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大学拠点接種の枠組みで行われている留学予定者を対象とした新型コロナワクチンの接種について、萩生田光一文部科学相は3日の会見で、同日より18歳未満の高校生等も対象に含める方針を明らかにした。モデルナ社製ワクチンの接種対象年齢が従来の「18歳以上」から「12歳以上」に変更されたことを受けた措置。これまでは今秋留学予定の高校生が、留学先からワクチン接種を求められている場合、満18歳に達していなければ接種の対象外となり留学できない状況が生じていたが、今後は対象年齢引き下げにより接種が可能となる。
なお接種証明書は各市区町村において先月末から順次開始しているほか、今秋までの暫定措置として文部科学省でも英語の接種記録保有証明書を発行する。
国費留学生の受入れ再開が背景に
今年5月の1か月間に、在留資格「留学」を取得し日本へ新規で入国した外国人が710人と、前月(327人)から倍増したことが分かった。日本政府は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け今年1月22日以降、外国人の新規入国を原則として禁止しているが、「特段の事情」が認められる場合に限り、例外的に受入れを認めているほか、5月以降は、日本政府国費留学生の新規入国が部分的に再開されており、同月中に第一陣が来日したことが作用したとみられる。
出身国・地域別で5月の新規入国留学生が最も多かった中国は、対前月比99人増の210人。また国費留学生の来日等により入国者が急増したのがモンゴル(74人)で、中国に次いで多かった。その他の国・地域では韓国(62人)、タイ(59人)、ベトナム(46人)、インドネシア(41人)、台湾(37人)、マレーシア(28人)が続いており、通常、留学生の入国者が少ないエリアではラオス(26人)やカンボジア(15人)も目を引く。
今後は留学生の受入れ対象拡大や入国制限の解除が、どのタイミングで行われるかが、正常化へ向けたカギとなる。
※再入国留学生は6割を中国が占める
一方、すでに日本の教育機関に在籍中の在留資格「留学」所持者で、5月中に日本へ再入国した人は699人と、月間ベースで2021年に入ってから最も少なかった。新年度の開始前後の入国ピーク期を過ぎたためとみられる。これら再入国留学生の内、6割強の427人を中国出身者が占めており、同国内のコロナ感染状況が抑制されていることから、短期間で一時帰国する留学生も一定数に上るとみられる。
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大学等教育機関が学則で定める夏季休暇のシーズンに入り、この間に本国への一時帰国を希望する在籍留学生が出始めている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う日本政府の水際対策により、海外渡航には様々な制約が課せられる状況が続いているものの、現状ではインド、ネパール、バングラデシュ等、所定の7か国・地域を除いて、在留期間中の出国と日本への再入国自体は可能だ。では留学生から帰国希望を伝えられた場合に、各教育機関では目下どのような対応をとっているのか。
『留学生新聞』が各大学等の関係者からヒアリングした内容を総合すると、ほぼ全ての教育機関が、一時帰国を希望する留学生に事前の届け出を求めている。帰国届や一時出国届、海外渡航届など届け出の様式は様々で、中にはまず指導教員に帰国の意思を伝えた上で、大学ホームページ上の所定のフォームより帰国の詳細を報告してもらっているところもあった。
留学生の帰国理由は単なる休暇以外に、家族や友人の結婚式、親族の見舞い、各種行政手続きなど様々であり、どうしても帰国が必要な事情も少なからず含まれるという。(非常に稀なケースとして「休暇中の一時期国は原則禁止」等と銘打っている教育機関もあるようだが、現状では前述のように一部地域を除けば在留資格所持者の一時出国・再入国は原則として認められており、こうした規定に実質的な意味はない。)
とはいえ、現下の情勢下においてはいったん帰国すれば、様々なリスクが避けられないことから、各校では総じて慎重な検討を留学生に呼びかけており、具体的に起こり得るリスクに関して事前の説明を行った上で、最終的な帰国の可否は本人に自己判断させているところが多いようだ。
あらかじめ本人に伝える内容としては、①今後の感染状況次第では、日本への再入国禁止国・地域が拡大される可能性も排除できず、予定通り日本へ戻れない可能性がある、②後期授業を対面で行う場合には再入国が遅れると受講や単位修得ができず、特に最終年次の学生の場合は卒業できない恐れが出てくる、③帰国中に在留期限を迎える場合、在留資格の再申請が必要で、改めて新規入国扱いとなるため現状では容易に入国できなくなる、④再入国にあたって現地でのPCR検査証明取得、日本到着時の空港からの交通手段確保など相応のコストがかかる、などが挙げられる。
加えて留学生の本国側でも、到着時に一定期間の隔離が求められるほか、国によっては入国に際しワクチンパスポートが必要だったり、ワクチン接種証明が無ければ入国後に移動制限がかかっている地域もあるので、事前に現地情報のチェックが欠かせない。また帰国前に盲点となりがちな要注意事項としては、留学生が居住中のアパート等の家賃や光熱費の支払が滞るリスクも指摘される。ある大学では、帰国後に状況の急変で再入国できなくなる事態も見越して、該当する留学生に対し事前にこれらの支払手配を済ませるよう指導しているという。
一方、留学生の一時帰国前に学校側が必ず把握しておくべき内容としては、本人の在留期限、帰国時の航空便と日本に戻る予定日、帰国後の連絡手段等が挙げられよう。この内、連絡手段はできれば自宅の電話やメールアドレスだけではなく、随時やり取りが可能なSNSのメッセンジャーや、日本国内にいる友人など緊急連絡先を、本人の了解のもとに登録しておくことが望ましい。特に中国出身者は現地でLineやGoogle、フェイスブック、ツイッターはいずれも原則として使用できないので、WeChat(微信)等の事前設定が欠かせない。
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全国15特別区20市が留学生在留者2千人超
日本国内に在留している約28万人の外国人留学生について、住民登録している各自治体別の内訳が判明した。全国47都道府県別の留学生在留数はこれまでも公表されてきたが、その管轄下にある市区町村ごとの詳細な実数が明らかになったのは初めて。
出入国在留管理庁が公表した昨年末時点の在留外国人統計(新データ)によれば、全国の留学生(28万901人)の4分の1に相当する7万2657人が東京23区(特別区)内で住民登録しており、23区中15区が単独区だけで留学生数2千人超となっている。特に新宿区は1万人を超えていて(1万668人)、豊島区(8687人)、中野区(5499人)、板橋区(5390人)、北区(4440人)等も多い。これら各区内には日本語教育機関等も多いことから、全国の主要都市に匹敵する数が居住しているとみられる。東京都内では23区のほかに、大学等が多い八王子市にも3216人が居住する。
一方、東京都を除いた46道府県を市ベースでみると、19市で留学生在留者が2千人を超えており、大阪市(1万9875人)、福岡市(1万2493人)、京都市(1万897人)、名古屋市(1万680人)の4大都市に、各1万人超の留学生が在留している。この内、大阪市では生野区(2695人)と西成区(2660人)、浪速区(2542人)の3区に、福岡市は博多区(3571人)と南区(3104人)に集中。名古屋市は中区(2197人)と昭和区(1771人)及び千種区(1761人)が多い。全国の市ベースで5番目に多い神戸市(7569人)は中央区(2305人)と兵庫区(2060人)が、6番目の横浜市(6988人)は中区(1098人)と南区(992人)が、それぞれ中心だ。また神奈川県では横浜市の他に川崎市(3908人)が、福岡県では福岡市以外に北九州市(2416人)が、比較的多くの在留者を抱える。北日本の都市では仙台市(4973人)と札幌市(2621人)が双璧となっている。
上記のほかに、大学キャンパスのお膝元としての地域性から、留学生居住者が多い自治体もある。茨城県つくば市(2368人)は筑波大学の、大分県別府市(2231人)は立命館アジア太平洋大学(APU)の留学生がそれぞれ多く含まれる。また埼玉県川口市には県庁所在地であるさいたま市(2912人)を上回る3560人が在留しているが、これは同市が東京都に隣接し、池袋エリアの大学や日本語教育機関等に「越境通学」する留学生が多いためだ。同様に、都内の大学等への通学者を一定数抱える千葉市(3019人)や船橋市(2396人)、松戸市(2346人)にも各2、3千人が在留している。
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本番が間近に迫った東京五輪と、2022年2月に予定されている北京冬季五輪のダブル開催を記念して、日中両国の大学生たちがオンライン上でeスポーツに興じる大会が行われた。種目はサッカーとバスケットボールで、開始から2か月間の間に、のべ51大学から203名が参加した。この取り組みは全日本中国留学生学友会によるもので、中国駐日本大使館教育処が協賛し、両五輪大会の公式記念グッズなどを景品として提供している。同学友会の夏楊会長は「今回の学生スポーツ大会はオンライン開催となったが、学生たちの参加意欲は衰えなかった。コロナ禍の影響により中国人留学生も会場で代表選手たちを応援することは叶わないが、それぞれ自分たちなりの方法で五輪を応援したい。中日両国の選手たちが本番で好成績を収めることに期待している」と語った。