インフォメーション
~政府、10月1日より実施の方針~
政府は10月1日0時より新型コロナウイルス感染症に対する水際対策を一部変更し、入国者に求めている指定宿泊施設や自宅等における待機措置を、ワクチン接種証明書の所持者について緩和する方針を決めた。全国における緊急事態宣言が今月30日に解除される見通しとなったことも踏まえた措置だが、対象となるワクチンや国・地域の範囲は限定的で、来日・再来日を予定している留学生等に対する更なる緩和が待たれる。
新たな水際対策措置では、現在原則として入国後14日間求めている自宅等での待機期間について、ワクチン接種証明書を所持しており、同10日目以降自主的に受けた検査で陰性が証明された場合、それ以降の待機を免除し、実質10日間に短縮する。また現行ルールでは、政府が変異株の流行国・地域と指定したエリアについては、入国時に指定宿泊施設における6日間か3日間の待機を義務付けているが、この内、10月1日から待機期間が3日間となる33か国・地域については、ワクチン接種証明書の所持を条件に、宿泊施設等での待機を免除する。つまり3日間待機か自宅等待機の対象者については、ワクチン接種証明書の提示と入国10日目以降の陰性証明により、待機期間が最短10日間に短縮されることになる。
※ワクチン接種証明書の対象は限定的
今回の水際緩和の対象となるワクチン証明書は、日本国内だけでなく外国で発行されたものも有効となる。ただワクチンはファイザー、モデルナ、アストラゼネカのいずれかを2回以上接種し、2回目の接種日から14日以上経過していることが条件。証明書の記載は日本語か英語で、それ以外の言語には翻訳を添付し、氏名、生年月日、ワクチン名(メーカー)、接種日、接種回数が明記されている必要がある。
またワクチン接種証明書は所定の国・地域の公的機関が発行したものに限定されていて、アジア地域で有効とされているのは香港、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、スリランカの7か国・地域のみ。例えばアストラゼネカから技術供与を受けてインドで製造されている「コビシールド」や、WHO(世界保健機関)が緊急使用リストに追加済みの中国製不活化ワクチンについても、厚生労働省は現時点でワクチンとして認めておらず、今回の制限緩和の対象外とされている。
※宿泊施設待機の対象・期間を変更
水際対策の一部緩和と並行して、政府は指定宿泊施設等での待機を求める変異株流行国・地域について9月30日0時以降、適用エリアも変更した。アフガニスタン、キルギス、スペイン、ネパール、ミャンマーの5か国は3日間待機から「待機なし」に変更となったが、フィリピンやブラジル、ペルーなど9か国は待機期間を6日間に延長し、アルバニアとギニアも「待機なし」から3日間待機へと変更された。
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~外国人留学生高等教育協会が官房長官に要望~
全国の専門学校や日本語学校等、187校で組織する外国人留学生高等教育協会(外留協)は、留学生の入国規制緩和とワクチン接種支援に関する共同要望書を、菅義偉首相と加藤勝信官房長官あてに提出した。外留協によれば、全国の関係各団体に共同要望を広く呼び掛けたところ、27団体から賛同が寄せられ、24日に正式な要望へと至った。
当日、外留協側からは日本語教育機関が直面している窮状と、大学や専門学校等に今後及ぼす影響、及び将来的な高度外国人材確保への懸念などを説明。入国時のワクチン接種証明の提示や、新規入国留学生へのワクチン接種支援など万全の防疫措置を講じた上で、入国制限緩和を行うよう要請した。要望書を受け取った加藤長官は現状の政府対応と今後の経過予測について見解を述べたという。
目下、主要先進7か国(G7)の中で、コロナ禍とはいえ留学生の新規入国を原則禁止しているのは日本だけであり、在留資格認定証明書を申請・取得しても査証(ビザ)が発給されずに来日できずにいる留学予定者は2万人を超えると推定される。
先月来、介護人材養成機関や日本語教育機関等の関係団体からは、留学生の入国制限緩和を求める要望が相次いでいる。依然として新型コロナウイルス感染症の脅威は続くが、ここにきて日本国内におけるワクチン接種率の高まりと、新規感染者数の大幅な減少も相まって、制限解除への環境は整ってきており、今後の政府の対応に注目が集まる。
~文科省が国公私立大学向けに配慮求める通知を発出~
文部科学省大学振興課は、留学生の受入れ先の内、日本への渡航を伴う外国人入学者選抜を今年度中に実施する国公私立大学に対して、受験機会の確保を徹底するよう求める通知を発出した。新型コロナウイルス感染症向けの水際対策に伴い、目下、留学生ら外国籍者の新規入国が一時停止される状態が続いていることを踏まえた措置で、ICT(情報通信技術)の活用によるオンライン入試や授業の実施を提言している。
具体的にはすでに出願を開始済みの大学に対して、入国できない志願者が受験機会を失うなど不利益を被ることが無いよう、ICTを活用したオンライン試験等の代替措置を講じるよう要請。受験科目に学力検査や小論文を設けている場合には不正防止策への目配りも求め、運用例として、①試験開始前に写真付きの身分証明書を撮影させることで本人確認を徹底、②受験場所全体を撮影させる、③試験時間中はマイク機能をオンの状態にしておく、などを列挙した。
さらに同通知では、入国制限が今後、志願者の入学時期まで継続される事態も想定した上で、入国可能になるまではICTを活用した授業を行うことや、入学時期を遅らせるなど柔軟な対応策をあらかじめ検討しておくことも各大学に求めている。
これに先立って今年6月に制定された「令和4年度大学入学者選抜実施要項」では、コロナ拡大抑止の観点から外国人入学志願者の選抜については、ICTを活用したオンライン試験の実施等、「可能な限り渡航を伴わない方法により実施する」方針が明記されていた。
有力大学の中にはすでにこうした方向性に沿い、日本留学試験(EJU)の結果やオンライン面接等による選抜を行う方針の大学のほかに、現時点ではあくまでも来日した上での受験を求めている大学もある。本格的な入試シーズンが迫る中、今回の文科省通知を受け、対応を見直す大学も出てきそうだ。
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文科相、体制整備の進捗状況は評価文科相、体制整備の進捗状況は評価
萩生田光一文部科学相は21日の定例会見で、外為法の安全保障貿易管理に基づき、留学生の卒業時や外国籍研究者の帰国時に「奨励する」とされている、規制技術の持ち出しの有無に関する注意喚起や誓約書の取得が、全大学の約61%(私立大学の約67%)で行われていなかったとする文科省と経済産業省との合同調査結果についてコメントした。萩生田文科相は「安全保障貿易管理の担当部署の設置や内部規定の策定を実施している大学の割合が増えるなど体制整備は着実に進んできている」と一定程度評価する一方で、「大学にはさらに実効性のある取組を一層進めていただく必要がある」として、科学技術・イノベーションの発展に資する研究の遂行と、外為法に基づく機微技術流出防止との両立を図るよう求めた。同時に文科省としても、経産省と連携し、各説明会での注意喚起や体制整備徹底の要請を通じて「大学における技術流出防止に向けた管理体制の強化を図っていきたい」と述べた。
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体調不良者への対応や臨時休校の判断基準を明示
日本語教育機関6団体は、関係機関における新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを新たに見直した。内閣官房コロナ室の指示に基づき、最近の感染状況を踏まえ改訂したもので、今回が第4版となる。通常の感染抑止対策や、学内で感染が疑われるケースが発生した場合の対応を一部変更したほか、臨時休校等の判断基準が追加された。同ガイドラインは日本語教育機関における当面のコロナ対応マニュアルと位置付けられる。
6団体が公表した新ガイドラインによれば、感染対策ではマスクに関して入手が困難である場合を除き不織布マスクを着用させるとしたほか、教室など共用スペースでは適切な空調設備等を活用した換気を徹底し、喫煙室の原則利用禁止を求めた。
学内で体調不良者が出た場合の対応については、国が承認した抗原簡易キットを活用して検査を実施し、結果が陽性の場合は速やかに医療機関でPCR検査を行うとし、教育機関として可能な限り事前に連携医療機関を定めておくことも盛り込んだ。
一方、クラス内で感染者が拡大している可能性が高い場合の学校側の対応について、新ガイドラインでは判断基準を明示。具体的には、①同一クラスで感染ルートが不明な複数学生の感染が判明、②1名の感染者が判明し、周囲に複数の濃厚接触者や風邪等の症状を有する未診断者が存在、③学校設置者が必要と判断、の内、いずれかに該当する場合には、オンライン授業への切替またはクラス閉鎖を実施するとした。またこうした措置の実施期間に関しては、感染状況や学生への影響等を踏まえ判断するものの、「学生等の不安が払拭されない場合、オンライン授業の継続やハイブリッド授業を妨げるものではない」と柔軟な運用を容認している。