インフォメーション
政府開発援助(ODA)の対象国から若手や中堅の外交官・公務員を日本へ招聘し、日本語や日本文化の研修を行う「外交官・公務員日本語研修」が現在行われている。新型コロナウイルス感染症の拡大以降は研修が中止されていたが、令和4年度は3年ぶりに第40期生として28名が来日。8日には武井俊輔外務副大臣が、参加者らの表敬を受け懇談した。
参加者を代表してコモロの外交官が挨拶し、日本語学習を通じて対日理解をさらに深め、日本との二国間関係の強化に貢献することへの意欲を表明した。研修は8か月間に渡り行われる。
同事業は1981年より海外の外交官向けに始まり、前回までに889名が研修を受けた。外務省によると、1997年以降は外交官以外の公務員にも対象が広げられた。修了者は将来、駐日公館や対日関係業務を担う部署に配属され、活躍することが期待されている。
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〜(独)大学改革支援・学位授与機構法を一部改正〜
デジタル・グリーンなどの成長分野を担う高度専門人材の育成を目指して、政府が今国会に提出していた(独)大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案が、2日の参院本会議で可決・成立した。中長期な人材育成のために支援が必要と判断した教育研究活動を、同機構が資金面からサポートすることを可能とするもの。
具体的には、大学や高専で、成長分野に関連した学部・学科の設置や再編、定員変更などが行われる際に、必要な初期投資や当面の運営経費を、同機構が助成できるようになる。今回の法改正では、機構の業務に助成金交付を追加するとともに、新たな基金も設けた。
永岡桂子文部科学大臣は2日の会見で、日本は「学部段階において理工系(学生の)割合が、OECD諸国の平均より大幅に低い」として、新設される基金は、意欲のある大学・高専の学部再編等の取り組みを継続的に支援するためのものだと述べ、基金の積極的な活用により、各校が成長分野の人材育成に取り組むことに期待を示した。
★中国内のゼロコロナで林外相「政策調整の影響を注視」
林芳正外務大臣は6日の会見で、中国のゼロコロナ政策に言及し、「ここ数日、中国政府及び地方政府から、防疫措置の調整に関する発表が相次いでなされていると承知している」とした上で、中国経済や市民活動等に与える影響について、強い関心を持ち注視していく考えを示した。
中国内ではPCR検査の陰性証明書の提示や、これまで毎日求めていた検査そのものを原則不要とする等の動きが、広東省を皮切りに各地へと広がっている。厳格すぎる感染対策への市民の不満が高まったことを受けて、当局が軌道修正を図ったとされるが、ゼロコロナ政策自体は基本的に堅持されるとの見方が有力だ。
一方で、現地では先月下旬、政府の対コロナ政策を巡ってデモが発生した状況も踏まえ、林大臣は在外公館を通じて、各地の防疫措置のほか、移動制限に関する注意喚起、食料・生活用品の備蓄などについて「領事メール」を発出し、在留邦人からの相談対応など支援を行っていると述べた。
情勢は沈静化しつつあるものの、現地に日本人留学生を送り出している各教育機関においても、学生との定期的な連絡等を通じた状況の把握が求められる。
★沖縄県―福建省間で大学生のオンライン交流事業
外務省は、2022年度の日中間における大学生オンライン交流事業を、12月17日に沖縄県と中国福建省との間で実施すると発表した。「日中植林・植樹国際連帯事業」の一環だが、今年が日中国交正常化50周年にあたることから、その認定事業ともなる。
当日は沖縄県が地域の魅力や福建省との交流の現状について説明を行うほか、琉球大学による環境に関するセミナーも予定されていて、地方の大学生同士による貴重な国際交流の機会となる。
外務省では「日中双方の大学生が環境問題への理解と相互理解を深め、沖縄県と福建省のさらなる友好関係の発展に寄与することに期待する」としている。
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来年1月期生として日本語教育機関への入学を申請中の留学予定者に対する、在留資格の交付状況(中間結果)が分かった。全国の104校に関する最新状況をまとめた関係機関の集計によれば、申請数1619件に対して、交付件数1285件、交付率79%で推移している。
申請者の出身国・地域別では中国が申請560件に対し、交付551件とほぼ「完全交付」に近い状況。ベトナムも申請237件で交付が215件と9割が許可されている。一方でネパールは東京出入国在留管理局管内で申請の2割弱しか交付されておらず、福岡入管管内でも4割にとどまる。東京入管管内ではミャンマーやスリランカ、バングラデシュなども厳しい交付状況となっている模様だ。
なお上記はいずれも、対象となる日本語教育機関の内、現時点で半数弱の教育機関に係る在留資格認定証明書の申請・交付件数をまとめたものにすぎず、全体状況を反映しているわけではない。
★日本・モンゴル共同声明に日本語教育支援を盛り込む
岸田文雄首相は11月29日、訪日中のオフナー・フレルスフ・モンゴル大統領と会談し、人的交流など両国の関係強化へ向けた協力推進で一致した。両首脳が署名した戦略的パートナーシップに関する共同声明の付属文書には、2031年までの行動計画が規定され、今後の人材育成や青少年交流に関連した内容も多数盛り込まれた。
具体的には、①日本・モンゴル学生フォーラムなど青少年交流事業の継続と強化、②モンゴルの日本語教育発展に向けた現地日本語教師と学習者支援の継続、③モンゴルの日本語教育に係る日本の教育機関・自治体等の取組への側面支援、④人材育成奨学計画(JDS)を通じた人的ネットワークの構築など。これらのほか、技能実習制度に関する当局間の定期協議や、サイバーセキュリティ人材育成における支援も含まれている。
日本政府は現下の国際情勢なども踏まえ、モンゴルを戦略的パートナーとして重視していて、文部科学省は留学生受入れの「重点地域」に指定してきたが、同国からの留学生は昨年5月1日時点で2619人と伸び悩んでいる。今後目指す人的交流の活性化に向けては、現地における日本語教育の環境整備も大きなカギとなりそうだ。
★新型コロナの「5類」引き下げも視野に 国会審議が本格化
新型コロナウイルス感染症の感染法上における位置付けを、いわゆる「5類」へと見直すことを視野に入れた議論が本格化する。現在開会中の国会で審議待ちとなっている感染症法改正案では、同位置付けについて「速やかに検討する」旨の規定が追加されており、今後、国会での議論が始まる。加藤勝信厚生労働大臣は今週初めの定例会見で、コロナの病原性(重篤性)、感染力、ウイルスの変異の3点から専門家による深堀りが必要と述べ、国民に理解を共有してもらうための基盤づくりを進めていく考えを明らかにした。具体的なスケジュール感については言及しなかった。
新型コロナは現在、外出自粛要請など感染法上厳格な対応が可能とされる「2類」相当の位置付けだが、「5類」に引き下げられれば季節性インフルエンザと同じ扱いになる。議論の帰趨は、各教育機関における今後の対処方針にも、一定の影響を及ぼし得る。
現状の対処方針においては、大学入試等に関して、「実施者において、感染防止策や追検査等による受験機会の確保に万全を期した上で、予定通り実施する(文部科学省周知)」ことが謳われている。
★大学等の後期授業 「全面対面」が64%、「7割以上対面」は98%
今年度の大学等(短大・高専を含む1163校)における後期授業の実施方針を文部科学省が9月末時点で調査したところ、7割以上を対面授業とする予定、と回答した大学が全体の98.5%(1145校)を占め、ほぼ全ての対象校に広がったことが分かった。新型コロナの感染状況は「第8波」とみられるまん延状況が続くが、ウイルスの特性等を踏まえ、各教育現場では正常化への歩みが着実に進んでいることが、授業の実施形態に表れた形だ。
調査結果によれば、令和4年度の後期授業を、全面的に対面で可能とした大学等が745校で、全体の64.1%に上った。この比率は、前期時点と比較すると8ポイント増加している。このほか、「ほとんど対面で可能」が348校(29.9%)、「7割が対面で可能」は52校(4.5%)だった。
また感染拡大の当初は利用制限などが行われていた大学等施設の使用状況に関しても、すでに84.8%の大学等が全面的に利用可能と回答している。
※専門学校は対面比率さらに高く 全面対面が83%
一方、専門学校(2026校)においては、実習授業の多さなどから対面授業の実施比率はさらに高く、「7割以上対面」が全調査校の98.3%(2020校)、「全面対面」が83.9%(1700校)となっている。
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