インフォメーション
入管庁、コロナ禍の在留期間に関する措置を相次ぎ見直し
留学生らの出入国をめぐる状況が大幅に改善されていることを受けて、出入国在留管理庁は新型コロナウイルス感染症を念頭に行ってきた特例措置を、来月以降、相次いで見直す方針を決めた。8月1日以降、コロナ禍での帰国困難を理由にした「留学」の在留期間更新を認めないほか、これまで日本語教育機関の在籍学生向けに容認してきた2年を超える在籍(最長3年)も不可とする。
但し移行期間として、今年4月期生までの入国者については、入国時期の遅れが原因で十分な学習期間が確保できなかった人に限り、進学・就職時期までの在留を認めるという。この場合の在留期限は、当初の課程終了期から最長1年までとなる。また現在在籍している日本語教育機関で、卒業予定日よりも早く在留期限を迎える人についても、卒業時期などを考慮して在留期間更新が許可される。
上記に先立って入管庁では、元留学生が帰国するにあたっての航空便確保や本国内の居住地への帰宅が困難なケースについても、これまで付与してきた在留資格「特定活動」の扱いを変更。6月30日以降に在留期限を迎える人には「今回限り」として4か月間の更新を許可し、帰国を促している。11月1日までに同資格の在留期間が満了する元留学生についても、同様に帰国準備のための1回限りの更新(4か月間)を認めるとしている。
★卒業後の継続就活も コロナ禍の例外的な運用を終了
一連の見直しは、大学や専門学校等を卒業後に日本で就職活動を継続している元留学生にも及ぶ。これまで入管庁では、就職活動中や内定待機中の人が、コロナ禍による影響を受けた場合も、「特定活動」の在留期間更新を例外的に認める運用を行ってきたが、同措置に関しても今年度末をめどに取りやめる。
具体的には来年4月1日以降も継続して就活を行う場合、教育機関を卒業してから1年を超える人については原則として更新を認めない。また同年3月31日までに在留期限を迎える人に対しては、就活を行うのに必要な期間に応じて、更新を許可するという。
同様に、企業から採用内定を得た後、就労開始まで待機中の在留資格「特定活動」に関しても、来年5月1日以降に就労を開始する人や、就労開始日が未定の人は、在留資格上の扱いが変更となる。内定から1年を超えている場合や、卒業後1年6か月以上経過の場合には、期間更新が認められなくなるので注意が必要だ。
★水際対策の段階的な見直し 「検証が必要」
~感染の再拡大受け 厚労省専門家会議が変異株に警戒感示す
入管庁が「脱コロナ禍」を視野に入れた入国管理政策の見直しを模索し始めた一方で、足元では再び、新規感染者数が全国的な増勢へと転じている。これを受けて6月30日に行われた厚生労働省の専門家会議(アドバイザーリーボード)では、国内でオミクロン株の新たな系統への置き換わりが進んでいるとして、特に海外で流行し始めたBA.5系統が、今後感染者数の増加要因となる可能性に警鐘を鳴らした。
同会議では、感染拡大を踏まえた当面の取組として、変異株に対するサーベイランスの強化、自治体における医療体制の構築、ワクチン接種に関する情報提供等と併せ、水際対策にも言及。「海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて、水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある」としたほか、▶出国前検査は引き続き求めつつ、流入リスクに応じた対応を行う、▶入国時検査での陽性者には全ゲノム解析を継続させる、などを求めた。
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応募者はまず申込登録が必要/論文提出期限は12月16日まで
毎年恒例の「留学生論文コンクール」が、今年度も開催される。公益財団法人「大学セミナーハウス」の主催(弊社共催)によるもので、通算13回目。同コンクールは日本の大学(学部・大学院等)で学ぶ留学生に、日本語による論文作成能力の向上の機会を提供すると共に、日本留学の成果を広く内外に発信することを目的としている。過去の応募者数は累積で600人を超えており、応募者の出身国・地域の数も約30に上る。
今年度の募集は明日7月1日より正式に開始される。応募希望者は10月31日までに、財団のホームページ(https://iush.jp/seminar/2022/06/491/)より申込登録を行った上で、自筆の論文をコンクール事務局(ishu-r@seminarhouse.or.jp)にメール添付で提出する。論文の提出期限は上記とは別で、12月16日までとなっている。
論文のテーマは例年と同じで「グローバルイシューを考える」だが、別途、本人による副題が必要。論文はオリジナルかつ未発表のものに限られ、文字数は日本語4千字以内(参考文献は含めず)。応募作品は後日、審査委員会で審査の上、金賞(1本)、銀賞(2本)、銅賞(3本)を選出し、それぞれ賞金も贈呈される。入賞者は来年1月23日に、財団のホームぺージ等で発表される予定だ。
なお、昨年の受賞作品等は、下記リンクから参照できる。
【2021年度 受賞結果と受賞作品】
https://iush.jp/preview_page/internationalstudents/thesis/2021_result/
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末松信介文部科学大臣は28日の会見で、直近における留学生の入国状況について、出入国在留管理庁の速報値を引用する形で、4月1日より6月23日までに約9万人が新たに入国したことを明らかにした。4月時点における文科省の調査では、今夏までに入国を希望する留学予定者が実数で約9万人いたことが確認されていて、末松大臣はこれら入国希望者の内、相当数がすでに入国し、受入れは概ね順調に進んでいるとの認識を示した。
なお入管庁のまとめでは、上記の前月にあたる3月には1万4810人の留学生が新たに入国しており、政府の水際緩和後に来日した留学生は総勢10万5千人前後に達した。
新型コロナウイルス感染症がまん延する前の2019年までは、1年間に来日する新規留学生が約12万人で、数字上は直近の4か月弱でほぼこれに匹敵する数が来日したことになる。
★中国人留学生向け免税措置 文科相「見直しが必要」
一方、先に参院決算委員会で議題となった中国人留学生に適用されているアルバイト収入の免税措置に関し、末松文部科学大臣は28日の会見において、同措置を規定した日中租税協定が両国間の人的交流促進の観点から設けられたものだとしつつも、「留学生が受け取る給与については、居住している国において課税を受けるのが国際的なスタンダード」との政府見解を繰り返した。
その上で末松大臣は、現在免税の対象となっているこれら措置については、今後、各国との租税条約改正の機会を捉えて、関係省庁による適切な見直しが必要になってくるとの見通しを述べた。
★週末の日本語能力試験 マカオも中止に
今週末7月3日に国内外の会場で実施予定の日本語能力試験(JLPT)について、実施元の国際交流基金などは新たに、中国南部のマカオ特別行政区における試験が中止されたと発表した。華南地域における中止は、広西チワン族自治区南寧の広西大学に続き2会場目で、大陸部を含めた中国全土では19か所目。マカオでは、前回2021年7月試験で472人(内N1受験者125人)が、また同12月試験では406人(内N1受験者125人)が受験していた。
このほか現時点で今年7月試験の取りやめが明らかになっているのは、英国・エディンバラ大学、ドイツ・ハンブルク大学、及びロシアとベラルーシの全会場。またカタール・ドーハはすでに同12月のJLPTを中止することを決めているほか、ロシアは12月も実施できる見通しが立っていない。
主催者によれば、これらの中止はいずれも、現地における新型コロナウイルス感染症の感染者数と規制状況、あるいは受験者や試験実施関係者の安全確保などを考慮した結果だという。
★パキスタンから18名の若手行政官を留学生として受入れ
日本政府は無償資金協力による途上国人材の育成スキームを通じて、パキスタンから令和5年度も最大で18名の若手行政官らを留学生として受入れ、日本の大学院で学んでもらう。28日にイスラマバードで、双方の政府関係者が書簡の署名と交換を行った。スキームは他国との間でも実施中の「人材育成奨学計画」で、学位取得に必要な学費等を日本が支援する。次年度の対象者18名中、17名が修士課程に、1名は博士課程にそれぞれ入学の予定。パキスタンからの受入れは2019年より始まっていて、昨年までに51人の来日実績があるという。
来日する行政官らは、自国の開発や発展に必要な専門的知識を日本で習得することにより、帰国後の政策立案などへの貢献が期待される。
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関係閣僚会議で「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」を提示
政府は外国人との「共生社会」の実現に向けて、中長期的に取り組むべき課題を盛り込んだロードマップをまとめた。14日に開催された関係閣僚会議で提示された工程表では4つの重点事項を列挙し、今後5年間で具体的に実施する施策として、日本語教師の資格制度整備や、高等学校における外国人生徒向けの特別定員枠設定、マインバーカードと在留カードの一体運用などが盛り込まれた。日本に在留する外国人は2010年末の208万人から2021年末には276万人へと大幅に増えており、政府は日本社会の一員としての位置づけを明確化し、多様性に富んだ活力ある社会づくりを今後のビジョンに据えている。
ロードマップの全文によれば、重点事項の一つである「円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組」として、「日本語教育機関の認定制度及び日本語教師の資格制度を整備する」ことを明記。在住外国人が社会生活を円滑に営めるようにするため、「日本語教育機関の日本語教育水準の維持向上」と「日本語教師の能力及び資質の向上」を図る必要があるとした上で、「仕組みを構築するための法案提出を含めた検討を進める」とした。今後、日本語教師資格の創設等へ向けたプロセスが加速するとみられる。
このほか同項目では、▶新たな日本語教育の指標である「日本語教育の参照枠」に対応した分野別教育モデルの開発、▶生活場面に応じた日本語を学習できるICT教材の開発、▶海外における日本語教育環境の普及、等も列挙されている。
さらに高等学校における取組としては、日本語の個別指導を教育課程の中に位置付けて実施できる制度を令和5年度(2023年度)より導入するほか、公立高等学校の入学者選抜で外国人生徒を対象とした特別定員枠を設定し、受験上の配慮の施策を推進することも謳われた。
一方、「共生社会の基盤整備に向けた取組」としては、「マイナンバーカードと在留カードの一体化」を進め、日本に中長期間在留する外国人の利便性を高める方向性が打ち出された。関係省庁の法整備とシステム改修を経て、令和7年度(2025年度)から両方が一体化したカードの交付開始を目指すとしている。
政府はロードマップに盛り込まれた施策の着実な実施を図る観点から、今後の実施状況について毎年点検を行い、有識者の意見も踏まえながら、必要に応じた見直しを行うとしている。
★首相「将来の感染症危機に対応できる体制づくり進める」
〜対サル痘 状況を注視しつつ対処〜
岸田文雄首相は15日夜、通常国会閉幕を受けた記者会見で、「平時に近い経済社会を取り戻すための取り組み」に言及した中で、今月までに実施済みの水際緩和策を踏まえ、感染状況の改善が確認されれば、7月前半より全国を対象に地域観光需要の喚起策を行うと表明した。
一方、欧米などで感染者が増加中のサル痘への対応に関して、岸田首相は現時点で日本国内での同ウイルス感染例は確認されていないが、サーべイランス強化や出入国者に対する注意喚起と情報提供に努めていると説明。世界保健機関(WHO)がサル痘への予防効果があるとして推奨した天然痘ワクチンを、日本としてすでに相当量、備蓄済みとも語った。
当面の水際措置に関しては、科学的知見や諸外国の感染動向を注視しつつ、必要に応じて対応する考えを明らかにした。一方で、諸外国で行われている罰則付きの厳格なロックダウンに関しては、「一般論として申し上げるならば、わが国では馴染まない」と否定した。
首相は今後、有識者会議の報告も踏まえ、内閣官房に内閣感染症危機管理庁を立ち上げ、医療体制整備や司令塔機能の強化に着手。将来の感染症危機に対応できる、一元的な体制づくりを進める方針だ。
★5月の新規入国者 全在留資格で11万4千人
〜ベトナムが最多、7か国が3千人以上~
今年5月中に日本へ新規で入国した外国籍者は、全ての在留資格者を合わせた総数で11万4498人となり、4月(12万4339人)より約1万人減ったことが、出入国在留管理庁のまとめでわかった。教育機関の入学シーズンを過ぎたため、留学生の入国ペースが4月のピーク時より減速した季節的要因が影響したとみられる。
全在留資格者の出身国・地域別内訳を見ると、ベトナムからの来日者が2万9567人で最多となっている。別途明らかになった在留資格別の来日者状況では「技能実習」が急増しており、5月の来日ベトナム人は、技能実習生が大半を占めるとみられる。一方、留学生の来日者が特に多いとされる中国からは、他の在留資格者も合わせ1万5788人が新たに入国した。新規入国者の実数で2か国に次ぐのはネパール(1万2333人)、インドネシア(7219人)、米国(6583人)、フィリピン(5643人)、韓国(4172人)、ミャンマー(3971人)で、上記の計7か国が各3千人以上だった。
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今年5月の1か月間に、「留学」の在留資格で新たに来日した外国籍者が3万人を超えたことが、出入国在留管理庁のまとめで分かった。政府が留学生等に対する水際措置を緩和した3月には1万4810人の留学生が来日しており、翌4月は入学シーズンと重なったこともあって史上最高水準となる4万6889人が入国。さらに5月の3万278人が加わったことで、直近3か月間における新規来日留学生はのべ9万に達した(9万1977人)。
また5月には「技能実習」生として留学生より多い3万6780人が来日していて、水際緩和後の技能実習生の来日者数も約8万4千人となった。一方で「特定技能1号」は5月が2301人で、3月からの累計も7751人に止まっている。このほか、5月中は「短期滞在」が2万5556人と前月比で1万人ほど増えた。在留資格を持つ人の再入国は5万9431人だった。
★中国内のJLPT中止 さらに2箇所増え16会場に
7月3日に国内外で予定されている日本語能力試験(JLPT)で、新たに中国の上海大学(上海市)と山東大学(山東省済南市)を会場とする試験も取りやめとなったことが分かった。両大学とも、現下における新型コロナウイルスの感染状況を受けて、地元当局の要請に従ったとしている。14日時点で判明している中国内のJLPT7月試験の中止会場は、計16会場(下記)となった。
JLPTの試験結果を外国人留学生入試における提出書類や判定材料としている大学等においても、7月試験が中止された国・地域からの出願者に対しては、何らかの代替措置が必要な状況となってきた。
※JLPT7月試験 中国内の中止会場(6月14日現在)
▶東北エリア:延辺大学(延吉市)、吉林大学(長春市)、遼寧大学(瀋陽市)、大連理工大学(大連市)、大連外国語大学(大連市)、大連大学(大連市)、瀋陽師範大学(瀋陽市)、黒竜江大学(ハルビン市)
▶華北エリア:山西大学(太原市)、天津外国語大学(天津市)、南開大学(天津市)、山東大学(済南市)
▶華中エリア:上海師範大学(上海市)、上海大学(上海市)
▶西南エリア:雲南師範大学(昆明市)
▶華南エリア:広西大学(南寧市)
★「私学助成の配分の在り方を検討中」~文科相
末松信介文部科学大臣は14日の定例会見で、先に中央教育審議会の部会が大学への基盤的経費の配分に関し、入学定員に基づく単年度の算定としている現行方式から、収容定員に基づく複数年度の算定へと柔軟化する方向性を示したことに関し、文部科学省として「(部会の)審議まとめを踏まえ、私学助成の配分の在り方の変更について検討を行っているところだ」と述べた。
同変更が行われれば、現在は年度ごとに定められている大学の入学定員が、全学年の総定員を基準とする形に改められる。例えばある年度に、定員を超過する合格者を出した場合も補助金カットには直結せず、翌年度以降の合格者を減らすこと等により、総定員の枠内における柔軟な管理が可能となる。
一方で末松大臣は、今後、複数年算定へと制度を改めた場合でも、大都市圏の大学における入学定員の超過を適正化していく方向性については、今後ともその趣旨が変わるものではないとの認識も示した。
★厚労相、「新たな変異株」による夏以降の感染増リスクに言及
後藤茂之厚生労働大臣は14日の定例会見で、新型コロナウイルス感染症をめぐる今後の見通しを問われた際、新たな変異株のリスクに言及した上で、現在は落ち着きを見せている感染者数が今夏以降、再び増勢に転じる可能性を指摘した。
ワクチンの3回目接種による抑制効果が減退していくことや、夏休み期間中の人の往来増加が見込まれることなどに加え、後藤大臣は「オミクロン株の新たな系統への置き換わりの可能性もある」として、医療供給体制等への影響を引き続き注視していく考えを示した。またマスクの着用を含め、現時点では基本的な感染対策を緩和することは現実的でないと述べた。
政府は3月以降、段階的に海外からの水際緩和を続けるなど、「日常への回帰」策を進めており、経済界からは一層の「出口戦略」を求める声も強まっている。一方で過去2年間、夏場以降にコロナ感染が急拡大した経緯もあり、岸田文雄政権は引き続き慎重な対応を模索するとみられる。
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