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〜認定日本語教育機関、就職を目指す課程は「B2未満もあり得る」~
文部科学省は認定日本語教育機関が設置する「留学のための課程」について、日本語力の到達目標の設定など課程運営のあり方に関する方針を改めて示した。大学等で教育を受けることを目的とする課程の到達目標に関しては、修業期間や具体的な進学先にかかわらず、日本語教育の参照枠が定めた「B2相当以上」であることを、文科省が認定等に当たり確認するとすでに規定している。「B2」は「日本語教育の参照枠」で定められた評価基準(C2~A1)の上から3番目で、日本語能力試験(JLPT)のN2相当とされる。
今回文科省はQ&Aの内容を改定した中で、大学のほか、専門学校も含め高等教育機関への進学を目標とする「留学のための課程」については、日本語能力の到達目標を「B2以上」とすることが必要との見解を明記した。例えば、専門学校への進学を目指す課程でも、到達目標をB1に設定することは認められないことになる。
一方、「留学のための課程」の中で、就職など進学以外を目標とする課程については、日本語能力の到達目標をB2未満とすることがあり得るとした。昨今、漢字文化圏以外の国からの来日者で、日本語教育機関を修了後、ダイレクトに日本企業等へ就職するケースが増えている現状を踏まえたものとみられる。
認定日本語教育機関には日本語教育課程の設置目的ごとに「留学」、「就労」、「生活」の3系統があり、認定審査は別々に行われる。この内、就労のための課程は、主として日本国内で就労する者に対して必要な日本語教育を行うことを目的とするものだが、同様に日本での就職を目的とする課程でも、留学生を受入れる場合には「留学」のための課程を置く必要があると法務省令で規定されている。つまり留学課程の中には、進学目的の課程のほかに、就職を目的とする課程を置くケースが想定されるが、求められる日本語力の到達目標はそれぞれの設置目的によって変わり得ることが今回明確となった形だ。
なお、生徒が進学課程と就職課程の間で移動することの可否について文科省は、どちらも「留学のための課程」として設置されたもので、且つ課程間における教育の連続性が担保され、移動先で到達目標が達成できることを前提に、容認され得るとの見解も示した。とはいえ、あくまでも実現性を確認する必要があるとして、実施に際しては慎重な検討を求めている。
また「留学のための課程」と、「就労のための課程」及び「生活のための課程」で、各課程間の移動は認められないと改めて規定した上で、教育課程ごとに目標や修業期間を具体的に設定する必要があり、目指す進路等が異なるような場合は、別々の課程として整理する必要があるとの原則も示した。例えば、同一の教育課程で選択科目として複数の系統を設置するなど、個々の生徒の学習進度に応じた対応は可能だが、初級段階は同一内容で中級段階から進学と就職に分岐するというような課程編成は認められないことを示唆している。
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