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~中教審・高等教育の在り方に関する特別部会が答申案を修正~
中央教育審議会の大学分科会は12月4日に開催した特別部会において、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方に関する答申案を引き続き討議した。教育研究の質の向上やアクセス確保、社会的に必要な高等教育の規模適正化策等が主要な論点となっていて、今後2040年までに大学学部進学者の規模が25%減少する予測を踏まえた制度改革と財政支援を国に対し求める方向だ。
この内、「多様な学生の受入れ促進」をめぐっては、外国人留学生の受入れと日本人学生の派遣推進を両輪とする「留学生モビリティ拡大」が答申の素案段階から盛り込まれているが、さらに「優秀な外国人留学生の受入れにつながる弾力的な定員管理方策について検討し、制度改善を行う」方針が追記された。留学生を含めた多様な進学希望者が目的に沿った大学選びができるよう、各高等教育機関の情報公表をより進めていく必要性にも言及し、一例として学則の公表義務付けを課題に挙げた。
また高等教育機関の規模適正化に関連し、答申の修正案では一定の学士課程定員の規模縮小をしつつ、質を確保した上で留学生や社会人を増加する大学や、学内資源を学部から大学院へとシフトする大学に対し支援を行うことを求めた。
一方で経営・教学面で一定の質が確保できない教育機関は「学生保護の観点から縮小・撤退を進める必要があり、そのための仕組みの構築が求められる」との観点で、厳格な設置認可審査への転換にも言及している。東京23区内における大学学部の収容定員増加に対する規制については、2028年3月までに地域における若者の修学・就業状況を踏まえ必要な措置を講じるとの政府方針を注視していく考えをにじませた。
さらに高等専門学校に関し、素案にも記載されていた学生の海外派遣、留学生の受入れ、海外での日本型高専教育の導入支援等を引き続き推進し、「世界と渡り合える技術者育成」を進めると明記。専門学校についても優秀な外国人留学生の受入れ促進と卒業後の定着に向けて「卒業後の就職機会の拡大に資する取組を推進する」と謳った。
修正後の答申案では、高等教育を▶地域の成長・発展を支える人材、▶世界最先端の分野で活躍する人材、▶グローバルな競争環境で戦える人材等、多様で厚みのある人材育成を通じ、社会の新たな知の創出やイノベーションに重要な役割を担うものと定義。高等教育に対する投資を「未来への先行投資」と位置付け、素案段階よりも強いニュアンスで国に少子化対応の強化を迫る内容となっている。
特別部会ではさらに最終答申に向けた審議を続け、今年度中に一定の結論を得る予定だ。
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