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入国制限下でも 日本へ戻る動き根強く
今年2月から4月までの3か月間に、所持している「留学」の在留資格で日本へ再入国した外国人が8375人いたことが、関係省庁の統計から判明した。月間ベースでみると、年度が替わった4月も2658人と、3月(4427人)よりは減速しているものの、依然として2月(1290人)の2倍強に上る再入国留学生がおり、コロナ禍の入国制限下にあっても新年度入りを前に日本へ戻る動きが続いていたことが裏付けられた。
4月に再入国した留学生の出身国(地域)別内訳では、中国が1705人で最も多く、韓国(310人)、ネパール(215人)、台湾(83人)、バングラデシュ(41人)等が続く。この内、ネパールとバングラデシュは新型コロナウイルス感染症デルタ株の蔓延に伴い、それぞれ5月14日と20日以降、日本政府が水際対策をさらに強化していて、現在では留学生の再入国も認められていない。
2月からの3か月間に日本へ再入国した留学生の総数は、中国(4703人)、韓国(1752人)、ネパール(383人)、台湾(352人)、の4か国(地域)で全体の85%を占めるほか、インドネシア(135人)、タイ(114人)、ベトナム(112人)の東南アジア諸国が各100人を超えている。
★4月の「留学」新規入国は327人
一方、新規で「留学」の在留資格を取得し来日した外国人が、4月の1か月間で327人いたこともわかった。この数は2月の50人から3月は102人に増え、4月は3月の3倍増となっている。出身国(地域)別では中国111人、ベトナム85人、韓国58人、台湾37人など。
現在日本政府は留学生ら外国人の新規入国について原則として認めておらず、これらの入国者は「特段の事情」によるものとみられる。5月以降は国費留学生の新規入国が部分的に再開されており、留学交流の正常化へ向けてさらなる増加が見込まれる。ただ新型コロナウイルス感染症のデルタ株が世界的に拡大傾向にあり、往来の正常化までには今後も紆余曲折が予想される。
★日本語能力試験 ジャカルタなども中止
今週末(7月4日)に迫った2021年第1回日本語能力試験(JLPT)は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国外の会場で試験が相次ぎ実施できなくなっているが、先週追加で発表された中国の広州、ベトナムの4都市、タイの2都市、シンガポールのほかに、インドネシアの首都ジャカルタとバンドンの2会場も新たに中止が決まった。
※国内では大学の貸出中止で試験会場変更も
一方、日本国内の試験会場では、コロナ感染拡大の影響で、当初JLPTが予定されていた関西エリアの「流通科学大学」会場において、急遽貸出を中止する措置がとられたため、代替会場が確保された。同会場で受験予定だった人は、そのままの受験票を持参し、「神戸ポートピアホテル会場(最寄駅:ポートライナー市民広場駅)」で受験が可能となる。主催機関ではすでに受験者にメールで案内したほか、会場情報を別途郵送したという。
24大学が接種会場として協力の意向
渡航先の大学等から新型コロナウイルスワクチンの接種を求められている日本人の海外留学予定者について、文部科学省はいわゆる「大学拠点設置」の枠組みで接種が受けられるように支援する仕組みを構築し、15日より申請の受付を始めた。海外の大学での学位取得か、あるいは日本の大学で留学が必須の課程での学位取得が必要な学生で、今秋までの渡航を予定する人が対象となる。使用されるワクチンはモデルナ社製で、対象は18歳以上。高校卒で留学希望の場合は対象とならない。2回の接種完了後には、要望に基づき文部科学大臣名で英語の「ワクチン接種記録保有証明」が発行される。
萩生田光一文部科学相は15日の定例会見で、すでに大学に学籍が無い人や、卒業後に留学を予定している人が学位取得目的で留学する場合には、まず文科省に申請し、同省から接種に協力してもらえる大学を紹介した上で、申請者が大学等の会場に接種予約をする形になると説明した。接種拠点としては、現時点で、24大学(26会場)が協力の意向を表明しているという。
また文科省が、8月以降の渡航について日本学生支援機構による奨学金再開を決めた大学間交流協定に基づく海外留学プログラム(1年)の参加学生については、学生本人からまず所属大学に接種を相談してもらう形を取る。
政府は令和3年度改訂版となる「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を公表した。外国人との共生社会を目指す政府の受入れ戦略の指針となるもので、15日、関係閣僚会議で決定された。今回の改訂では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により鮮明となった課題を踏まえ、受入れ外国人の環境整備のために拡充された新たな施策が盛り込まれている。
同改訂版には、外国人留学生に関連した施策も新たに追加された。
まず「ライフステージ・生活シーンに応じた支援」の中では、コロナ禍の長期化や新たな危機に備えるために、特に専修学校において外国人留学生が母国でオンライン学習を通じて学習するためのコンテンツ開発や学修サポート体制構築を求めた上で、「母国での学修を評価し、来日以後の残りの学修・就職支援までをトータルパッケージで支援するモデルを構築する」とした。来日前と来日後の教育サポートを一体化させることで、コロナ禍に伴う留学生減少を食い止めようとする苦肉の策とも言える。
また「非常時における外国人向けのセーフティネット・支援等」では、留学生が多く在籍する日本語教育機関、専門学校等や外国人を雇用する職場において、抗原簡易検査キット等を活用した軽症状者向けの検査を積極的に行い、陽性者が発見された場合は幅広い接触者に対して「迅速かつ機動的にPCR検査等を行政検査として実施する」ことを謳った。同時に、在留外国人へのワクチン接種に関する広報や、外国人学校におけるやさしい日本語・多言語での情報発信も課題に挙げている。
さらに日本語教育関連では、日本語教員資格と日本語教育水準の維持向上を図るための仕組みの法制化や、「日本語教育機関における日本語教育に対する支援等」について検討を進め、必要な措置を講じる」とした、
一方、改訂前からの踏襲内容としては、留学生の就職支援、在籍管理の徹底等を課題として列挙。「在籍管理の適性を欠く大学等については、改善が認められるまでの間、原則として、留学生の受入れを認めない等の在留資格審査の厳格化を図る」ほか、「私学助成の減額・不交付措置や大学等名の公表等の制裁を強化する」と明記し、専門学校についても同様の仕組みを構築するとした。
新型コロナウイルス感染症の蔓延が、2年続きで日本留学試験(EJU)の海外実施に甚大な影響を及ぼしつつある。変異株B.1.617がアジア地域で急速に拡大している状況を受けて、今月20日に予定されていた日本留学試験(EJU)の国外会場の内、新たに台湾(台北)、マレーシア(クアラルンプール)、シンガポールの3会場が中止されることが決まった。実施元である日本学生支援機構(JASSO)が8日、発表した。早い段階で実施しない方針が決まっていたフィリピン(マニラ)を含めると、中止は計4会場となった。
この内、マレーシアでは先月の1か月だけで、これまでの累計感染者の4割を占めるなど、ここに来て感染が急拡大しており、今月1日より全面的なロックダウンに踏み切っていた。現在各地で厳しい移動制限が課されており、現地随一の著名校で日本語学習者も多いマラヤ大学でも、寮に居住中の学生が外出できなくなるなど影響が広がっている。
EJUの現地実施協力機関であるマレーシア元留日学生協会では、ギリギリの段階まで駐マレーシア日本国大使館など関係機関と協議を重ね、試験実施の可能性を模索した。昨年11月の試験時には同大使館がマレーシア政府と交渉し、受験時の移動を特別に許可されたが、今回はロックダウンの余波で試験会場が封鎖されるに至り、代替場所の確保見通しも立たないことから、最終的にやむなく中止を決断した模様だ。
マレーシアでは、来月に計画されていた日本語能力試験(JLPT)の実施も早い段階で中止が決まっており、日本留学に欠かせない日本語「二大メジャー資格」の第1回試験が、2年連続でいずれも行われない異常事態となった。日本留学を計画している現地の留学予定者にも一定の影響は避けられない。
一方、台湾は先月初めまでは累計感染者が100人足らずだったが、ここにきて急拡大し、1か月足らずのうちに1万人を突破。シンガポールを含めこれまで「コロナ対策の優等国」とされてきただけに、関係者にとってはまさに想定外ともいえる事態の急変となった。
各国・地域における今後の感染状況次第では、中止となる国外の会場はさらに増える可能性がある。なお日本国内の会場は現時点で予定通り、EJUが実施される見通しだ。
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6月に入り、中国の全国統一大学入試「高考」のシーズンが到来した。今年は全土で1078万人と史上最多の受験が見込まれている。ここ数年、大学入試の「外国語」試験で日本語を選択した学生が全国の省・自治区中、最も多い南部の広東省では、6月7日から3日間に渡り63万6千人が「高考」本番に臨む。折しも同省内における新型コロナウイルス感染の再発が重なり、試験の準備作業も入念な調整を迫られた。期間中、省内各地の大学では感染抑止と試験の円滑な実施のため、最高レベルの厳戒態勢が敷かれている。
※広東版・大学入試のコロナ対策は?
全国統一大学入試「高考」の実施に際して、広東省では受験生など関係者を全7グループに分類し、それぞれに異なる感染抑止対策を行なっている。
広東省教育庁の景李虎庁長が会見で明らかにしたところによれば、7グループの内訳は、①新型コロナウイルス PCR検査で陽性が判明した受験生、②陽性者と濃厚接触したか、その疑いがある受験生、③健康アプリでレッドやイエローが表示されたり、発熱症状がある受験生、④正常な状態にある受験生、⑤社会人受験生、⑥入試業務に携わるスタッフ、⑦受験生の家族、だという。
一方、全受験生に共通する事項としては、試験前14日間の健康観察措置とPCR検査を義務付けるとともに、居住エリアごとに異なる感染状況に応じて個別の抑止対策が定められている。
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