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JASSOが調査結果を公表 水際緩和で4年ぶり増加
日本学生支援機構(JASSO)が昨年5月時点で留学生受入れ機関を対象に行った在籍状況調査の結果が明らかになった。日本国内の教育機関に在籍する留学生数は対前年比2割増の27万9274人と、新型コロナが流行する前の2019年以来4年ぶりに対前年比でプラスに転じた。
JASSOのまとめによると、留学生の出身国・地域別では中国が11万5493人と全体の41%を占めた。中国出身者の比率はここ数年、高止まり傾向にある。一方、他の主要国・地域の中で急増したのがネパールとミャンマーで、ネパールは対前年比56%増の3万7878人と、ベトナム(3万6339人)を上回り、2位に浮上した。ミャンマーは同倍増の7773人で、韓国(1万4946人)に次ぎ上位5傑に入った。このほか、台湾(6998人)、スリランカ(6819人)、インドネシア(6552人)、バングラデシュ(5326人)も含めると、5千人超が計9か国・地域に上る。欧米諸国では米国(4076人)が最多だった。
在籍段階別でみると、大学(学部)が8万362人、大学院が5万5539人、専修学校(専門課程)が4万6325人のほか、高等専門学校501人、短期大学1955人、準備教育課程3873人となっており、これら高等教育機関の中では大学(学部)の増加率が最も高かった。専修学校(専門課程)は1割減少した。一方で、特に対前年比の伸びが著しかったのが日本語教育機関で、同84%増の9万719人と、コロナ禍前のピークである2018年(9万79人)を上回った。一昨年以降、新型コロナに対する水際対策が段階的に緩和され、V字型回復し始めた来日留学生の、最初の受け皿となっていることが数字上も表れた形だ。
留学生の専攻分野別では、人文科学が13万4310人と全留学生の半数近くを占め、以下、社会科学(5万7563人)、工学(3万5135人)、芸術(1万1560人)、保健(6073人)、理学(4640人)、農学(4057人)の順となっている。
都道府県別(学校所在地)の在籍留学生数では、東京都(10万197人)を筆頭に、大阪府(2万8324人)、京都府(1万7743人)、福岡県(1万6971人)、兵庫県(1万3080人)、愛知県(1万2463人)の1都2府3県が、1万人以上を擁する。首都圏では東京都のほか、千葉県(8649人)、埼玉県(8593人)、神奈川県(8117人)も相当数に上る。
※留学生受入れ数の多い大学は?
JASSO調査では、昨年5月1日時点で主要大学に在籍していた留学生の数も明らかになった。全国最多の留学生受入れ校は前年度、東京大学だったが、23年は5560人の早稲田大学が逆転し、再び首位となった。2位の東京大学(4658人)を始め、総数上位10校の内、国立大学が京都大学(2844人)、大阪大学(2712人)、九州大学(2526人)、筑波大学(2342人)を含めて半数を占める。
私立大学で総数10傑入りしているのは、早稲田大学のほか、立命館大学(3027人)、立命館アジア太平洋大学(2662人)、日本経済大学(2334人)、慶應義塾大学(2146人)の5大学。このほか、東洋大学(1712人)、日本大学(1708人)、京都情報大学院大学(1688人)、東京福祉大学(1669人)、東海大学(1610人)、明治大学(1568人)などが多い。さらに上智大学(1516人)、東京国際大学(1395人)、拓殖大学(1356人)、同志社大学(1246人)、関西大学(1228人)など、全体の上位30傑以内にランクインした私立大学は19大学に上っている。
※24年度も在籍数は増加の見通し
なお本調査はほぼ1年前の昨年5月1日時点における統計であり、同月中に新型コロナに対する政府の水際対策がほぼ解除されている。その後も新規入国する留学生数は順調に推移していて、出入国在留管理庁がまとめた昨年末時点の在留外国人統計によると、在留資格「留学」をもつ外国人の総数は34万883人と、ほぼコロナ禍前の水準に戻っている。23年中に「留学」の在留資格を取得し新規で来日した外国人の数も13万9574人と、2年連続でコロナ禍前3年間における新規入国者数の平均値(2017‐19年、各約12万人)を上回った。本格的な回復期に入った各教育機関における留学生数は、2024年度も引き続き増勢が続くとみられる。
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