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「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の要件定める規定案が明らかに
政府は専門学校を卒業した留学生が日本で就職する際の要件を緩和し、大学等卒業生と同等の扱いとする方向で検討を進めているが、その対象となる教育機関の新たな認定制度についての概要が明らかになってきた。専門学校が設置する学科の内、外国人留学生のキャリア形成や日本社会への理解につながるものを文部科学大臣が「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」として認定し、同認定を受けた専門学校の修了留学生については、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更に際して、大学等卒業の留学生と同様に、学校での専門科目と職務内容との関連性を柔軟に判断する。
「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受ける上では、既存の「職業実践専門課程」の認定を受けている課程であることなどが求められる見通し。「職業実践専門課程」は企業等と連携した実践的な職業教育に取り組んでいる学科を文科大臣が認定する仕組み。政府はすでに具体的な要件案を策定済みで、現在実施している意見公募手続きを踏まえ、6月にも施行する予定だ。
「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の要件を細かく定めた規定案によれば、「職業実践専門課程」の認定対象であることのほかに、①認定を受けようとする学科の在籍学生に占める外国人留学生の割合が原則2分の1以内で、日本人生徒との交流が可能な教育環境が整備、②留学生受入れに関し不適切と認められる事情が見られない、③認定を受けようとする学校の経営基盤が安定、などの要件を盛り込んでいる。
この内①については、留学生割合が2分の1を超えている場合でも、直前3年間の就職率が9割以上で、日本社会の理解促進に資する授業科目が300時間以上開設されていれば、対象となる。③は直前3年のいずれかの事業年度の経常収支差額が零以上か、又は資産合計額から負債合計額を控除した額が零以上であることを求めている。
同プログラムに認定された学科の情報については、文科省が後日、適切な方法で公示することも明記している。またいったんはプログラムとして認定後も、要件に該当しなくなった場合は取り消すことができるともした。
政府は来日した優秀な留学生が、卒業後に日本社会で定着し活躍できるようにするための環境整備を重視しており、起業の促進と併せ、卒業後の国内就職に向けた取組を強化していく方針だ。
★カンボジアの若手行政官26名を日本の大学院で受入れ
政府は途上国の若手行政官を対象とした日本留学のスキームである「人材育成奨学計画(JDS)」で、カンボジアから来年度、最大26名を受け入れることを決めた。いずれも日本の大学院で、学位を取得するのを支援する。カンボジアではポル・ポト政権時代から続いた内戦により多くの人命が失われた歴史があり、質の高い人材育成が大きな課題となっている。JDSの枠組みにおいては、2001年から20年以上に渡りカンボジアからの受入れを行っていて、2022年までにのべ522名が来日している。
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今年1月から3月までの3か月間に、「留学」の在留資格を取得して新たに入国した外国人が、2万5千人を超えたことがわかった(2万5261人)。昨年の同時期に比べ1万人以上の増加で、コロナ禍における水際緩和から1年が経過した後も、引き続き留学生の入国は順調に推移していることが裏付けられた。
出入国在留管理庁の速報値をもとに集計したもの。3か月間に来日した留学生を出身国・地域別にみると、中国(大陸)が7564人でほぼ3割を占めたほか、韓国(3461人)、米国(2020人)、台湾(1668人)、ベトナム(1532人)、ネパール(861人)、ミャンマー(774人)、フランス(653人)、ドイツ(466人)が多い。その他の国では、インドネシア(414人)、タイ(412人)、モンゴル(408人)、マレーシア(385人)、イタリア(330人)、スリランカ(321人)などで、ロシアからの留学生も239人に上る。
また中国からは上記のほか、パスポート表記で「中国香港」が589人、「英国香港」が75人の計664人が来日している。
なお3月単月の「留学」新規来日者は2万1070人で、水際緩和が行われた直後の昨年同月(1万4810人)との単純比較で4割強増えた。出身国・地域別内訳は中国(6523人)を筆頭に、韓国(3154人)、台湾(1561人)、米国(1313人)、ベトナム(1241人)等が多い。
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日本学生支援機構(JASSO)は6月18日に行う今年第1回目の日本留学試験(EJU)で、日本国内の受験会場についてマスクの着用を個人の判断に委ねる方針を決めた。当初、受験者向けに通達した「受験上の注意(国内受験者用)」では「試験運営上の都合により、マスクの持参・着用をお願いします」としていたが、受験者の任意とする方針に変更した。
マスクの着用に関しては、日本政府が3月13日より個人の判断事項としたが、その一方で厚生労働省は留意事項として、「事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員に着用を求めることは許容される」としていた。
JASSOも当初、EJU参加者における感染拡大を防止する観点からマスクの着用を求めていたが、その後、国内試験会場に関して、国の方針通り個人の判断に委ねるとの確認が取れたとしている。
今回のEJUは、国内では全国17都道府県の28会場において実施される予定だ。
★ラオスから若手行政官22名を日本の大学院で受入れ
政府は「人材育成奨学計画(JDS)」の枠組みを活用し、ラオスの若手行政官が日本の大学院で学び、学位を取得できるよう支援する。ラオスでは行政能力の向上と人材開発が大きな課題となっており、日本の支援で人材育成を行い、将来の人的ネットワーク構築につなげたい狙いがある。
JDSはかつての「留学生受入れ10万人計画」に基づき、1999年に設立された無償資金協力による留学生受入れ事業で、ラオスからは2000年以降22年までにのべ486名を受入れてきた。令和6年度は新たに、最大22名の受入れを支援する。5月22日にビエンチャンで、両国政府関係者が交換公文に署名した。
日本学生支援機構(JASSO)の調査によれば、昨年5月1日時点で日本国内の教育機関で学ぶラオス出身の留学生は258人で、うち241人が大学等の高等教育機関に在籍している。人口規模が743万人と比較的小さい事情もあり、来日留学生の数ではアセアン10か国中9番目となっている。
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6月18日に行われる今年第1回目の日本留学試験(EJU)で、試験会場となる全国28箇所が明らかになった。都道府県別では最多の東京都が10箇所で、国士舘大学世田谷キャンパス(梅ヶ丘校舎)、日本大学文理学部、早稲田大学早稲田キャンパス、一橋大学国立キャンパスなど、いずれも大学キャンパスが会場となっている。東京都以外で複数の試験会場が設置されたのは、京都府と福岡県の2府県のみ。京都府は立命館大学衣笠キャンパスと同志社大学京田辺キャンパスで、福岡県は福岡女子大学と九州産業大学で、それぞれ行われる。また愛知県は名古屋大学東山キャンパス、大阪府は大阪大学豊中キャンパスが会場となった。
上記5都府県のほかにEJUが実施される地域は、北海道と宮城、群馬、埼玉、千葉、神奈川、石川、静岡、兵庫、岡山、高知、沖縄の各県で、これらも含めると全国で17都道府県に上る。
実施元の日本学生支援機構(JASSO)は5月19日付けで、日本国内の受験者に対し受験票を発送した。JASSOは受験上の注意事項として、①大学が試験会場となっているところでは複数のキャンパスがあるため、試験会場を事前によく確認する、②万一受験票を紛失した場合はEJUオンラインから「仮受験上」を印刷し、身分証明書と共に当日会場へ持参する、③試験室には時計がなく携帯電話の使用もできないため腕時計を持参する、④試験室の入室前の本人確認で身分証明書(在留カードまたはパスポート)と受験票が必要、などを挙げている。
★日中の大学生が伝統音楽でオンライン交流~JENESYSプログラム
外務省はアジア大洋州の各国・地域との間で、将来を担う人材同士が交流し相互理解を図る「対日理解促進交流プログラム(JENESYS)」の一環として、今週5月24日に中国との間で、伝統音楽をテーマとする交流活動をオンラインで行う。日中双方で伝統音楽を学ぶ大学生・大学院生各10~20名程度が、お互いの音楽を実演で紹介し合い、セミナーを受講するなどして交流する。
政府はこうした活動が、日本の対外発信力を強化し、海外における親日派や知日派を育成・発掘する上で重要と位置づけていて、先の日韓首脳会談では岸田文雄首相が、韓国との間でJENESYSによる対面交流の枠組みを再開し、交流人数を対昨年度比で倍増する方針を表明している。
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G7の教育大臣会合が5月12日から14日まで富山市と金沢市で開催された。コロナ禍の影響を踏まえた今後の教育のあり方が中心テーマとなり、持続可能な社会を創造できる人材の育成や質の高い教育へのアクセス確保について議論が行われた。
会議後に採択された「富山・金沢宣言」では、今後取り組む四大施策の一つとして、初等・中等・高等教育と職業教育におけるG7各国間の国際交流をコロナ禍前の水準に戻し、それ以上の拡大を図っていくことを明記。「留学生の交流や教育・研究における国際頭脳循環を促進することを目指す」と謳った。
具体的には▶大学間連携、▶留学プログラムやICTを活用した交流の促進、▶高等教育機関同士の国境を超えた学習コンテンツのオンライン共有、等を挙げた。一方で対面による教育や学習が重要であるとして、コロナ禍の下で盛んになったオンライン学習については、対面教育・学習に代替するものではないとした。
また宣言では「より早い教育段階からの人材交流の促進」が異文化間に関する能力を身につけるのに有益であり、G7各国に止まらず、世界全体においてグローバル対応力や異文化の人々との協働が可能な人材の育成につながるとした。
このほか「富山・金沢宣言」では、生成AIを含めたデジタル技術の進展が教育に与える影響と課題、グリーン・テクノロジーを始めとした成長分野における学習者のスキル向上など、幅広いテーマに国際社会の取り組みを促した。
★「日本語教育機関の認定等に関する法律案」が衆院で可決
日本語教育機関の新たな認定制度や日本語教員資格の創設を柱とする「日本語教育機関の認定等に関する法律案」が、5月12日の衆議院本会議において採決され、賛成多数で可決した。同法案は閣議決定を踏まえ内閣提出法案として通常国会に提出後、審議を経て、5月10日に文部科学部会で承認されていた。今後は、参議院に審議の舞台が移る。
政府は法案審議が順調に進み会期内に成立すれば、来年4月1日より新たな制度を施行する予定だ。
※入管法等改正案も参議院で審議始まる
また同じく通常国会に提出されていた入管法等改正案も9日の衆議院本会議で可決され、12日からは参議院での審議が始まった。出入国在留管理庁は同法案が保護すべき者の確実な保護や、送還忌避・長期収容をめぐる諸問題の解決に必要としているが、野党や弁護士団体などの間では独立した難民等保護委員会の設置を含む対案を提出する動きが出ている。
齋藤健法務大臣は12日の定例会見で、令和3年末の数値として「送還忌避者3224名の約35%が刑事事件で有事判決を受けている」と述べ、早期の法整備の必要性を訴えた。
※「技能実習制度の廃止」含む中間報告書に法相「大変重要な提案」
一方、技能実習・特定技能制度に関する有識者会議が、現行の技能実習制度の廃止と新制度の創設を盛り込んだ中間報告書を提出したことについて齋藤大臣は、「解決の方向性について大変重要なご提案を頂いた。議論を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら政府全体としてしっかりと検討を行って参りたい」と語った。
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