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2022-02-08 11:59:00

~入国制限の長期化で 国内の日本語教育基盤に決定的な打撃~

福岡大学はこのほど学内の留学生別科について、今年秋季(9月)入学以降の学生募集を停止することを決めた。福大関係者によれば、別科自体の廃止ではなく、当面の間の措置だという。同別科は留学生の学部・大学院進学を支援するため2012年に開設された。入学時期は4月と9月の年2回設けられ、今年4月期生までは一貫して募集を行ってきた。新型コロナウイルス感染症の影響で留学生を含めた外国人向けの厳格な水際措置が続いており、福大では当面入国の見通しが不透明な情勢などをも踏まえ募集停止を決めたという。

現在同別科には複数名の在籍留学生がいることから、来年度末までは授業を続ける。

コロナ禍の入国制限が長期化する中、留学生別科をめぐっては昨年来、各大学で募集停止や廃止を余儀なくされるケースが相次いでいる。東海大学は別科日本語研修課程の学生募集を2022年度(令和4年度)より一時的に停止した。「今後別科の社会的ニーズが再び高まった場合は、学生募集を再開することがあります」としている。日本工業大学も令和4年度以降における留学生別科日本語研修課程の学生募集を停止済みだ。一方、岐阜協立大学は留学生別科における令和4年度学生募集の停止と併せ、同3年度入学者の修了をもって、同別科を廃止することを決めた。

政府が当面2月末まで外国人の新規入国禁止を延長したことを受けて、急遽対応に追われる別科も出ている。首都圏のある大学では今春の来日者受入れができなければ別科の在籍学生数がゼロとなるため、「閉鎖の危機にある(関係者)」として、企業向けオンライン研修への事業変更を模索中だ。現行の政策がさらに長期化すれば、募集停止や廃止が相次ぎ、国内の日本語教育基盤にとってさらに決定的な打撃となりかねず、関係者は一様に危機感を強めている。

 

★韓国が「韓流ビザ」導入で海外学生の受入れをさらに強化

韓国法務部が今年中に導入を計画しているとされる通称「韓流ビザ」が、新たな移民政策として近隣エリアでも関心を集めている。韓国紙「朝鮮日報」は6日配信の記事で、同制度が始まれば、K-POPなど韓流文化を学びたい外国人学生が、従来のように芸能事務所等と契約しなくても、ダンススクールや演技学校への入学で滞在ビザが取れるようになるため、韓流ファンの多い中国で「歓迎一色」だと報じた。一方で同ビザに対しては韓国内に厳しい反応もあるとして、長期滞在や永住に繋がることを懸念する国内世論に言及しているほか、韓国法務部関係者のコメントとして「文化体育観光部との協議を経て、検証された教育機関」にのみ入学許可を限定する方針も伝えている。

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、日本政府はほぼ足掛け2年に渡り、留学生等外国人の新規入国を制限し続けているが、この間に韓国政府は受入れを再開しており、入国後の隔離期間も10日間から7日間へと短縮された。日本の近隣国では中国も留学生の新規入国を事実上停止していることから、本来日本や中国に留学予定だった若者が相当数、韓国へ行き先を変更したと言われ、アジアの留学マーケットにおける韓国の「一人勝ち」状態が指摘されてきた。

こうした中、新設される「韓流ビザ」は世界各地で根強い人気を持つ韓流文化を通じて、世界の若者を戦略的に獲得することで、少子化時代の生産力を維持しようとする韓国政府の思惑があるとみられ、同様に「クールジャパン」戦略をとってきた日本にも大きな脅威となり得る。先月の自民党外交部会では、「大学レベルでの留学生が韓国等他国に流れることを防止することも国益(佐藤正久・党外交部会長)」との観点から、87名限定で国費留学生の部分的受入れが決まった経緯があるが、こうした小手先の対応ではなく、より戦略的な国益に鑑みて現下の水際措置見直しを決断すべき状況にきているといえよう。

日本政府は外国人の新規入国禁止など現行の水際措置について、当面2月末まで「骨格を維持する」方針を示している。

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