インフォメーション
日本で生まれ育ち学校教育を受けながら、在留資格を有していない18歳未満の外国籍の子女について、政府は先週、在留特別許可を与える方針を正式に表明したが、これに関連して齋藤健法務大臣は会見で、該当者に付与する在留資格は基本的に「留学」を想定していることを明らかにした。
この問題をめぐっては、先の国会で成立した改正入管法の審議の過程で、在留資格のない送還忌避者の子女をどう扱うのかが焦点の一つとなっていた。齋藤大臣は「改正(入管)法の施行時までに我が国で出生し、小学校、中学校又は高校で学校教育を受けており、引き続きわが国で生活することを真に希望している」と認められる場合、家族一体で日本社会との結びつきを検討した上で、在留特別許可を行う方針を表明した。出入国在留管理庁によると、目下該当する子女は201人だが、この内少なくとも7割程度が対象となる見通し。改正法の施行時点で学齢期に達している子女を基準とすれば、同比率は8割程度に達するという。対象者の在留資格は本人の身分や日本で行おうとする活動等に応じて個別に決定されるとしつつ、「基本的には(教育を受けている)子どもについては『留学』の在留資格を付与することになるのではないかなという想定をしている」と述べた。
今措置の実施においては、「留学」生として日本に滞在することになる子女のみに在留特別許可を与えると、生活が立ち行かなくなることを考慮し、本人を監督養育する親についても、就労可能な「特定活動」の在留資格を付与する基本方針が決まった。一方で同措置をめぐって齋藤大臣は、親の側に「看過しがたい消極事由がある場合、出入国管理行政に与える支障も大きい」として、在留特別許可を出せない場合もあると述べた。具体的に想定されるケースとしては、親が①他人名義の旅券を行使し入国、②偽装結婚による入国や仲介、③不法入国・不法上陸、④偽造在留カードの作成・売買、⑤薬物使用・売春等、反社会性の強い犯罪行為に関与したとか、⑥懲役1年を超える実刑判決を受けている、等の例を挙げた。
なお、齋藤大臣は対象となる子女の内、日本で出生後に小中学校等で教育を受けすでに成人している子女に対しては、同様に在留許可を出す方向で考えていきたいとしたほか、国内では出生していない対象者の子女94人についても、日本国内で教育を受けている点などを考慮の上、個別事案ごとに判断していく考えを述べている
今措置の実施時期については、改正入管法の施行を待たず、許可が可能な案件から順次、許否の判断を行っていく意向も示した。
******************************************************************************