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「日本留学の扉を開く会」が文科省などに再度要望
インターネットやSNS上で海外の学生たちの声を発信し続けている「日本留学の扉を開く会」は、留学生受入れ再開に向けた要望書を、再び日本政府に提出した。すでに11月15日時点で文部科学省に対して留学予定者に対する「審査済証」の前倒し交付などを要望しているが、その後、岸田文雄政権が外国人の新規入国を12月末まで停止したことを受けて、再度、今月6日に文部科学大臣と文化庁国語課長宛てにメールで要望事項を発出したという。
要望の骨子は、①早急な受け入れロードマップの提示、②留学生の入国の早期再開と、円滑な受け入れのための審査簡素化、③「段階的受け入れ」方針の撤廃、④留学生の恒常的受け入れ(外国人差別、私費/国費の区別撤廃)の4点から成る。
この内①については、入国停止期間は当面1か月とされたが、再開の目途やビジョンが何ら示されていないことから、来日待ちの留学生等の間では今年初めの禁止時と同様に長期化するのではないかとの懸念がある。また③は在留資格認定証明書(COE)の交付順に入国を認めるとした11月初旬の政府方針に関して、すでに日本語教育機関6団体の調査により多くのCOE所持者の留学キャンセルが確認されたほか、今回の入国再禁止により、入国延期となった留学生たちの損害は甚大だとして、段階的入国措置を速やかに撤廃するよう求めている。
「新規入国者」と「日本人・在留資格保持者」を区別する根拠なし
一方、外国人に対する新規入国禁止措置に対しては、先にWHO(世界保健機関)の関係者が入国の可否を自国民かどうかで判断する日本政府の対応に疑問を呈したほか、「科学的ではない」とか「鎖国政策」と指摘する専門家の声も少なくない。今回の要望では同措置について「WHOの談話を待たずとも海外からは差別的と受け取られている」と断じた上で、防疫的な観点から、「長期滞在者」としての新規入国者と、日本人や在留資格保持者との違いの合理的な根拠は認められないと指摘した。今後、検疫措置に関して外国人差別を行わないよう、さらに呼びかけることも検討しているという。
「扉を開く会」では入国禁止から続く一連の推移により「日本への不満、批判」が深刻なレベルに変化しつつあることに懸念を示すとともに、今後も、「留学生を含むレジデンストラックの基本的受入れ」をゴールに、活動を続けるとしている。
★末松文科相、来日できない留学生向けメッセージを配信
留学生を含む外国人の新規入国が年末まで停止されたことを受けて、末松信介文部科学大臣は8日、「日本留学を心待ちにしていた留学生の皆様へ」と題する動画をYouTubeで配信した。動画では、ようやく日本で学ぶ目途が見え始めた矢先に入国が叶わなくなったことを「大変残念に思います」と述べ、日本に関心を持ち留学を希望する若者たちが、実際に日本に住み様々な人と交流し、卒業後は日本の良き理解者として活躍してもらうことが大切との認識を示した。
その上で末松文科大臣は当面の措置として、留学予定者らがオンラインなどを活用し、母国でも学習を進められるような環境整備を行う意向を表明。オンライン教育コンテンツをまとめたプラットフォームの整備や、オンライン環境での質の高い日本語教育への支援を進めるとしている。
今後の入国再開を見据えた文科省の取組としては、一連の申請手続きを最大限迅速化できるよう、大学等の関係者と連携していく方針を強調した。
末松文科大臣は動画の最後に、留学予定者らに対して、「皆さまが日本で安心して学ぶことができる日が来るまでは、学習環境を整えつつ、日本でお会いできる日を心待ちにしております」とのメッセージを添えた。
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林芳正外相は7日の定例会見で、オミクロン株の拡大を受けた留学生等外国人に対する入国禁止策に関連して、いわゆる「特段の事情」による新規入国については「個別の事情を踏まえ、このタイミングで入国が真に必要であると認められるものに限るなど厳格化して適用している」と述べた。こうした運用方針の変更を受けて「留学生に限らず、これまで特段の事情で入国が認められてきた者でも新規入国が停止されている状況だ。1か月程度、最悪の事態に備えるということで、臨時特例の措置を取っている。(関係者には)ぜひご理解いただきたい」と述べた
政府が今後水際対策を変更するにあたっての判断根拠としては「オミクロン株についての情報や諸外国の対応等」も参考にするとした上で、関係省庁と対応を検討していく意向を明らかにした。
※「再入国者は日本との関わり深い」 対象拡大は慎重に判断
一方、現在アフリカ10か国を対象に行われている外国籍者の「再入国禁止」に関して今後対象エリアが広がる可能性を問われた林外相は、「再入国者はすでにわが国に在留資格を所持していてわが国又はわが国国民と一定の関係を築いている方々であり、日本社会との関わりが強い。再入国停止によって様々な影響が生じることを考慮して、慎重に検討を行っていきたい」と述べた。当面は、入国時に検疫所指定施設で10日間の待機を求めているオミクロン株の指定国・地域以外については、再入国を容認していく方針を表明した形だ。
日本語教育機関の6団体は、留学生の新規入国に関連して、このほど出入国在留管理庁と文部科学省に対し改めて要望書を提出した。日本政府は先月30日より新型コロナウイルス感染症オミクロン株への緊急対応として、留学生を含む外国人の新規入国を12月31日まで一時停止し、これに伴って所管省庁への入国申請手続も受付が中断されている。
6団体の要望書では、日本政府の判断について「致し方ない措置」であると一定の理解を示しつつも、留学生は一日も早い入国を心待ちにしているとして、受入れ機関を通じた審査済証の申請受付・審査については停止せず、入国制限が解除された後速やかに入国できるようにしておくことを求めた。この間に留学予定先を日本から他の国へ変更する人や入学辞退者が増えている状況も踏まえ、政府に対して日本が留学先として選ばれるために一丸となって対応するよう促す狙いもある。
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今年4月に介護福祉士養成施設へ入学した外国人留学生は2189人で、全体の過半数(1198人)を東南アジア出身者が占めたことが、日本介護福祉士養成施設協会(介養協)のまとめでわかった。新型コロナウイルス感染症の影響などで実数は前年(2395人)よりわずかに減ったものの、減少率は8%に止まっていて、入学した留学生の出身国・地域の数は28と、前年から逆に8か国増えるなど多国籍化が鮮明になりつつある。
留学生の国・地域別 入学者数ではベトナム(750人)を筆頭にネパール(620人)、中国(254人)が特に多く、以下、フィリピン(187人)、インドネシア(133人)、ミャンマー(75人)、タイ(41人)が続いている。
なお日本人学生を含めた介護福祉士養成施設全体の総入学者数は7183人で、高校生等新卒者が対前年比347人増えた影響もあり、3年続きで増勢を維持した。
★日本語能力試験、中国で中止の余波広がる
12月5日の日本語能力試験(JLPT)は、新型コロナウイルス感染症に伴う現地の規制等により、国外で中止に追い込まれる会場が多く出る結果となった。この内、中国では北京で北京大学、北京外国語大学等、上海で上海大学や華東師範大学等が実施を見送ったほか、南部の広州では中山大学に続き、広東外語外貿大学も試験会場周辺が中度リスク地域となった状況を受けて、前日の4日に中止が決まるなど影響が出た。少なくともいずれかの試験会場が中止となった都市は中国全土で20に上るとみられる。国際交流基金の関係者は3日時点の取材に対して、中国内で試験が受けられない学生は出願者ベースでほぼ半数に及ぶとの見通しを述べていた。
なお中国の大陸部では日本留学試験(EJU)が実施されていないことから、JLPT12月試験の一部会場における中止は、2022年以降の入学予定者に対する各大学等の書類審査にも、一定の影響を与えるとみられる。
★オミクロン株以外の「3日間待機国」 ワクチン証明で水際緩和
政府は水際対策の対象地域を再度見直し、12月5日0時から、米国のニューヨーク州、ハワイ州など4州とインドのカルナータカ州、及びルーマニアとギリシャを、新たにオミクロン株の指定国・地域とし、検疫所が指定する宿泊施設で3日間待機とした。
一方で待機施設の収容能力が逼迫してきた状況を踏まえ、これまで3日間待機を求めていた対象の内、オミクロン株が確認されていない国・地域からの入国者でワクチン接種証明書を持つ人に関しては4日0時より、入国後ダイレクトに自宅待機へと移行させる方針も決めた。アジア地域でこれに該当するのは、ネパール、パキスタン、フィリピン、モンゴル、ウズベキスタンの5か国で、一方、香港(待機3日間)と韓国(待機6日間)は引き続き指定宿泊施設での待機を求められる。
また南アフリカなど10か国に滞在していた外国人については、引き続き再入国者も含め入国禁止措置を継続する。
★文科省、水際対応に関するタスクフォース設置
文部科学省はこのほど、文部科学事務次官をヘッドとする「水際対策強化に伴う対応に関するタスクフォース」を設置することを決めた。オミクロン株に対する政府の緊急避難的な措置により外国人の新規入国が当面年末まで禁止され、内外で様々な影響が出ていることを踏まえた取組だという。
末松信介文部科学相は入国禁止などの政策について「丁寧な説明をするとともに、関係者の思いに真摯に耳を傾けたい」とした上で、水際強化に伴う課題や要望を聞き取り、同省としての対応を検討していく方針を明らかにした。
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~中国 少なくとも20都市はコロナの影響で中止に~
今週末12月5日(日)に、国内外で今年第2回目の日本語能力試験(JLPT)が行われる。実施元の日本国際教育支援協会によれば、日本国内では予定の全会場で試験が実施される見通しだ。国外に関しては中国(大陸)の45都市で実施が計画されていたが、3日までに当局の指示により大半の会場で試験が中止となった。受験生らの安全や健康面を考慮した結果としている。関係者によれば中止会場は少なくとも現時点で20都市に及び、出願者ベースでもほぼ半数に達するという。
一方、東南アジアでは今月1日時点ですでに中止の都市が20に上っていて、実施されるのはインドネシアがジャカルタ等5都市、マレーシアがクアラルンプール等2都市、ミャンマーがヤンゴン等2都市のほか、タイ・シンガポールの各1都市と、カンボジア 、ベトナムの全会場。フィリピンとラオス、ブルネイは全て中止された。南アジアはスリランカのみ実施されない。
なお欧米等、他のエリアでも実施の可否は都市によって分かれており、日本に隣接する極東ロシア地域では、ハバロフスクとウラジオストクでの実施が見送られている。
(注意)上記はいずれも3日時点で判明している情報に基づくもので、試験当日までに実施の有無等が変更となる可能性があります。ご注意下さい、
★発行済み査証の効力を一時停止
外務省、申請要件をさらに厳格化
政府は新型コロナ変異株(オミクロン株)の流行に伴う緊急避難措置として、今週初めから水際対策を矢継ぎ早に打ち出しているが、在外公館における査証(ビザ)発給の制限措置もさらに強化された。外務省などによれば、昨日(12月2日)より以前に発給・交付された査証は一部を除き12月31日まで効力を停止した。新規の査証申請も、原則として受け付けない。
これにより当面の間、例外的に入国上「特段の事情」が認められるのは、①在留資格を所持する再入国者(再入国禁止のアフリカ10か国滞在者を除く)、②日本人・永住者の配偶者または子、③定住者の配偶者または子で、日本にいる家族と分離状態にある、④人道上の理由や高い公益性がある、等のケース。この内④については従来よりも査証の交付要件が厳格化されており、例えば日本人・永住者の配偶者や子が「短期滞在」で訪日する目的や、親族の病気など緊急の理由により発給済みの査証などは「一時停止の対象になる」としている在外公館もある。こうしたケースでは、再度入国の必要性に関する資料を提出し直し、月内に査証の再発給を受ける必要があるという。
政府は例外的な入国枠を最小限の範囲にとどめる方針で、これまで「特段の事情」として各省庁ベースで認められてきた興行関係者や国費留学生の入国も厳しい情勢となりそうだ。
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松野博一官房長官は本日(2日)午前の会見で、国土交通省が航空各社に対し、日本到着便の新規予約を12月末まで一律停止するよう要請していたことについて、「緊急避難的対応として予防的措置から講じたものと承知しているが、一部関係者に混乱を招いてしまった。岸田文雄首相から日本人の帰国需要に十分配慮して対応するよう指示があった」と述べ、緊急予約の一律受付停止の措置を取り止めるよう、本日付で国交省が航空各社に再通知を行ったことを明らかにした。今後の受入れ数については、予約状況や需要動向にきめ細かく対応していく方針だとしている。
日本人以外の特別永住者や日本人の配偶者向け扱いに関しては、「国土交通省にお問合せいただきたい」と直接の言及を避けた。
※国土交通省が29日に日本到着便の予約販売停止を指示
政府が先に海外から日本に到着する航空便について「既存の予約について配慮しつつ、新規予約を抑制する」方針を決めたことを受けて、国土交通省は11月29日、航空各社に対し、日本到着便の新たな予約を年末まで停止するよう「要請」したとしている。一方、日本航空はオミクロン株に対する水際措置の強化に伴い、国土交通省からの「指示」に従い、12月の日本到着国際線(JAL運航便)について、全便で予約販売を停止する方針を発表していた。
当初、影響を受ける対象者には在留資格を所持する外国人の再入国者だけでなく、海外在住邦人の帰国者らも想定されていたが、岸田首相は本日午前の会見で、邦人の帰国需要については充分に配慮するよう国土交通省に指示したと述べ、方針を再修正した。ここに来て連日、入国規制を強める一方で方針が二転三転する岸田政権の水際対策により、留学生らの再入国についても、先行き不透明感が拭えない。
★オミクロン株指定国に韓国を追加
〜明日より「待機6日間」に水際対策厳格化〜
政府は新型コロナウイルスのオミクロン株が確認された指定国・地域として新たに韓国、スイス、ブラジルとカナダの3州、及び仏領レユニオン島を追加した。この内、韓国については明日3日0時より、検疫所宿泊施設での待機期間を6日間とし、入国後3日目と6日目の検査を義務付けるなど水際対策を強化する。アジア地域を対象とする措置としては、すでに香港やモンゴル、ネパールなど6か国・地域に対して3日間待機を求めているが、韓国が最も厳しくなる。なお今回の追加指定国・地域の内、ブラジルなど他のエリアは3日間待機となる。
★海外在住の外国人受験者向けに受験機会の確保を再要請
文部科学省は政府が外国人の新規入国を再び停止する措置を講じたことを受けて、海外在住の外国人が日本の大学等へ志願する場合に、「短期滞在」の在留資格で受験目的の来日申請を行うスキームも停止する。大学入学共通テストを受験予定だった海外在住外国人も受験ができなくなることから、同省では入試の代替措置実施について、各大学等に対応を求める通知を行った。
同通知では、各校の募集要項で入国できない場合の扱いを明記している場合を除き、「ICTを活用したオンラインによる試験の実施等の工夫により、渡航を伴わない方法により代替措置を講じる」ことで、受験機会を確保するよう改めて求めた。留学生入試の代替措置を行う場合には、今後、各校のホームぺージ等を通じた周知を行うことが望ましいとされている。
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