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2023-09-11 15:25:00

 

~文科省調査で「グローバル人材育成と大学の国際化の状況」が明らかに~

 

文部科学省が全国の大学を対象に行った調査で、外国語授業や入学時期の多様化、海外大学との交流など、国際化対応に関する全般的な進捗状況が明らかになった。いずれの項目においても、コロナ禍前と比べれば一定の進展はあるものの、直近では概ね大きな変化はみられない。

 

同調査は令和410月から同5年1月にかけて行われ、全国の国公私立大学に、教育内容の改革・改善状況について尋ね、回答のあった775大学の状況をまとめたもの。各大学の令和3年度の状況が反映されており、大学教育の質向上に向けた取組、コロナ禍で進んだ遠隔授業の活用等のほか、「グローバル人材育成と大学の国際化の状況」についても個別に回答を得ている。

 

※英語による授業のみで卒業・修了できる学部・研究科は?

 

集計結果によると、回答があった大学の内、英語による授業のみで卒業(修了)できる学部・研究科の数は、学部が43大学(88学部)、研究科が118大学(295研究科)だった。前年度は学部43大学(86学部)、研究科106大学(276研究科)であり、学部の数はほぼ変わらないが、大学院が1割ほど増えている。このうち私大の学部では、早稲田大学の8学部、上智大学の6学部、立教大学の4学部等が先行しているほか、同志社大学(国際教育インスティチュート)、関西学院大学(国際学部)、中京大学(国際学部)等も、個別に英語対応済みだ。

 

4月以外の入国 留学生では進まず

 

一方で、海外からの留学生受入れにプラスになるとされてきた「4月以外の入学制度」を設けている大学は、学部段階が261大学(前年度257大学)、研究科段階が342大学(前年度341大学)で、こちらも前年度と大差なかった。ただ、実際にこの制度を活用し入学した外国人留学生の数をみると、学部で1708人(前年度1743人)、大学院で6315人(前年度6307人)にとどまっており、前年度との比較でみると学部では35人減少している。日本の年度開始時期である4月期以外の留学生の入国は、想定ほどには進んでいない状況が改めて浮き彫りになった形だ。

 

※大学の海外拠点は留学生募集が主目的

 

また海外の大学との間で大学間交流協定を締結中の大学は全体の87%(679大学)で、協定に基づく単位互換を行っている大学も同55%(432大学)に上ったが、この内ダブル・ディグリーの実施大学は217校と同3割を下回っている。さらに、海外に拠点を設置する大学は前年度と同じ160大学で全体の2割程度となっており、私大が99大学を占める。海外での活動内容の内、最も多かったのは「留学生の受入れを目指した募集活動(15%、121大学)」で、現地情報の収集や海外での広報活動なども多い。また日本人学生の留学・インターンシップに伴う現地での支援とか、帰国した元留学生や外国人研究者とのネットワーク維持を目的に挙げた回答もあった。

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2023-09-09 15:26:00

 

~教育未来創造会議第2次提言の工程表を閣議報告~

 

今年4月に政府の教育未来創造会議が公表した第2次提言(未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ〈J-MIRAI〉)に関連し、このほど実施に向けた工程表がまとまり、95日の閣議で報告が行われた。工程表には、第2次提言に盛り込まれた新たな留学生の派遣・受入れ方策や留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備等の取組について、今後10年間に渡る政策の実施プロセスがスケジュール付きで示されている。

この内、外国人留学生の受入れに関しては、2033年までに受入れ数40万人を目指す政府目標を改めて明記した上で、個別の施策ごとに必要な取組を、来年度までの当面と、中長期的なものに分けて具体的に記載した。

 

内容は多岐に渡るが、大学関連で注目される施策の中には、▶国費留学生制度の見直し、▶留学生の定員管理弾力化と在籍管理の徹底、▶日本語準備教育の整備、▶高度外国人材に係る在留資格の整備と就職支援、等が挙げられる。

 

※大学:留学生定員の弾力化や別科等の認定基準づくりが課題に

 

まず国費留学生制度では、年度内にも受入れ地域・分野の重点化や選考手続きのオンライン化など制度の見直しを進めるほか、国立大学における留学生の授業料設定を柔軟化する検討を行うと明記。留学生の定員管理については私立大学を含め、弾力化に向けた制度改正を来年3月までに行う方向性を打ち出した。一方で留学生の適切な在籍管理のために基準を策定し、「在籍管理非適正大学等」に該当する大学名の公表など、必要な措置の検討を2024年度までに行うとしている。

 

焦点となっている大学等における日本語準備教育(ファウンデーションコース)に関しては、来年4月に日本語教育機関認定法が施行されるのを前に、年度内にも準備教育施設及び大学別科等に適用される認定基準の内容を検討すると明記。来年度から2027年度にかけて、認定日本語教育機関としての正式な認定を順次実施していく方針が盛り込まれた。

 

さらに留学生の就職支援では、今年4月からスタートした新たな高度人材の受入れ制度(特別高度人材制度/未来創造人材制度)について、来年度をめどに一定の要件を満たす国内大学の卒業者にも適用する検討を進めるとしたほか、地域の大学や経済界が連携し立ち上げる「高度外国人材活躍地域コンソーシアム」を年度内に全国で6例程度形成するとした。

 

★専修学校:卒業後の就職要件見直しが焦点

 

一方、専修学校関連では、最近、留学生の就職支援に向けた制度面の見直しが急ピッチで進められている。今回の工程表にも、文部科学省が新たに創設した「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定校(専門学校)修了者を念頭に、卒業後の就職を目的とする在留資格の変更要件を大学卒業者と同等にするガイドライン改正が、2023年度中の工程に盛り込まれている。同時に、高度な日本語力を持つ大卒対象者に対し幅広い業務での就労を認めている「特定活動46号」の対象に、上記認定校を卒業した専門学校留学生も加えるとした。

 

また高等専修学校(専修学校高等課程)への留学要件を、高等学校と同等の扱いとする見直しも、20243月までに行われる見通しだ。

 

★日本語教育機関:認定法に基づく新制度の実施を明記

 

最後に、日本語教育機関の関係では、日本語教育機関認定法に基づき、2024年度までに日本語教育機関の認定制度と、登録日本語教員資格制度の運用を開始することを改めて工程表にも謳ったほか、日本語教員の養成研修を担う拠点6か所の整備については、今年度内に着実に実施するとした。さらに、非漢字圏出身者の増加を踏まえ、日本語教育機関の在学期間の取り扱いについて今後検討を行っていく方針も打ち出している。

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2023-08-29 16:04:00

 

~対前年比で14%増、6月試験合わせ5万人超える~

 

今年1112日に予定されている年度内2回目の日本留学試験(EJU)で、最終的な応募状況が明らかになった。日本学生支援機構(JASSO)のまとめによれば、日本国内で19852人、国外で5198人の計25050人が応募した。昨年11月試験の当初応募者数(21953人)との単純比較では14%の増加で、国内外共にほぼ同様の伸びとなった。

 

国内の受験地別では東京都が13951人と全国の7割を占め、大阪府(1757人)、京都府(1037人)、福岡県(727人)の順に多い。また国外は韓国・ソウルが2488人と群を抜き、香港(767人)、韓国・プサン(513人)、台湾・台北(258人)が続いている。この内、香港は、昨年11月試験(293人)から26倍に受験者数が急回復した。ベトナムはハノイとホーチミンを合わせて168人だった。

 

なお今年6月に行われた第1EJUの当初応募者も、今回第2回目とほぼ同水準となる25688人で、うち22602人(国内18317人、国外4285人)が実際に受験している。両試験を合わせると、今年度の当初応募者数は5万人を突破し(5738人)、前年度(39342人)からは1万人以上の増加で、回復傾向が鮮明となっている。今後実施される各大学等の2024年度入試の出願状況は、概ね堅調に推移しそうだ。

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2023-08-25 15:50:00

 

~コロナ禍前を上回るペース、中国が2万人で全体の3割近く~

 

今年上半期の6か月間で、新たに日本へ入国した外国人留学生が7万人に迫る水準となったことがわかった。コロナ禍以前の3年間、新規留学生の数はいずれも年間12万人台で、今年はそのペースを上回っていることになる。入国制限が段階的に緩和され、未入国のままだった留学予定者が一斉に入国した2022年(年間167128人)には及ばないものの、来日状況は今年も極めて順調に推移していると言える。

 

関係機関の情報をもとに本紙が集計したところ、「留学」の在留資格を新たに取得し、実際に日本へ入国した外国人は、今年1月から6月までの累計で69202人だった。出身国・地域別では、最多の中国が2万人に迫り(19688人)、全体の3割近くに達している。これに、4月以降急激に伸びたネパールが11508人で続く。ベトナムは7150人だった。上記3か国で、全入国留学生の55%を占める。ほかに韓国(4813人)、ミャンマー(3892人)、台湾(2575人)、アメリカ(2450人)、スリランカ(2352人)等も多い。さらにバングラデシュ(1313人)、インドネシア(1187人)、タイ(1076人)、モンゴル(1072人)も含めると、計12の国・地域が千人超となっている。欧州ではフランス(922人)が最多で、ロシアからも627人が入国したことがわかった。ウクライナからの留学生は19人にとどまっている。

 

なお香港は統計上、上記「中国」の数には含まれておらず、パスポート表記別で「中国香港」が818人、「英国香港」が96人の計914人だった。

 

6月単月では中国が全体の半数占める

 

 一方、今年6月の1か月間に新規で来日した留学生は6624人で、前月より減少した。元々、留学の端境期に当たることや、前月は4月期の遅れ入国組が上積みされたことも影響したとみられる。なお前月はネパールからの入国者が群を抜いて多かったが6月は517人にとどまり、逆に中国からの入国者が3210人と留学生全体のほぼ半数を占めている。両国のほか、ミャンマー(509人)、ベトナム(436人)、モンゴル(218人)、台湾(202人)からの入国者も一定数に上った。

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2023-08-24 15:47:00

 

 先の通常国会で成立した「日本語教育機関認定法」に盛り込まれ、来年度からのスタートが見込まれる「認定日本語教育機関」に関して、国が制定を目指す認定基準の概要が明らかになった。文化庁国語科がこのほど、関連する省令や告示等の案を示し、同案はすでに民間からの意見聴取手続きに入っている。

 

新たな基準案では留学、就労、生活の分野ごとに、異なる基準に基づき審査を行うとしていて、それぞれの概要を定めている。この内、留学生向けの日本語教育を担う「留学」関連でも、教職員の体制や日本語教育課程等について、「認定日本語教育機関」として認める上での具体的な基準案が示された。

 

※「留学」分野の認定日本語教育機関 具体的な基準案は?

 

まず教員体制では、「認定日本語教育機関」の教員数を現行の法務省告示基準と同じく、課程の収容定員20人につき1人以上(各機関の最低数3人)、「本務等教員」を同40人につき1人以上(同、最低数2人)と定めた。ここでいう「本務等教員」とは、従来の専任教員に相当するが、新基準では、日本語教育課程の編成や認定日本語教育機関の運営について責任を担う専任教員か、又は本務として同等以上の業務を担当する教員と規定している。具体的にどの教員が「本務等教員」に該当するかは、業務内容等から総合的に判断される。学校の校舎面積に関する基準は現行ルールと同じだが、各校舎間の距離を概ね800m以内、かつ3か所以内と規定した。

 

一方、日本語教育課程の中身については、各課程が目指す「留学」の目的に沿った日本語能力を習得させることを目指し、原則として日本語教育の共通参照枠(CEFRB2以上の課程を1つ以上置くことや、修業期間を1年以上(要件を満たす場合は6か月以上も可)とすることを定めた。同時に日本語課程全体の中で、「聞く」、「読む」、「話す(会話)」、「話す(発表)」、「書く」のすべてを盛り込み、授業はこうした担当能力のある教員が、適切な教材を用いて行うとした。

 

授業時間は1週間当たり20単位時間以上、年間760単位時間以上(1単位時間=45分以上)としており、いずれも現行の法務省告示基準と変わらない。ただ、修了要件として、所定の授業科目を履修させるだけでなく、「試験の合格等の適切な要件」を設けることも求めている。加えて、各機関が認定基準の教育要件を満たすかどうかは、今後策定される「コアカリキュラム」を参照の上で判断するとしていて、よりハードルが高まりそうだ。

 

コロナ禍で需要が高まった遠隔授業に関しては、感染症の拡大等により対面授業が困難な場合には、臨時的に実施できることが明文化された。

 

また「認定日本語教育機関」の収容人数に関しては、現行の法務省告示機関に「現有の収容定員数」を認めるとしたほか、新規の教育機関は当初100人以下とし、以後は要件を満たせば、隔年ごとに15倍まで増員を可能とした。(要件は、実員が定員の8割以上いることや生徒の在留継続に必要な支援体制が適切であること等)。現在は増員申請に際し、「過去1年以内に増員を行っていないこと」が要件になっているが、新基準では増員が最速で2年に1回となる。

各機関は、「1年課程」「2年課程」など設置する課程ごとに、入国時点で各生徒がどの課程に入るかを確定させる必要がある。また認定基準上の入学時期は、これまでの「年2度以内(やむを得ない場合は年4度以内)」が、「年4回以内」となる。新規校等の入学時期が、広がることになりそうだ。

 

基準案では、「認定日本語教育機関」に対し、毎年1回以上の自己点検・評価のほか、文部科学大臣への定期報告を行う必要があるとした。報告内容には卒業・退学者、進学・就職者の状況等のほか、生徒の授業出席率や資格外活動の状況など、現在、法務省告示の日本語教育機関が報告を求められている内容も引き続き含まれている。

 

また焦点となっていた「認定日本語教育機関」で日本語教育を担当する教員の要件について、基準案は令和113月末まで5年間の「経過措置期間」を設定。新設される「登録日本語教員」の資格がない場合でも、所定の要件をクリアしていれば、当面は引き続き教員として勤務できるとした。

この具体的な要件としては、①日本語教員養成の420単位時間以上修了か日本語教育に関する大学の単位26単位以上を修得し、かつ学士・修士・博士等の学位を有する者、②日本語教育能力検定試験の合格者、③平成3141日以降に、法務省告示機関、大学または文科大臣が別途指定の日本語教育機関で日本語教育に1年以上従事した経験者、のいずれかに該当する必要がある。

 

※大学等の日本語課程についても教員数等を規定

 

なお日本語教育機関の内、大学や専修学校等(日本語教育以外の課程を設置している教育機関)が設置する日本語課程の教員数について、新基準案では「日本語教育を実施するための基本組織を置くこと」を求めている。教員数を収容定員40人につき1人以上とするルールは一般の日本語教育機関と変わらないが、日本語教育課程以外の教員が運営の責任を担う場合には、収容定員40人以下の場合の最低数を1人(通常は2人)でも可とした。また最低授業時数(年間760単位時間)についても、大学や専門学校の場合、日本語教育課程以外の科目を履修させることにより、160単位時限を上限に減らすことができるとした。収容定員に関しては、一定の確認を経た大学に対し「実績を踏まえた定員数」を認めるとしている。

 

 今回の基準案は現在、民間からの意見(パブリックコメント)公募を行っており、920日が締め切りとなる。

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