インフォメーション

2023-05-10 12:55:00

 

202212月に国内外で実施された日本語能力試験(JLPT)の全体的な結果が判明した。実施元の日本国際教育支援協会と国際交流基金によれば、最終的な受験者数は国内が19150人、海外が241299人の総計431449人だった。比較対象で前年となる202112月試験(348992人)との対比でみると、実数で約82千人、率にして23.6%増えている。試験地が異なるので単純な比較はできないが、20226月試験(365505人)と比べても6万人強のプラス。JLPTで試験1回あたりの受験者総数が40万人を超えたのは、コロナ禍以降初めてとなる。

 

レベル別で難易度が最も高いN1は国内受験者46725人の内、認定者は12110人で認定率25.9%、海外受験者は33793人中、認定者が12672人で認定率37.5%だった。同様にN2に関しても、海外受験者の認定率(42.3%)が国内受験者(26.4%)を大きく上回っている。

 

N1受験者は韓国が最多、中国は試験中止の影響で受験者18千人止まり

 

また海外の実施国(地域)別状況をみると、最も受験者数が多かったのはミャンマーの45778人で、これに台湾(33272人)、韓国(28626人)、ベトナム(24612人)が続く。この内ミャンマーはN1N2の受験者を合わせても5%程度で、大半がN4の受験者だ。N1受験者の数だけを見ると韓国が1165人で最も多く、台湾が8713人でこれに次ぐ。

一方で例年、最大規模の受験者数を擁する中国は、昨年12月試験が新型コロナの感染拡大により多数の会場で中止された影響で、香港・マカオを含め18583人の受験に止まった。中国内における試験都市別の受験者数は、上海市が7333人で最も多く、香港(6631人)、寧波市(2223人)、福州市(1322人)、厦門市(623人)、マカオ(451人)の順だった。レベル別では、中国内受験者の3割近くにあたる5326人がN1を受験しており、N25904人)も合わせると6割に達する。

 

これらのほか、アジアではスリランカ(13356人)、インドネシア(12974人)、タイ(12601人)の各国が、受験者数で1万人超となっている。欧米諸国では、米国が4796人で最も多かった。

*****************************

2023-05-09 12:59:00

 

 58日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に変更されたことを受け、コロナ禍における入国管理政策も大きな区切りを迎えた。出入国在留管理庁は8日、留学生や日本語教育機関に対しコロナ禍の下実施してきた一連の特例的な取扱いを終了すると発表した。

 

入管庁では一時、コロナ感染の拡大により留学生や留学予定者の母国との往来が困難になった状況を受けて、帰国困難者に対する在留資格上の配慮や、日本語教育機関における在籍期間の延長、在留資格認定証明書の有効期限延長など様々な取組を行ってきた。これらの内、就職内定者が就労を開始するまでの間に許可される「特定活動」について、コロナ禍の下では必要となる期間に応じ在留期間更新が認められてきたが、今年51日以降に就労を開始する場合には、内定後1年を超えているか又は卒業後16か月を超えている場合には、原則として就労への在留期間更新が認められなくなるという。これ以外の特例措置は、昨年度までにほぼ運用が終了していて、今回の発表により入管審査は通常の形へと戻ることになる。

 

★全世界向けの「感染症危険情報」を全面解除

 

一方、外務省は58日付けで、全世界に発出していた新型コロナウイルスに関する「感染症危険情報」を全面的に解除した。5日に世界保健機構(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を解除したことなどを踏まえた措置。

 

感染症危険情報は新型コロナやSARSなどリスクの高い感染症に関し、渡航や滞在に際し注意を要する国・地域に対して発出される。危険情報は4段階に分かれ、レベル1は最も低いレベルだ。コロナ禍の期間中、政府は感染状況に応じて危険情報のレベルを段階的に引き上げ、一時はレベル3(渡航中止勧告)まで至ったが、昨年10月に当時のレベル2からレベル1へと引き下げられていた。

 

今回の全面的な解除により、コロナ禍は制度的な終息へと近付いた形だが、外務省では今回の見直しとは別途、サル痘に関する感染症危険情報を発出しているとして、引き続き警戒を呼び掛けている。

 

★日韓会談で首相「日韓の将来を担う青年交流を強化」

 

岸田文雄首相は7日から8日にかけて韓国を訪問し、ユン・ソンニョル大統領と日韓首脳会談を行った。会談後の共同記者会見で岸田首相は、日韓関係の将来を担う青年たちの交流を強化する考えを表明。対日理解促進交流プログラム(JENESYS)による韓国との対面交流を全面的に再開し、また交流人数を昨年度比で倍増する方針をユン大統領に伝えた。

 

日韓関係は今年初めのユン大統領の就任後、急速に改善の機運が高まっており、双方が交互に相手国を訪問する「シャトル外交」の枠組みが復活している。岸田首相は月内に予定されているG7広島サミットにユン大統領を招待していて、同サミットで話し合われる各国間の海外留学・青少年交流促進の議題ともリンクする可能性がありそうだ。

****************************************

2023-05-08 13:02:00

 

政府はモンゴルの若手行政官が、日本の大学院で学ぶ取り組みを来年度も支援する。途上国向けの無償資金協力のスキームである「人材育成奨学計画(JDS)」を活用し、令和6年度中に最大16名を受入れる。51日にウランバートルで、秋本真利外務大臣政務官が、ボルド・ジャブフラン・モンゴル大蔵大臣との間で交換公文に署名した。供与限度額は26600万円。

 

日本外務省によると、モンゴルでは産業構造の多角化など新たな開発課題が山積しており、これらを担う現地政府機関では良質な人材の確保が急務となっている。政府は留学生の受入れを通じて現地人材の育成を支援し、双方の相互理解や友好関係の深化につなげたい考えだ。

 

JDSの事業主体である独立行政法人国際協力機構(JICA)によれば、モンゴルからの同事業を通じた留学生受入れは2002年から始まっており、2022年までにのべ400名が日本の大学で学んだ実績を有する。直近2022年の受入れは修士課程が15人、博士課程が1人だった。

 

なお、20225月時点において日本国内で学ぶモンゴル出身の留学生は、私費留学生を含めた総数で2941人。内訳は大学、専門学校等の高等教育機関が1982人、日本語教育機関が959人で、在日留学生の出身国・地域別では11位となっている。

 

政府はモンゴルを国際教育面における有力なパートナーとして重視しており、日本の高専制度を海外展開する重点3か国の一つに位置付けている。3か国からは日本への留学生を拡充しようとする取組もあり、今後は留学予定者向けの日本語教育体制の強化も課題となりそうだ。

*************************************

2023-04-28 13:42:00

 

政府は28日、新型コロナウイルス感染症に対して行ってきた水際措置を、当初の期日より前倒しで撤廃する方針を正式に決定した。4月29日午前0時以降、日本に到着する航空機の搭乗者については、これまで求めてきたワクチン証明書又は出国前検査証明書のいずれについても、提示を不要とする。現在、中国大陸からの直行旅客便での入国者には、臨時的措置としてサンプル検査を実施中だが、これに関しても、他の国・地域からの入国者と同様、有症状者への入国時検査に変更する。入国時検査の陽性判明者に対する施設等での療養は、新型コロナの位置付けが「5類感染症」へと移行する580時まで継続し、それ以降は感染症ゲノムサーベイランスを開始する。足掛け3年以上に及んだコロナ対応の水際措置は、この間、各国の入国制限など留学生を含む国際的な人の往来に甚大な影響を及ぼしたが、ようやく正常化への第一歩を踏み出す。

新型コロナが「5類感染症」へ変更に

 これに先立つ27日の会見で加藤勝信厚生労働大臣は新型コロナを感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」には該当しないものとし、58日以降は「5類感染症」に位置づけることを正式に決定したと発表した。新型コロナに対する基本的対処方針や業種別ガイドラインも廃止となり、入院措置、外出自粛など法律に基づく様々な制限も終了する。

 加藤大臣は位置付けの変更に伴い、海外向け水際措置の根拠となっていた検疫法の適用は終了するとしつつ、引き続き呼吸器感染症の流入を検査するゲノムサーベイランスを各空港で継続していく考えを表明。「今後、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、直ちに対応を見直す」としている。

2023-04-28 10:41:00

 

~教育未来創造会議が第2次提言案に盛り込む~

 

政府の教育未来創造会議は27日、第2次提言案となる「J-MIRAI(未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ)」の中で、高度外国人材の受入れ促進と定着に向けた在留資格制度の改善案を盛り込んだ。第1次提言で言及されていた諸施策に加え、質の高い専門学校の認定制度を創設し、その卒業者の在留資格に関する運用を大幅に見直す方針が打ち出されている。

 

提言案には専門学校を卒業した留学生らが、在学中に学んだ専門知識や技術を活かし日本で活躍できる道を広げるため、就職に際し求められていた要件を緩和する方向性が明記された。企業等と連携して質の高い教育を行っている専門学校の認定制度を新たに創設し、認定校を修了した留学生については、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更で柔軟に対応するとしている。具体的には文部科学大臣が認定する「職業実践専門課程」を要件の一つとすることが検討される模様だ。

 

目下、日本の専門学校を卒業した留学生が日本国内で就職する際には、在学中に学んだ専攻内容と就労先で従事する業務内容との関連性が相当程度求められているが、新たな制度では該当校の卒業者について「大学等を卒業した留学生と同等の取扱い」とすることを提言している。目下、大学等の卒業留学生に関しては在学中に修得した幅広い知識や応用的能力を活かした、比較的広範な分野への就職が認められていて、条件付きとはいえ大学等と同等の扱いになれば、専門学校修了者の就労先の拡大につながることが期待される。

 

また提言では、幅広い知識や応用的能力に加え、高度な日本語を要する職種に限定する形で、日本の4年制大学か大学院卒の留学生のみに認められている在留資格「特定活動」の制度(通称「特定活動告示第46号」)について、今後は認定を受けた修業年数4年以上の専門学校修了者(高度専門士)も対象とすることを盛り込んだ。但し同制度は在留資格申請の時点で、日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上に準じる日本語能力が必要な運用となっている。

 

一方、これに先立ち政府は、高度人材を呼び込むための新たな在留制度として、▶学歴・職歴と年収が一定水準以上の者に在留資格「高度専門職」を付与する「特別高度人材制度」、▶優秀な海外大学の卒業生に日本国内で最長2年間、就職・起業活動を認める「未来創造人材制度」、の各運用を開始したが、今回の第2次提言案ではこれらについて、日本国内の大学を卒業した留学生らについても一定の要件を満たす場合、同様の措置が受けられるよう検討を求めた。

 

いずれの改善案も、実現には出入国在留管理庁など関係省庁の対応がカギとなるが、27日の教育未来創造会議に出席した岸田文雄首相は、永岡桂子文部科学大臣を中心として今夏までに施策の工程表づくりを進め、「J-MIRAI」計画を着実に実行するよう指示しており、制度改正に向けた取り組みが今後の焦点となる。

******************************************