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6月18日に行われる2023年度最初の日本留学試験(EJU)で、全体的な応募状況が明らかになった。日本学生支援機構(JASSO)のまとめによれば、応募者数は日本国内が2万612人、国外が5076人の総計2万5688人となった。前年度(2022年度)の6月試験では日本国内から1万1688人、国外から5701人の計1万7389人が当初応募していて、単純比較でみた2023年度の総応募者数は対前年度6月比で47%増、中でも日本国内受験者が同76%増と大幅に回復した。なお昨年度11月試験は当初の総応募者数が2万1953人(うち日本国内1万7342人)だった。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う水際対策が昨年以降段階的に緩和され、来日者数がV字型回復を遂げた影響が、ようやくEJUの国内受験者数にも反映された形だ。
日本国内のEJU6月試験応募者を試験の実施地別にみると、設置会場数が最も多い東京都が1万3403人で全体の65%を占めるほか、大阪府1696人、福岡県1441人、京都府957人、愛知県531人、埼玉県508人、神奈川県408人等となっている。
また国外会場では例年同様、韓国・ソウルの受験者数が2164人と最多で、香港(956人)、韓国・プサン(453人)、台湾・台北(368人)を含む計4都市が、受験者数300人以上。日本国内受験者が急回復したことも作用し、国外の受験者数自体は前年6月試験より1割減った。
目下、EJUは高等教育機関に進学予定の外国人留学生の大多数が受験しており、受験者数の帰趨は、各大学や専門学校等における2024年度留学生入試の受験者動向を読み解く上で重要な指標となる。
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厚生労働省は3月中に日本へ入国・帰国した人の内、空港検疫で新型コロナウイルス陽性が確認されたケースが77件だったと明らかにした。前月の163件と比べ半減している。内訳は日本国籍者52件、外国籍者25件で、この内、外国籍者の確認件数は前月(124件)の5分の1に激減した。政府が昨年末以降、臨時的な措置を講じていた中国からの入国者向け検査体制を3月に見直し、全員に対する入国時検査から最大2割程度を対象とするサンプル検査へと切り替えたことも作用したとみられるが、全般的に国内外における感染状況の落ち着きを反映した形だ。
その後4月以降は、中国からの入国者を含め、有効なワクチン接種証明書があれば出国前検査証明書は不要とする運用となっており、コロナ禍以降続いてきた海外向けの水際措置は、5月8日の廃止に向けた最終段階に入った。
★技能実習制度見直し 厚労相「大きな方向性に沿って更に議論」
政府の有識者会議が10日、現行の技能実習制度を廃止し、人材確保も目的に掲げた新たな制度を創設するよう求める案を発表したが、加藤勝信厚生労働大臣は11日の会見で、「検討の方向性が、まずは中間報告書に向けてのたたき台として示された」との認識を繰り返し強調した。今後については具体的な言及を避けつつ、「中間報告書が提出された後は、中間報告書で示された大きな方向性に沿って更に議論がなされていくものと承知している」と述べて、正式な報告書づくりに向けた議論の行方を、政府として注視していく考えを示した。
★「外交青書」で学生交流や帰国留学生の活動を紹介
外務省は11日、日本の外交活動と国際情勢についてまとめた令和5年版の「外交青書」を公表した。直近1年間の状況を反映し、ウクライナ情勢への対応や経済安全保障、対中国外交等を中心に、日本外交の取組と課題を記述している。
この内、対中国関連では「日中間の青少年交流」について、新型コロナの影響により国境を超える往来が制限される中でも、対日理解促進交流プログラムなどにより両国の学生・研究者同士がオンライン交流を実施したことに言及。韓国、モンゴル、ネパールとの間で行った同様の交流事業や学生フォーラムのほか、ネパールと日本が2022年に留学生交流120周年を迎えたことにも触れた。ベトナムに関しては技能実習生などを中心に在日ベトナム人の数が増加し、国別の在留者数で中国に次ぎ2番目になったと述べている。
また青書では、「留学生交流関連」としてメキシコの元国費留学生の活動例を中心に、海外における帰国留学生会の活動を取り上げた。コロナ禍の中で外務省がオンライン開催した昨年の帰国留学生総会に、50か国からの参加を得たことも紹介し、元留学生との関係維持が「外交上の日本の国益増進の面でも大きな意義」を持つと総括した。
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~法務省の有識者会議が「報告書たたき台」を公表~
技能実習制度と特定技能制度に関する政府の有識者会議が10日、今後の大きな方向性として、技能実習制度を廃止し、人材確保と育成が目的の新たな制度を創設すべきとする「報告書たたき台」を公表したが、現状への問題提起では、特に実習の開始前後における日本語能力の確保が重要な論点となっていることが分かった。
技能実習生が来日する際の日本語力については現在、本人の能力や教育水準に関する明確な定めがなく、実習生によっては自身の意思表示もままならぬまま就労するケースがあり、監理団体など受入れ側の負担増や、双方のコミュニケーション不足に起因する諸問題の要因ともなってきた。
今回の「たたき台」では「入国前に一定の会話が通じ、自分自身で要求ができる程度の日本語能力」が必要と指摘し、要件として「入国時には日本語能力試験のN5以上、技能実習(2号)修了時には技能検定とともに日本語能力試験のN4以上の試験合格を必須にする」案を示している。ただ入国前に課す日本語能力が高すぎると、有用な外国人が日本を選ばなくなる懸念や、不透明な教育費用の要求、日本語能力の偽造証明書の流通など新たな問題が生じかねないため、「不当なハードルにならない取組が必要」ともしている。
また来日後においては、実習生が段階的に日本語力を向上させる仕組みが必要と指摘。監理団体が行う入国後の日本語教育に関し、講習方法・内容や科目ごとの時間数などに濃淡があるとして、今後は一定の基準を設け講習の質を担保するよう求めたほか、優良な監理団体認定の要件に、日本語学習を加算措置として採り入れる方策も示している。一方で日本語教育に伴う費用負担に関しては受入れ事業者や政府の負担で、オンラインコンテンツの作成、同教育を実施している自治体等とのマッチングなど、外国人材の負担をなるべく少なくする仕組みが必要としている。
今回有識者会議がまとめた「たたき台」では、技能実習制度が本来掲げていた「人材育成を通じた国際貢献」とは乖離している現状を踏まえ、新たな制度においては人材育成機能を維持しつつ、人材確保も制度目的に加え、実態に即した制度とすることを明記した。具体的には特定技能制度への移行を見据え、技能実習の職種を特定技能の分野と揃えることや、現行制度では原則不可とされている実習生の転職(転籍)についても、制限を限定的に残しつつ緩和していく方向性を打ち出している。
さらに「たたき台」は特定技能制度に関しても見直しを提言。現行制度では登録支援機関に日本語学習機会の提供が義務化されているが、現状は「機会の提供」にとどまっていて運用が不透明なため、「実効性に課題がある点については見直すべき」としたほか、政府が決めている分野別受入れ見込数の設定を、関係者の意見やエビデンスを踏まえた透明なプロセスとするよう求めた。
有識者会議では今秋をめどに、最終報告を提出する見通しで、政府の制度見直しに向けた対応が本格化する。
★民間賃貸住宅へ入居時のガイドライン 14か国語で公表中
新年度に入る前後から、留学生の間でも住居の移転が増えているが、国土交通省は外国人が民間の賃貸住宅にスムーズに入居できるよう、ガイドラインを作成し、英語、中国語、ベトナム語など14か国語で公表している。契約時に記載する入居申込書や重要事項説明書などの見本とチェックシート、さらには実務対応のQ&Aも各国語バージョンがあり、言語の壁を抱え日本の賃貸制度にも不慣れな外国人にとっては有益だ。関係団体によれば、外国人入居者が日本の賃貸住宅を退去時に、原状回復費用を請求されトラブルになることもあるといい、事前に賃貸ルールに関する正確な知識を知っておくことが大切となる。
管理会社の団体である(公財)日本賃貸住宅管理協会では、賃貸住宅の原状回復とは何かについて、ポイントを整理し公表している。
①外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について【国土交通省HP】
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html
②外国人入居円滑化支援のご案内【(公財)日本賃貸住宅管理協会】
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~JASSOが2021年度中の留学生進路状況を調査~
021年度中(21年4月1日から22年3月31日まで)に日本の教育機関を修了した外国人留学生の進路状況が、日本学生支援機構(JASSO)の行った調査で判明した。日本国内で就職した留学生が修了者に占める比率は大学院博士課程で30%、同修士課程で24%、大学学部は32%だった。前年度との単純比較では、博士課程が3ポイント増加したが、修士課程や学部はほぼ変わりがない。一方で大幅に伸びたのが短期大学と専門学校で、短大修了者は65%が、専門学校修了者は半数近い47%が、それぞれ日本で就職している。短大は修了者の絶対数自体がさほど多くないが、専門学校を修了後に日本で就職した留学生は前年度から約3800人増の1万5057人と、就職留学生全体の6割を占めた。いずれも、コロナ禍前の2019年度水準をも上回っており、中長期的な進路動向の変化につながるか注目される。
一方で、日本国内における留学生の進学状況を学種別にみると、大学学部で20%が大学院修士課程に、同修士課程では18%が同博士課程に、それぞれ進学していて、学部修了者の内、大学院進学者の割合は前年度より2ポイント(約500人)増えている。専門学校は就職者が著しく増えた影響で、進学者の割合が8ポイント減り24%にとどまった。また大学や大学院、専門学校への進学予備軍が多い日本語教育機関では、修了者の8割(1万6271人)が日本国内で進学していて、この比率はコロナ禍の前後でほぼ変動がない。日本語教育機関からダイレクトに日本国内の企業等に就職している留学生も修了者の1割程度(9%)に達していて、この割合は特に北米(修了者の30%)や中南米(同24%)の出身者で高い。2021年度の修了留学生で、日本国内での就職者は少なくとも高等教育機関で2万5054人、日本語教育機関で1834人に上る。
さらに日本国内における留学生進路状況を、日本での専攻分野別にみると、高等教育機関全体では家政、社会科学、工学等の分野で就職者の割合が高く、理学や農学は実数で就職者よりも進学者の方が多い。学種ごとに就職者比率が高い分野は、大学院で工学(33%)、学部で社会科学(37%)と人文科学(33%)、教育(33%)、専門学校は工学(68%)、農学(59%)、及び社会科学(59%)の修了者だ。一方で進学する人の割合が高いのは、大学院で理学(28%)、学部で理学(55%)と工学(52%)、専門学校では人文科学(58%)の各専攻者となっていて、在学段階によっても傾向が分かれる形だ。
政府の教育未来創造会議は先月、第2次提言に向けた論点整理の中で、留学生の卒業後の国内就職率(進学者を除く)を10年間で60%にする目標を掲げている。今後各教育機関における就活サポートなどの取組が、成否のカギを握る。
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政府は新型コロナウイルス感染症の拡大以降、3年余りにわたり実施してきた日本入国時の水際措置を、5月8日以降は原則廃止する。同日から新型コロナの感染法上の位置付けが「5類」へと変更されるのに伴い、検疫法上の「検疫感染症」から外れ、入国時検査等の措置が適用されなくなるためだ。これにより、外国人入国者や日本人帰国者が求められてきたワクチン接種証明書の提示や、入国前後の検査などは不要となり、入国手続きは平時モードに戻る。一方で政府は新たな感染症の流入を警戒する観点から、代替の枠組みとして「感染症ゲノムサーベイランス(仮称)」を設け、有症状者へのゲノム検査を行うなど引き続き感染状況を注視していく考えで、今後の推移によっては再び機動的な見直しへと舵を切る余地も残す。
※中国からの入国者は他の国・地域と同様の扱いに
また、この間、5月8日までの対応策では、現在、臨時的な措置として中国(香港、マカオを除く)からの入国者全員に対し出国前72時間以内の検査(陰性)証明書提出を求めているが、4月5日以降は同検査証明か、またはワクチン接種証明書(3回分)のどちらかを提示してもらうことで可とし、他の国・地域からの入国者と基本的に同じ扱いにする。但し便を指定の上で実施中の到着時のサンプル検査は、当面継続される。
※日本入国時の証明書確認も簡素化
上記に関連し政府は、関係する航空会社に対して、搭乗者がいずれかの証明書を保持しているか否かの確認を引き続き要請するとしつつも、4月5日以降、日本入国時の確認は簡素化する方針を示した。中国からの入国者についても、5月8日以降は一連の水際措置が廃止されることから、事実上前倒しで、「コロナ後」の入国管理体制へと移行していく形が採られる。
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