対する入管庁の審査がどのように変化するかも、当面の焦点となる。

 

2)「技・人・国」では4分の1占めるもベトナムが先行

 

中国出身の在留資格所持者の内、「永住者」と「留学」に次いで実数が多いのが、「技術・人文知識・国際業務」だ。簡略化して「技・人・国」とも呼ばれる同資格は、主に日本での就労を目的とするものであり、留学生が日本の大学や専門学校を卒業後に日本企業等で就職する際の主要な在留資格となっている。近年、日本企業のグローバル採用拡大などを受け、「留学」から就労目的の在留資格へと変更する中国出身者は単年度で1万人を超えていて、「技・人・国」の在留資格を持つ外国人の数も、コロナ禍の一時期を除けば、順調に増え続けている。その主要な担い手となっているのが「留学」からの移行組であり、昨年末時点で在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもつ中国出身者の数は92141人に上った。この数は同資格所持者全体の4分の1に相当する規模だが、出身国別内訳では今回初めて、ベトナム(93391人)が中国をわずかに上回っている。

背景には、世界的な経済構造の再編に伴い日本企業の主要な展開地域が東南アジア等へとシフトしていることや、一人っ子世代が占める中国出身者のキャリアプランの変化、さらには為替の急激な円安傾向もあるとみられる。なお、昨年末時点の内訳は現時点で不明だが、日本での企業経営等を目的とする在留資格「経営・管理(全国籍者で37510人)」も、中国出身者が多数に上る見通しだ。

 

3)「技能実習」と「特定技能」では薄い存在感

 

さらに前出の就労目的をより広い範囲で見た場合、「技能実習」と「特定技能」も同じカテゴリーに含まれ得る。中国出身者でみると「技能実習」は28860人、「特定技能(1号・2号)」は13468人が、それぞれ在留資格を持ち日本に在留している。ただ規模でみると「技能実習」は10年前(約107千人)の4分の1程度の水準で、全体(約404千人)に占める中国出身者の比率は7%となっていて、出身国別最多であるベトナム(約203千人)の1割強にすぎない。また「特定技能」においても最多のベトナム(約11万人)との対比では圧倒的に少なく、出身国別ではインドネシアやフィリピンを下回る4番目となっている。日本政府は現行の技能実習制度を廃止し、人材確保を主眼とする「育成就労制度」を創設することを先に決定したが、経済構造が大きく変化する中、中国に関しては新制度においてどの程度の来日希望者が見込めるのか、先行きは不透明だ。

 

⑷「家族滞在」「日本人の配偶者」とも出身国別で最多

 

一方で、中国出身の在留者の数が相当数に上っているのが、親族に関わる在留資格である「家族滞在」と「日本人の配偶者等」だ。まず「家族滞在」は出身国別で2位のベトナム(52523人)や3位のネパール(5382人)を上回り、中国が76131人で最も多い。元来、3か国とも「留学」や「技・人・国」による在留者が多い国でもあり、現に「家族滞在」自体、留学生の本国における配偶者と子女が来日するための在留資格だ。また「日本人の配偶者等」は中国(26426人)とフィリピン(26201人)が双璧で、両国は日本人の国際結婚における相手方の主要な出身国となっている。中国出身者では、このほかに在留資格「定住者」が29615人いる。

 

5)「特定活動」滞在者も一定規模に

 

なお全体の中ではごく少数だが、「特定活動」の在留資格を得て日本に在留している中国出身者も9942人に上っている。一口に「特定活動」といっても、入管庁がその範疇に含めている在留目的は非常に広い。例えば留学生が卒業後も引き続き就職活動を行う「継続就職活動」や、在学中及び卒業後から採用までの滞在期間に在留するための「内定待機者」向け、さらには高度な日本語力を運用する業務に従事するための通称「特定活動46号」まで、多種多様だ。今後、来日者の多国籍化と在留目的のさらなる多様化が進めば、既存の在留資格区分では収まらないこうした在留スキームによる在留者が、より増えることも想定される。

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