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政府は先月下旬から新たな水際対策として、ワクチン接種証明書を所持する外国人向けに、入国後の自宅等待機期間を短縮したり、指定宿泊施設における待機措置を一部免除する取り組みを開始したが、同措置の対象とするワクチンも一部拡大する方針を決めた。これまではファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種に限定していたが、新たに、アストラゼネカから技術許与を受けてインド血清研究所が製造するコビシールドも対象とし、明日12日午前0時より同一の取り扱いとする。
これに伴い、ワクチン接種証明書が有効と認められる国・地域には新たに米国のカリフォルニア州など4地域とカナダのノースウェスト州など6地域のほか、パブアニューギニア、コスタリカ、スイス、パラグアイなどが加わった。アジアではモルディブのみが追加され、すでに対象となっている香港、ベトナム、タイ、マレーシアなども含めると計8か国・地域となった。
★政局は解散総選挙へ 入国制限緩和の動き見られず
岸田文雄首相は今週、衆参両院で所信表明演説に対する各党の代表質問を受けた後、14日にも衆議院を解散する意向だ。与野党も、31日投開票の衆院選挙に向け選挙モード一色となる見込み。先月末、退任前に菅義偉首相が検討を表明した留学生らに対する入国制限緩和については、その後進展がなく、新規入国は国費留学生のほかに、JICA(国際協力事業団)やJICE(日本国際協力センター)のプログラムで来日する留学生のみが例外的に認められている状況だ。
政府関係筋は先週末時点で、本紙の取材に対し「水際緩和に向けた大きな動きは今のところない」と語った。現状では「政策変更が行われる場合でも総選挙以降になるのでは(教育機関関係者)」との見方が広がっている。
★ネット詐欺急増 中国大使館が留学生に注意喚起
中国駐日本大使館は最近、インターネットや電話による詐欺被害に遭う中国人留学生が急増しているとして、被害を避けるための基本的な知識を身につけ、警戒感を高めるよう異例の注意喚起を行った。同大使館によると、留学生がAPPを通じて知り合った人物とSNS上でやり取りするようになり、一定の時間が経過後に、ビットコイン等のネット取引へと誘導されるのが典型的な事例だという。犯罪者らは、当初、取引で利益が出ているように見せかけたり、またその後損失が出たとして穴埋めをするよう促すなどの手口により、その都度留学生に大金を振り込ませた後、行方をくらますことが多いようだ。
目下、日本在留者の中でも個人的な資産運用や投資を行っている中国籍者が増えていることから、中国大使館ではこれらの取引は信頼できる銀行や証券会社の正規ルートを通じて行うよう釘を刺すとともに、ネット上の自称「専門家」を安易に信用したり、出所不明なリンク先やAPPにアクセスしないよう厳重な警戒を呼び掛けている。
こうしたネットを通じた詐欺犯罪は、売り子・買い子等の偽装「アルバイト」を募集するクレジットカード犯罪にも共通するが、「高収益」や「インサイダー(内部情報)」を謳い、言葉巧みに若者を誘い込む手口が目立つ。長引くコロナ禍でアルバイトが減少し、自宅等での「スマホ時間」が慢性的に長時間化している今、いかに留学生に忍び寄るこうした犯罪行為に目を光らせ、注意を喚起するかが今後の課題となる。
★日中首脳が電話会談 国民交流の後押しで一致
岸田文雄首相は8日、中国の習近平国家主席と電話会談を行った。日本外務省によれば、双方は様々な懸案について対話を重ね協力していくことや、両国間の経済・国民交流を後押ししていく方針で一致した。2022年は日中国交正常化から50周年を迎える節目の年となり、岸田首相はこれを契機に、「建設的・安定的な関係」を共に構築していきたいと述べた。これに対して習主席は賛意と日中関係発展への意欲を示したという。
一方、中国現地の有力紙「人民日報」は習主席が会談の場で現在の両国関係について「チャンスと試練が併存している」との認識を示した上で、「日本の新政権が両国のハイレベル交流の維持を重視していることを称賛し、日本側と対話・協力を強化し、新時代の要請に見合った中日関係の構築を後押しすることを望んでいる」と語ったと報じた。
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厚生労働省は日本企業への就職を希望する外国人留学生を対象とした「大卒等合同就職面接会」を、来月初旬の3日間にわたって実施する。参加対象者は今年度末に大学院、大学、短大、高専、専修学校を卒業予定の外国人留学生か、既卒の外国人元留学生で卒業後おおむね3年以内の人。新型コロナウイルス感染症の影響により、留学生をめぐる求職環境は厳しさを増しており、厚労省では採用企業との面接の機会提供を通じて、海外人材の国内就職促進に取り組んでいきたいとしている。
面接会は11月1日、4日、5日の3日間、東京・新宿の東京新卒応援ハローワークで行われる。いずれも参加は無料だが事前予約制となっており、事前に東京外国人雇用サービスセンターか最寄りのハローワークで求職登録を行った上で、受付開始日以降に「ハローワーク受付票」の交付を受ける必要がある。予約の受付開始は10月11日。
参加企業は1日は5社、4日と5日は各10社が予定されているという。ただ原則として応募者1名につき1社しか応募予約できないほか、各社の面接受付枠は11名までと枠が非常に限られているので、面接を希望する人は11日以降早めの申込が必要だ。詳細に関する問い合わせはTEL:03-5361-8722(東京外国人雇用サービスセンター)まで。
なお当日参加予定の求人企業は下記リンクにて閲覧できる(順次公開)。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-foreigner/news_topics/kigyou_minasama/mense/20211101__00002.html
★新法相が就任会見 首相からの指示課題に言及
岸田文雄内閣で新たに任命された古川禎久法相は5日の初登庁後の記者会見で、岸田新首相から法務行政に関する6つの課題への取り組みを指示されたことを明らかにした。この内、外国人材に関しては、①一定の専門性や技能を有する外国人材の円滑な受入れと、在留管理の徹底、②技能実習生の失踪などの不適切事案の防止と、技能実習制度の在り方を含めた特定技能制度の総合的な検討、③共生社会の実現に必要な環境整備、が含まれており、またポストコロナ時代を見据えた「観光立国に相応しい入国管理の実現」についても指示があったという。
一方で菅義偉前首相が先月末に述べた、留学生に対する入国制限の緩和など国際的な人の往来再開に向けた検討については、特に言及がなかった模様だ。
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~入管庁、今月半ばめどに 接種サポート体制を拡充~
出入国在留管理庁は在留外国人向けの新型コロナウイルスワクチン接種に関連して、月内にも新たな支援の取り組みに着手する。現在、日本国内に住民票を所持する中長期在留者に対してはワクチン接種券が発行されているが、言語面のハンディや意思疎通の問題から接種予約ができないという声が多数寄せられているという。こうした状況を踏まえ、入管庁では東京、大阪、名古屋の各地方入管局近隣にある医療機関で一定の接種枠を確保した上で、外国人在留支援センター(FRESC)において接種券の発行に関する相談を受けるとともに、専用電話回線を設け接種予約を受け付ける意向だ。また接種場所での問診時には、多言語によるサポートも行う。
一方、中長期在留者以外の外国人についてはこれまで接種券が配布されず接種が受けられなかったが、入管庁では厚生労働省や各市区町村などとも連携の上で、同様に接種を支援する体制を整え、10月半ばをめどに運用を開始する予定だ。
先月来、日本国内の感染状況は落ち着きを取り戻しつつあるものの、冬場に向けて第6波の拡大や新たな変異株の流行も危惧されており、これまでに外国人コミュニティでのクラスターなども起こっていることから、関係省庁では引き続き感染防止対策を強化していく方針だ。
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日本学生支援機構(JASSO)は11月14日に予定されている今年度の第2回日本留学試験(EJU)の試験会場を発表した。会場が設置されるのは北海道から沖縄まで全国16都道府県の27箇所に上る。今回も大学キャンパスが多いが、東京都、群馬県、静岡県では民間施設や貸会議室も活用される。
最も多くの会場が設定されたのは、全都道府県中で最多の9960人の受験者が応募した東京都で12箇所。この内、大学会場は東京大学教養学部(駒場キャンパス)、専修大学(神田キャンパス)、拓殖大学(文京キャンパス)、一橋大学(国立キャンパス)の4箇所で、他はベルサール(7会場)や新宿住友ホール等の民間施設が主体だ。
また愛知県は名古屋大学(東山キャンパス)、京都府は龍谷大学(深草キャンパス)、大阪府は大阪大学(豊中キャンパス)がそれぞれ会場となる。九州・沖縄は福岡県の九州産業大学と、沖縄県の琉球大学千原キャンパスの2箇所。これらの他に、北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、静岡県、兵庫県、広島県で各1箇所が設けられている。
なおJASSOでは、会場の収容定員等の兼ね合いや、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、受験者が申込時に希望した受験地ではなく近隣の都道府県に変更となる場合や、試験会場が変更される可能性もあるとしており、受験予定者は直前まで随時、最新情報を確認することが望ましい。受験票は今月22日に、簡易書留郵便で発送される予定だ。
~告示校662校等の嘆願添え 政府に「出口戦略」の提示求める~
菅義偉首相は先月28日の会見で、現在一時停止中の外国人留学生の受入れ再開を検討していく方針を示したが、これと前後して日本語教育推進議員連盟(河村建夫会長)が政府に対し行った入国制限緩和を求める要望書には、全国の日本語教育機関(告示校)の8割以上に相当する662校が名を連ねたことが分かった。目下、主要先進7か国(G7)の中で留学生の入国を原則拒否しているのは日本だけで、この間、水際対策を行いつつ留学生の受入れを再開した韓国などに日本留学希望者が流出しつつあることから、日本語議連では政府に対して早期の対応を求めている。
日本語議連が加藤勝信官房長官に提出した要望書では、日本政府から今後の留学生受入れ方針が何ら示されていないために、来日を目指して待機中の留学希望者らの「日本に対する期待は不信感に変化しつつある」と指摘。在籍学生数の激減に見舞われている日本語教育機関の経営が行き詰まることは、単に各機関の事業継続の問題ではなく、「多文化共生社会を担う日本語教育インフラの崩壊」を意味すると訴えた。同時に重要な外国人人材の卵が他国へ流れてしまうことは、人口減社会である日本の将来にとって様々な分野で大きな社会的損失になると警鐘を鳴らしている。
その上で日本語議連では、「入国制限早期緩和」と、「Withコロナ下で安定的に留学生の受入れが可能なスキームの確立」を要望した。
具体的には、まず在留資格認定証明書が交付されていても入国できず本国で待機中の学生らを念頭に、一層の安心・安全の条件の下で積極的に受入れを進めるべきとして、▶受入れ緩和やビザ発行条件に、ワクチン接種と陰性証明を必須とする、▶ワクチン外交の一環として留学生や日本で就職希望の学生に、在外公館でのワクチン接種を可能にする、などを提案。日本にとっての留学生の重要性に鑑み、早期の入国制限緩和とそこに向けた出口戦略を示すよう政府に求めている。
同時に他国の状況なども参考にしながら、感染拡大防止と両立できる受入れスキームとロードマップを、日本語教育機関等と協力しながら早期に確立することも要望した。
これに先立って、日本語教育機関6団体が呼び掛けていた嘆願書には全国の告示校662校が実名で賛同しており、日本語議連による加藤官房長官への要望書には、各教育機関のリストが添えられている。なお要望書にはこの他に、専門学校ら数校も賛同した。
★私大連は私費留学生の入国緩和を文科省に要望
一方、日本私立大学連盟(私大連)は、私費留学生等の入国緩和を求める要望書を、文部科学省に提出した。要望書では日本への留学を希望する世界の学生がその選択を諦めざるを得ない状況になっているとした上で、入国制限の更なる継続は、日本への留学機運を削ぐだけでなく、すでに入国した学生の他国への転学や今後の志願者減少をもたらしかねず、大学や日本全体にとり大きなダメージになると指摘。すでに入国が可能となっている国費留学生だけでなく、私費留学生についても入国制限を緩和するよう求めている。私大連によると目下、国費留学生の割合は留学生全体の3%に過ぎず、私費留学生が実数にして30万人近くと96%を占める。
要望書は同様に交換留学生の扱いにも言及し、コロナ禍前まで受入れと派遣の両面で私立大学が主要な役割を担ってきた状況を踏まえ、中長期にわたる交換留学生は不要不急の短期渡航とは区別し、受入れを可能とするよう要望した。
私大連では、文科省を始めとして、留学生の入国・在留を所管する法務省や外務省にも私立大学の状況を理解してもらえるよう、要望を行う予定だとしている。
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