インフォメーション
日本語教育機関の関係6団体は7月に入ってから、各教育機関の経営実態に関するアンケート調査を始めた。先に政府に対し入国制限の早期緩和と、苦境に追い込まれている各教育機関への支援を求める要望書を提出しており、文化庁国語課が支援の可能性について検討を行っているものの、現時点で前向きな回答は得られていない。6団体は財務省から予算を獲得するためには、日本語教育機関の経営実態の提示が必要と判断し、再度アンケートによる各校の実態把握に乗り出した。
関係者によれば質問項目の中には、在留資格認定証明書(COE)の交付状況と実際の入国状況、在籍者数と設置クラス数の推移やオンラインライブ授業の受講者数、及び収支状況と事業継続の見込みなど詳細な内容が含まれている。同調査は14日までを目途に行われる見通しだ。
★水際対策強化やワクチン接種の環境整備を要望
~全国知事会が4度目の宣言等を受け 国に提言~
東京都を対象とした4度目の緊急事態宣言発出と沖縄県の宣言延長、及び4府県におけるまん延防止等重点措置の延長を受けて、全国知事会の緊急対策本部は、新たな提言をまとめた。国内で広がっている新型コロナウイルス感染症がデルタ株にほぼ置き換わりつつある現状を受けて、検査・医療体制と水際対策の充実、全国の事業者に対する支援・雇用対策、ワクチン接種の円滑な実施等を国に対し要望している。
この内、水際対策では、インドなど感染力が高い変異株の流行国・地域からの入国に対して、5月末から対策が強化されたことを踏まえ、さらに感染状況に応じた機動的な対象国の拡大を行うとともに、入国者に係る情報を速やかに都道府県へ提供し、所在や連絡先の把握に取り組むよう重ねて求めた。
一方、外国人住民への適切なワクチン接種のために、コールセンターでの多言語対応など環境整備と、市区町村への財政支援を確実に行うことも提言している。
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~「大学入試のあり方に関する検討会議 提言」まとまる~
文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」はこのほど提言をまとめ、萩生田光一文部科学相に提出した。同会議は大学入学共通テストにおける記述式問題や英語民間検定試験の導入見送りを受けて、文部科学大臣の下に設置されたものだが、今回の提言では、外国人留学生や日本語指導が必要な生徒、難民等、外国にルーツを持つ人を対象とする特別選抜についても取り上げ、その現状と事例、及び今後求められる取組などについて言及している。
提言はいわゆる「特別選抜」のメリットとして、大学入試における実質的な公平性の追求やキャンパスの多様性実現の観点から意義が大きいとする一方で、選抜方法等の公平性・公正性をいかに確保するかや、大学での学修・卒業に必要な能力の判定に課題が残ると指摘。文部科学省に対して、特別選抜の普及を図るため、大学入学者選抜実施要項において他の模範となる取組や好事例を公表し、「多様な背景を持った学生の受入れの配慮」についての記載を充実させるよう求めた。
特別選抜の具体的な実施例としては、通常の外国人留学生入試のほか、日本語学校長の推薦による留学生受入れ区分や、日本語・英語を母語としない学生向けの日本留学試験(EJU)を利用した選抜区分の設定、定住外国人の比率が高い高校を対象とする英語重点型の公募型推薦入試などを列挙。さらに提言の参考資料では、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所や国連UNHCR協会との協定に基づき、難民を対象とする選抜区分を設けている青山学院大学や関西大学等の事例も紹介されている。
片や日本語指導が必要な生徒やその保護者については、進学に関する情報が効果的に伝わっていない可能性に留意する必要があるとし、文科省に対して母国語別の高校・大学進学率や、特別選抜の実施状況に関する実態調査を行い、自治体や関係国大使館等との連携による課題の共有を求めた。
一方、提言では、ウイズコロナ・ポストコロナ期における課題に、「多様な価値観を持つ多様な人材が集まり新たな価値が創出される」キャンパスの実現を挙げ、「留学生、社会人などを含め、一層多様な学生を受入れていく必要がある」と指摘。教育再生実行会議が先に提言した秋季入学や4学期制など学事歴と修業年限の多様化・柔軟化を見据え、大学入学者選抜もこれらに対応したあり方を検討することが必要として、一般選抜の延長線上ではなく、「外国人留学生選抜など、学力検査を中心とする通常の一般選抜とは異なる多様な選抜基準・方法を中心に推進することが適当」とした。
★東京都に4度目の緊急事態宣言 水際対策は継続
菅義偉首相は8日、東京都を対象地域とする4度目の緊急事態宣言を正式に発出した。宣言が継続される沖縄県と同様に、期限は8月22日までとなる。宣言に伴う海外からの水際対策に、これまでと大きな変更はない。
8日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部では、感染状況についてB.1.617.2 系統の変異株(デルタ株)によるクラスターが複数報告され、市中感染も確認されているほか、今後同変異株への置き換わりが進むことが想定されると分析。改訂された基本的対処方針では、さらに新たな変異株が発生し得ることを見据え、「特に懸念すべき変異株」と、従来株に分類した上で機動的な水際対策を講ずる必要性に言及している。
またすでに一部地域を対象に実施されている入国時の10日間の施設待機等や、在留資格保持者の再入国拒否についても、対象国・地域と入国者数の制限に関する検討が継続される。
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~9日より指定場所での待機が10日間に/現地では移動にワクチン証明義務づけ~
日本政府はインドネシアからの全ての入国者に対して、入国時に検疫所が指定する場所で10日間の待機を求める方針を決めた。同国内における新型コロナウイルス感染症の急速な拡大を受けた措置で、変異株対象国・地域の中で最もリスクが高いグループに分類した。待機期間中は入国後3日目、6日目、10日目の3回に渡りPCR検査を受けた後、自宅等待機へと移行してもらう。今月9日の午前0時より実施する。またキルギスからの入国に対しても、同様の措置が適用される。
インドネシアについては、現地に滞在中の日本人等が国内外に移動する場合、同国内でワクチン接種を義務づける方針が4日に打ち出され、日本政府がインドネシア政府に対して在留邦人の移動が過度に制限されないよう申し入れを行った経緯がある。結果的に日本人が直接国外へ移動する際にはワクチン接種証明書は不要とすることが外交当局間で確認されたが、依然としてインドネシア国内の移動には同証明書が求められる状況だ。現地から日本への留学を希望するインドネシア国籍者についても当面、移動上の制約が課される事態が想定される。
★ミャンマー人の緊急避難措置 300件に在留許可
ミャンマーでの政変を受けて日本政府は先月、日本に滞在するミャンマー国籍者が在留や就労を希望する場合、原則として許可する緊急避難措置を決めたが、その後約1か月間に、東京出入国在留管理局だけで1000件を超える申請があった。出入国在留管理庁によれば、昨日までに全国で約300件の在留許可を出しているという。
一方、入管庁では、該当者の難民認定申請についても審査を迅速化し該当性が認められる場合には適切に認定を行うとしているが、同措置開始後の難民申請は約50件で、現時点では認定に至った案件はなく、いずれも審査中だという。
★JASSO災害支援金 被災した留学生も対象
静岡県熱海市では豪雨により発生した土石流で甚大な被害が出ているが、日本学生支援機構(JASSO)では、災害による被害を受けた学生への支援策を実施しており、今回も該当者に対して申請を呼びかけている。支援措置には給付・貸与型の奨学金支給や返還の期限猶予・減額のほかに、「JASSO災害支援金」制度(10万円、返還不要)がある。
「災害支援金」は、学生本人やその生計維持者が在住している家が半壊以上の被害を受けたり床上浸水となった場合、及び自治体からの避難勧告等が1か月以上続いた場合などに支援を受けられる。要件に該当する場合は、日本国内の大学・短期大学・大学院・高等専門学校・専門学校に在籍している外国人留学生も対象となる。申請には自治体が発行する罹災証明書(または発行手続き時の申請書類コピー)が必要で、在学している学校を通じ申し込む。申請に関する問い合わせ先はTEL:03-6743-3185(JASSO災害支援金担当)。
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~今年7月末までの作成分は来年1月末まで有効~
出入国在留管理庁は、来日予定者が事前に取得を求められる在留資格認定証明書(以下「認定証」)について、有効期限を再延長する措置を正式に決定した。2020年1月以降に作成された全ての認定証を対象とする。昨年来、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、留学生等の入国手続きに支障となっている現状を考慮したもので、度重なる延長措置はさらに長期化する様相だ。
具体的には、昨年1月1日以降今年7月31日までに作成の認定証については一律に、2022年1月31日まで有効とみなす。当初は今年1月30日までの作成分は今月末で有効期限を満了とし、失効者には認定証の再交付を申請するよう求める方針だったが、対象者が相当な数に上るほか、関係機関からも善処を求める声が多く寄せられたことを踏まえ、入管庁が方針を転換した。
但し該当者が在外公館で査証(ビザ)の発給申請を行う際には、改めて、受入れ教育機関発行の「申立書」を別途提出する必要がある。「申立書」には、引き続き認定証の活動内容通りの受入れが可能であることが記載されている。(ビザ申請時の提出書類については各国・地域の在外公館により異なる可能性があるため、個別に再確認が必要。)
一方で入管庁では、認定証の有効期限が過度に長期化すれば、認定証の交付時と実際の入国時の状況が異なる可能性が高まることを憂慮しており、今後の再々延長は行わないとしている。当面、今年8月1日から来年1月31日の作成分については認定証の有効期限を「作成日から6か月間」とする形へと移行する。さらにこの期限が切れる来年7月31日以降に関しては、申請内容に変更が無い場合、交付済みの認定証と受入れ機関作成の理由書の提出により、新たな認定証を速やかに交付する措置を、同庁が別途指定する日まで続ける方針だ。
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~文科省「大学等における授業の実施方針に関する調査」結果より~
今年度の前期授業において、遠隔授業を併用するなど対象学生によって授業形態に差を設けた大学等の内一定数が、留学生への対応を念頭に置いていたことが文部科学省の調査で分かった。特に入国できないままの留学生を相当数抱える大学や、英語で受講する学位プログラムなど留学生の在籍者が多いコース・授業において、遠隔授業の必要性が高まったためとみられる。
文科省では昨年度末の時点で、全国の国公私立大学を対象に、令和3年度前期の授業実施方針について調査を行っており、最近その結果を公表した。それによれば全体の97%(1064校中1036校)が前期授業の半分以上を対面授業で実施するとし、さらにその内6割が、学部や学年によって授業形態に差があると回答している。
こうした差を設ける理由としては主に、授業クラスの人数(大人数か小人数か)、専攻分野(文科系か理工系か)、履修科目(講義系か実技・実習系か)等の違いに対する配慮のほか、新1年生に対して優先的に対面授業を増やす必要性を挙げたところも目立った。
また同調査では、留学生への配慮を理由に遠隔授業等の対応をとった大学も一定数に上っていたことが裏付けられた。特に留学生の在籍数が多い大学や在籍率の高い学部で、こうした傾向が顕著となっている。
上智大学では、留学生や海外出身者の割合が高い英語コースの学科・専攻において、現在の入国制限下での対面授業によるスタートは困難と判断し、前期授業をオンライン形式で開始した。今後入国状況の改善に伴い対面中心へと移行する予定だという。早稲田大学も留学生の多い英語学位プログラム等は、入国制限の関係から遠隔授業が中心にならざるを得ないとしている。山梨学院大学は経営学部と国際リベラルアーツ学部で、日本への入国ができていない留学生が多く在籍しているため遠隔授業の実施比率を高めており、同様に鈴鹿大学は国際地域学部で遠隔授業が多い状況にある。
また立命館大学や秀明大学も、留学生が多く在籍している学部で遠隔授業やオンライン授業を提供する比率が高いとしている。学生数の半数を留学生が占める立命館アジア太平洋大学は、依然として入国できていない学生もいるため、「全ての授業クラスを遠隔授業で実施することは大前提」だとしており、大阪経済法科大学は来日できない留学生は事前確認の上で、遠隔授業のみの履修を可能とする対応をとっているという。一方で武蔵野美術大学のように「未入国留学生のオンライン対応を実施する予定」としたところもあった。
文科省は5月末より国費留学生の一部受入れを再開するなど、段階的に留学生交流の正常化を模索しているが、政府による入国制限解除の見通しは依然として不透明なままだ。後期授業の開始時期が近付く中、各大学が海外にいる留学生(及び留学予定者)への対応も含め、遠隔授業を相当割合で続けざるを得なくなる状況も想定される。
★11月の日本留学試験 出願開始
11月14日に行われる今年度第2回目の日本留学試験(EJU)の出願受付が、本日(5日)より始まった。国内受験者はオンラインで申し込む必要があり、7月30日17時が締め切りとなる。
申込者はまず「EJUオンライン」にログインするためにマイページIDの取得が必要となる。
★EJUオンライン | ログイン/Login (jasso.go.jp)
★https://eju-online.jasso.go.jp/src/CMNMNUAL010.php#MyPageID
※フィリピン・マニラは11月試験も中止
EJUの実施機関である日本学生支援機構(JASSO)は、フィリピン・マニラでの11月試験を中止することを決めた。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるもので、フィリピンでは今年6月と昨年の2回を含めると、2年続けて試験が実施されないことになる。
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