★早大、「日本語が未習得の学生」念頭に費用見直しを検討

新着情報（最新消息）

2025-12-05 10:30:00

～「海外からの学生に対する学費等に関する考え方」示す～

国立東北大学が先般、留学生の授業料を引き上げる方針を決定し、他大学でも同様の動きが出ていることに関連し、一部報道で「外国人留学生の学費値上げを検討」と報じられた早稲田大学は12月5日、田中愛治総長名による「早稲田大学で学ぶ海外からの学生に対する学費等に関する考え方」を公表した。

それによると早大では昨今、日本語のみによるコミュニケーションが難しい学生が、科目履修や学生生活上の相談、保健センターでの受診等を行えるよう、英語で対応できる職員やカウンセラーを新たに雇用したほか、日本語の学習環境も提供してきたという。こうした経緯から、国籍を問わず、様々なサービスを英語で提供できる環境整備のために多額の支出が発生しており、今後、「日本語が未習得の学生」には「ある程度の費用を納めていただくことを検討中」だとした。

ただ、早大では授業料に限らず、学納金改定の際には従来から慎重な検討を重ね、予め告知を行っており、今後とも同方針に変わりはないとした。海外から入学する学生に求める費用をどのような形にし、いつ決定・導入するか等については現時点で未定としている。また現在在籍中の学生には、新たな学費等は適用しない方針も併せて明確にした。

★文科相、留学生の学費引き上げに理解示す

留学生向け授業料等の改定に向けた各大学の動きに関連し、松本洋平文部科学大臣は12月5日の定例会見で、授業料は各大学の自律的な判断に基づいて設定されるものであり、「外国人留学生受入れのための体制整備やきめ細かい持続的・安定的な支援には、相当のコストがかかると承知している」と述べ、引き上げに一定の理解を示した。その上で各大学が「それぞれの実情に応じた必要かつ適切な授業料」を設定し、留学生の受入れ環境の質的向上を計りつつ、国際競争力の向上に取り組んでいくよう促した。

※東北大学は27年度から授業料を7割引き上げ

東北大学は12月1日、学士課程と大学院前期2年の課程・修士課程に入学する外国人留学生について、2027年度から授業料を改定する方針を正式に発表した。具体的には両課程ともに、現行の年額53万5800円から90万円へと7割近く引き上げる。昨年の文部科学省による省令改正で、国立大学が外国人留学生の授業料を独自に設定できる自由度が高まったことが背景にある。一方で2026年度までに在籍する留学生は、在学中の授業料に変更は生じない。また大学院後期3年の課程・博士課程の授業料は、2027年度以降も据え置かれる予定だ。