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~Global×Innovation人材育成フォーラム「最終まとめ」を公表~
文部科学省が昨年設置し、留学促進策に関する意見交換の場として議論を重ねてきた「Global×Innovation人材育成フォーラム」が、このほど「最終まとめ」を公表した。内容は、未来を担う若者の多様な成長を支える留学機会の提供と留学機運の醸成、経済的支援など、日本人学生の海外派遣に重点を置く。同時に、日本人学生の留学意欲の喚起や、高度外国人材確保の観点から、優秀な外国人留学生の受入れについても詳述しており、「留学モビリティ」拡大に向けた支援体制の構築を求めるものとなっている。
留学生受入れ面に関し、「最終まとめ」では、高等教育段階の外国人留学生数が昨年5月時点で34万人に上り、政府が掲げる2033年までの目標値38万人の達成に向けて順調に推移している点に言及した。一方で、卒業後の国内定着を示す目安となる留学生の国内就職率は2023年時点で51.6%にとどまり、目標の60%達成には「戦略的な取組が必要」と位置付けた。
具体的には、現在の留学生受入れは特定の国・地域からの比率が高く、多様性確保の点で課題があることを指摘。台頭するグローバルサウス諸国からの積極的な招致や、優秀な研究者・学生のリクルーティングなど「パッケージ化した支援」を訴えている。
優秀な留学生の国内定着に向けた取り組みでは、ビジネス日本語をはじめとした一定以上の日本語能力の修得支援や、母国と日本間の企業文化・マインドの違いを学ぶ機会の提供が必要と指摘した。大学等において英語のみで修了できる学部の増設が重要としつつ、これらの学部入学者に対しても4年間で日本語を習得できるようにすることが有意義としている。
また、日本社会の少子化が加速する中、持続可能な形で双方向の留学交流を拡大する観点から、大学等の体制整備を特に重視。日本人学生の海外派遣と外国人留学生の受入れを車の両輪とし、大学等が「国際ゲートウェイ」としての役割を担うよう提言している。特に地方大学においては、留学人材の定着促進と地域創生を担うことへの期待が盛り込まれた。
「最終まとめ」では、キャンパス内で日本人学生と外国人留学生が、共に学び生活できる学習・交流環境を整備するなど、共生社会の実現に貢献する大学に対しては、「政府から明確なインセンティブを付与することが望ましい」とした。これら提言が今後、具体的な施策づくりにどう反映されるか、注目される。
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