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2023-05-15 13:46:00

 

G7の教育大臣会合が512日から14日まで富山市と金沢市で開催された。コロナ禍の影響を踏まえた今後の教育のあり方が中心テーマとなり、持続可能な社会を創造できる人材の育成や質の高い教育へのアクセス確保について議論が行われた。

 

会議後に採択された「富山・金沢宣言」では、今後取り組む四大施策の一つとして、初等・中等・高等教育と職業教育におけるG7各国間の国際交流をコロナ禍前の水準に戻し、それ以上の拡大を図っていくことを明記。「留学生の交流や教育・研究における国際頭脳循環を促進することを目指す」と謳った。

 

具体的には▶大学間連携、▶留学プログラムやICTを活用した交流の促進、▶高等教育機関同士の国境を超えた学習コンテンツのオンライン共有、等を挙げた。一方で対面による教育や学習が重要であるとして、コロナ禍の下で盛んになったオンライン学習については、対面教育・学習に代替するものではないとした。

 

また宣言では「より早い教育段階からの人材交流の促進」が異文化間に関する能力を身につけるのに有益であり、G7各国に止まらず、世界全体においてグローバル対応力や異文化の人々との協働が可能な人材の育成につながるとした。

 

このほか「富山・金沢宣言」では、生成AIを含めたデジタル技術の進展が教育に与える影響と課題、グリーン・テクノロジーを始めとした成長分野における学習者のスキル向上など、幅広いテーマに国際社会の取り組みを促した。

 

★「日本語教育機関の認定等に関する法律案」が衆院で可決

 

日本語教育機関の新たな認定制度や日本語教員資格の創設を柱とする「日本語教育機関の認定等に関する法律案」が、512日の衆議院本会議において採決され、賛成多数で可決した。同法案は閣議決定を踏まえ内閣提出法案として通常国会に提出後、審議を経て、510日に文部科学部会で承認されていた。今後は、参議院に審議の舞台が移る。

 

政府は法案審議が順調に進み会期内に成立すれば、来年41日より新たな制度を施行する予定だ。

 

※入管法等改正案も参議院で審議始まる

 

また同じく通常国会に提出されていた入管法等改正案も9日の衆議院本会議で可決され、12日からは参議院での審議が始まった。出入国在留管理庁は同法案が保護すべき者の確実な保護や、送還忌避・長期収容をめぐる諸問題の解決に必要としているが、野党や弁護士団体などの間では独立した難民等保護委員会の設置を含む対案を提出する動きが出ている。

 

齋藤健法務大臣は12日の定例会見で、令和3年末の数値として「送還忌避者3224名の約35%が刑事事件で有事判決を受けている」と述べ、早期の法整備の必要性を訴えた。

 

※「技能実習制度の廃止」含む中間報告書に法相「大変重要な提案」

 

一方、技能実習・特定技能制度に関する有識者会議が、現行の技能実習制度の廃止と新制度の創設を盛り込んだ中間報告書を提出したことについて齋藤大臣は、「解決の方向性について大変重要なご提案を頂いた。議論を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら政府全体としてしっかりと検討を行って参りたい」と語った。

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2023-05-12 11:25:00

 

日本語教育に関する新たな制度の創設を盛り込んだ「日本語教育機関の認定等に関する法律案」が、510日の衆議院文部科学部会において採決され賛成多数で可決した。内閣府関係者によると、法案は本日(12日)午後1時に開かれる衆議院本会議の議事日程に入っており、順調に進めば採決が行われる見通しだ。

 

同法案には日本語教育機関の内、一定の要件を満たすものを「認定日本語教育機関」として認定することや、同機関において日本語教育を行う者の国家資格を定めるなどの内容を盛り込んでいる。421日の同部会で永岡桂子文部科学大臣による趣旨説明が行われ、委員会で審議されてきた。

 

※「外国人に対する日本語教育」事務が文化庁から文科省へ移管

 

 「日本語教育機関の認定等に関する法律案」では、関連する項目として文部科学省設置法(第6条)を一部改正することも謳われている。具体的には、文科省の所掌事務として定められているものの内、「外国人に対する日本語教育に関すること(外交政策に係るものを除く)」を文化庁の事務から削るとしていて、法案の成立後は、外国人向けの日本語教育に関する所管が、文化庁から文部科学省へと正式に移管されるとみられる。

 

制度運営の面でも、「認定日本語教育機関」は文部科学大臣の認定を、また日本教員試験に合格し実践研修を修了した「登録日本語教員」は文部科学大臣の登録を、それぞれ受ける必要がある。永岡大臣はこのほか、文科大臣の権限として、日本語教育機関の質を担保するための報告聴取・勧告や、認定基準に関する法務大臣との協議も挙げている。

 

政府は「外国人との共生社会」の実現に向けた対応策で、外国人が必要な日本語を習得するための環境整備を重視しており、日本語教育全般を文科省が司る方向性が鮮明になりそうだ。

 

 

2023-05-10 12:55:00

 

202212月に国内外で実施された日本語能力試験(JLPT)の全体的な結果が判明した。実施元の日本国際教育支援協会と国際交流基金によれば、最終的な受験者数は国内が19150人、海外が241299人の総計431449人だった。比較対象で前年となる202112月試験(348992人)との対比でみると、実数で約82千人、率にして23.6%増えている。試験地が異なるので単純な比較はできないが、20226月試験(365505人)と比べても6万人強のプラス。JLPTで試験1回あたりの受験者総数が40万人を超えたのは、コロナ禍以降初めてとなる。

 

レベル別で難易度が最も高いN1は国内受験者46725人の内、認定者は12110人で認定率25.9%、海外受験者は33793人中、認定者が12672人で認定率37.5%だった。同様にN2に関しても、海外受験者の認定率(42.3%)が国内受験者(26.4%)を大きく上回っている。

 

N1受験者は韓国が最多、中国は試験中止の影響で受験者18千人止まり

 

また海外の実施国(地域)別状況をみると、最も受験者数が多かったのはミャンマーの45778人で、これに台湾(33272人)、韓国(28626人)、ベトナム(24612人)が続く。この内ミャンマーはN1N2の受験者を合わせても5%程度で、大半がN4の受験者だ。N1受験者の数だけを見ると韓国が1165人で最も多く、台湾が8713人でこれに次ぐ。

一方で例年、最大規模の受験者数を擁する中国は、昨年12月試験が新型コロナの感染拡大により多数の会場で中止された影響で、香港・マカオを含め18583人の受験に止まった。中国内における試験都市別の受験者数は、上海市が7333人で最も多く、香港(6631人)、寧波市(2223人)、福州市(1322人)、厦門市(623人)、マカオ(451人)の順だった。レベル別では、中国内受験者の3割近くにあたる5326人がN1を受験しており、N25904人)も合わせると6割に達する。

 

これらのほか、アジアではスリランカ(13356人)、インドネシア(12974人)、タイ(12601人)の各国が、受験者数で1万人超となっている。欧米諸国では、米国が4796人で最も多かった。

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2023-05-09 12:59:00

 

 58日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に変更されたことを受け、コロナ禍における入国管理政策も大きな区切りを迎えた。出入国在留管理庁は8日、留学生や日本語教育機関に対しコロナ禍の下実施してきた一連の特例的な取扱いを終了すると発表した。

 

入管庁では一時、コロナ感染の拡大により留学生や留学予定者の母国との往来が困難になった状況を受けて、帰国困難者に対する在留資格上の配慮や、日本語教育機関における在籍期間の延長、在留資格認定証明書の有効期限延長など様々な取組を行ってきた。これらの内、就職内定者が就労を開始するまでの間に許可される「特定活動」について、コロナ禍の下では必要となる期間に応じ在留期間更新が認められてきたが、今年51日以降に就労を開始する場合には、内定後1年を超えているか又は卒業後16か月を超えている場合には、原則として就労への在留期間更新が認められなくなるという。これ以外の特例措置は、昨年度までにほぼ運用が終了していて、今回の発表により入管審査は通常の形へと戻ることになる。

 

★全世界向けの「感染症危険情報」を全面解除

 

一方、外務省は58日付けで、全世界に発出していた新型コロナウイルスに関する「感染症危険情報」を全面的に解除した。5日に世界保健機構(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を解除したことなどを踏まえた措置。

 

感染症危険情報は新型コロナやSARSなどリスクの高い感染症に関し、渡航や滞在に際し注意を要する国・地域に対して発出される。危険情報は4段階に分かれ、レベル1は最も低いレベルだ。コロナ禍の期間中、政府は感染状況に応じて危険情報のレベルを段階的に引き上げ、一時はレベル3(渡航中止勧告)まで至ったが、昨年10月に当時のレベル2からレベル1へと引き下げられていた。

 

今回の全面的な解除により、コロナ禍は制度的な終息へと近付いた形だが、外務省では今回の見直しとは別途、サル痘に関する感染症危険情報を発出しているとして、引き続き警戒を呼び掛けている。

 

★日韓会談で首相「日韓の将来を担う青年交流を強化」

 

岸田文雄首相は7日から8日にかけて韓国を訪問し、ユン・ソンニョル大統領と日韓首脳会談を行った。会談後の共同記者会見で岸田首相は、日韓関係の将来を担う青年たちの交流を強化する考えを表明。対日理解促進交流プログラム(JENESYS)による韓国との対面交流を全面的に再開し、また交流人数を昨年度比で倍増する方針をユン大統領に伝えた。

 

日韓関係は今年初めのユン大統領の就任後、急速に改善の機運が高まっており、双方が交互に相手国を訪問する「シャトル外交」の枠組みが復活している。岸田首相は月内に予定されているG7広島サミットにユン大統領を招待していて、同サミットで話し合われる各国間の海外留学・青少年交流促進の議題ともリンクする可能性がありそうだ。

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2023-05-08 13:02:00

 

政府はモンゴルの若手行政官が、日本の大学院で学ぶ取り組みを来年度も支援する。途上国向けの無償資金協力のスキームである「人材育成奨学計画(JDS)」を活用し、令和6年度中に最大16名を受入れる。51日にウランバートルで、秋本真利外務大臣政務官が、ボルド・ジャブフラン・モンゴル大蔵大臣との間で交換公文に署名した。供与限度額は26600万円。

 

日本外務省によると、モンゴルでは産業構造の多角化など新たな開発課題が山積しており、これらを担う現地政府機関では良質な人材の確保が急務となっている。政府は留学生の受入れを通じて現地人材の育成を支援し、双方の相互理解や友好関係の深化につなげたい考えだ。

 

JDSの事業主体である独立行政法人国際協力機構(JICA)によれば、モンゴルからの同事業を通じた留学生受入れは2002年から始まっており、2022年までにのべ400名が日本の大学で学んだ実績を有する。直近2022年の受入れは修士課程が15人、博士課程が1人だった。

 

なお、20225月時点において日本国内で学ぶモンゴル出身の留学生は、私費留学生を含めた総数で2941人。内訳は大学、専門学校等の高等教育機関が1982人、日本語教育機関が959人で、在日留学生の出身国・地域別では11位となっている。

 

政府はモンゴルを国際教育面における有力なパートナーとして重視しており、日本の高専制度を海外展開する重点3か国の一つに位置付けている。3か国からは日本への留学生を拡充しようとする取組もあり、今後は留学予定者向けの日本語教育体制の強化も課題となりそうだ。

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