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留学生が日本の教育機関を卒業後に継続して日本で就職活動を希望する場合、従来は要件を満たした大学や専門学校の修了者を主対象に「特定活動」の在留資格が付与されてきたが、今秋からは海外の大学等を卒業した日本語教育機関の留学生もこの対象に加わっている。コロナ禍で学生の就職状況が厳しさを増す中、就活中の日本語教育機関の留学生にとっては、卒業までに就職先が決められない場合に次善の選択肢となり得る。
これまで同制度は日本語教育機関については国家戦略特別区のみ適用される特例措置の扱いだったが、法務省では今秋から全国展開する方針を決め、すでに各地方入国在留管理局や関係自治体等に通知済みだ。
具体的には、日本語教育機関に在籍中で、来日前に海外の大学・大学院を卒業・修了し学士以上の学位を取得している留学生が対象。本人が在学中から就職活動を行っており、同機関を修了後も引き続き日本で就活継続を希望する場合、所定の要件を満たせば、最長1年間に限り、「特定活動」の在留資格を許可する。
本人の海外における学歴は「学士以上」が条件なので、例えば中国出身者の場合、4年制大学の修了と学士取得が前提となる見込み。在留資格の申請時には在籍していた日本語教育機関の推薦状が必要で、在籍時の出席状況が良好であることや、日本で生活する上での経費支弁能力も求められる。また卒業後は、本人が在籍していた日本語教育機関に対し定期報告等を行う義務がある。
推薦状を出す日本語教育機関にも要件があり、いわゆる「適正校」であることや、就職紹介事業許可もしくは就職目的のコースを設置していることなどのほか、直近の1年間で留学生1名以上又は同3年間に2名以上の日本における就職実績が必要となる。さらに本人が卒業後の定期的な面談や、在留期間内に就職未決定の場合に適切な帰国指導を行うことなども課されており、従来実施されてきた大学・専門学校向けと同様、推薦者の選定には一定の枠がはめられているとも言えそうだ。
同制度により付与される在留期間は原則6か月で、本人が日本語教育機関を修了後の経過期間が1年未満であることを条件に、1回の期間更新(+最長6か月)を申請できる。また継続就活の期間中は、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内でアルバイトが可能となっている。
日本学生支援機構(JASSO)が実施した調査によれば、2019年度(令和元年度)中に日本語教育機関を修了後、日本国内でダイレクトに企業等へ就職した留学生は修了者全体の7%(3758人)だった。この数は出身国に帰国し就職した人の数(2・8%,1499人)を上回っていて、今後、海外大卒者の継続就職活動が条件付きながら可能となることで、就職の機会は広がりそうだ。
★茂木外相 「相手国の感染状況・ワクチン接種状況も踏まえ柔軟に対応」
茂木敏充外相は2日午前の定例会見で、政府が検討中の水際対策見直しに関連して、留学生の新規入国に関する扱いを問われ、全国の新規感染者が一日百人を下回ったことを踏まえ、「外国人留学生の受入れ再開や入国者の待機期間の短縮を含めて、水際対策の緩和に向けた要望があるのは事実だ。政府としても国内外の感染状況やワクチン接種の進展などを見極め、段階的に見直しを進める」と語った。その上で外相は、入国者の入国のニーズや緊急性の高さを考慮しながら、相手国の感染状況やワクチン接種の進捗状況なども踏まえつつ、柔軟に対応していく方針を明らかにした。
★松野官房長官、入国制限緩和へ「前向きに方策を検討」
松野博一官房長官は2日午前の定例会見で、留学生を始めとした外国人に対する水際対策について問われ、「ワクチン接種の進展を踏まえ、経団連等経済界からは水際対策の緩和に向けた要望がある」とした上で、「政府としても国内外の感染状況やワクチン接種の進展等を見極めつつ、段階的に見直していくこととしている。現在感染は落ち着いているが、危機管理の要諦は最悪の事態を想定することである。水際対策についても状況が悪化する場合には機動的に対処する必要があるが、引き続き制限の緩和に向けて、どのような方策が取れるか前向きに検討していきたい」と述べた。
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政府は留学生など外国人の新規入国を、条件付きで再開する方向で最終調整に入った。今週中にも正式に発表する方向で、現在詰めの作業を行っている。法務省関係筋は『留学生新聞』の取材に対して、今年1月から停止中のレジデンストラック等とは別の形態で、すでに一部の国費留学生等に対し例外的に入国を認めている「特段の事情」のスキームを援用する方向も検討していることを明らかにした。
日本国内では新型コロナウイルス感染症の感染状況が最近落ち着きを見せているが、依然として再拡大や新たな変異株発生の恐れもあることから、再拡大時には臨機応変に対応できるようにする意向があるとみられる。
受入れ再開にあたっては、学校等の受入れ機関に対して、本人の行動管理など防疫措置を徹底するよう求める見通しだ。
今年5月に国費留学生の受入れが部分的に再開されるにあたっては、文部科学省が文書で各学校の管理責任を確認した上での実施となっていて、もし今回私費留学生についても同様のスキームが求められる場合には、「学校数が膨大で、戻ってくる留学生数も相当数に上ると見込まれるので、相応の事務負担や時間を要するのでは(教育機関関係筋)」との見方も出ている。
法務省関係筋は、入国制限の緩和時期について、今週中にも正式な発表が行われるだろうとの見通しを語った。
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岸田文雄首相は10月31日、衆院選の開票特番に出演し、司会者から「日本の外国人の入国規制に関しては近々に緩和してほしいとの強い要望が経団連からも出ているが」と問われた際に「そういった声が強いのは私も承知をしている」とする一方で、「ただ国民の安心ということを考えると、確かに新規感染者の数は抑えられているが、ここで油断をするというのは国民から見てどうかという部分もある」と、直ちに緩和することについては慎重な姿勢をにじませた。今後の検討方針については「丁寧にではあるが、ぜひ相手の国の状況も考えながら、水際対策についてもあるべき姿、どこまで緩和できるのか、これは追求していきたいと思っている」と述べるにとどめた。司会者からは、日本よりワクチン接種では遅れている韓国に、「国際往来で先を越されるのは困る」との指摘も出ていた。