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2023-08-24 15:47:00

 

 先の通常国会で成立した「日本語教育機関認定法」に盛り込まれ、来年度からのスタートが見込まれる「認定日本語教育機関」に関して、国が制定を目指す認定基準の概要が明らかになった。文化庁国語科がこのほど、関連する省令や告示等の案を示し、同案はすでに民間からの意見聴取手続きに入っている。

 

新たな基準案では留学、就労、生活の分野ごとに、異なる基準に基づき審査を行うとしていて、それぞれの概要を定めている。この内、留学生向けの日本語教育を担う「留学」関連でも、教職員の体制や日本語教育課程等について、「認定日本語教育機関」として認める上での具体的な基準案が示された。

 

※「留学」分野の認定日本語教育機関 具体的な基準案は?

 

まず教員体制では、「認定日本語教育機関」の教員数を現行の法務省告示基準と同じく、課程の収容定員20人につき1人以上(各機関の最低数3人)、「本務等教員」を同40人につき1人以上(同、最低数2人)と定めた。ここでいう「本務等教員」とは、従来の専任教員に相当するが、新基準では、日本語教育課程の編成や認定日本語教育機関の運営について責任を担う専任教員か、又は本務として同等以上の業務を担当する教員と規定している。具体的にどの教員が「本務等教員」に該当するかは、業務内容等から総合的に判断される。学校の校舎面積に関する基準は現行ルールと同じだが、各校舎間の距離を概ね800m以内、かつ3か所以内と規定した。

 

一方、日本語教育課程の中身については、各課程が目指す「留学」の目的に沿った日本語能力を習得させることを目指し、原則として日本語教育の共通参照枠(CEFRB2以上の課程を1つ以上置くことや、修業期間を1年以上(要件を満たす場合は6か月以上も可)とすることを定めた。同時に日本語課程全体の中で、「聞く」、「読む」、「話す(会話)」、「話す(発表)」、「書く」のすべてを盛り込み、授業はこうした担当能力のある教員が、適切な教材を用いて行うとした。

 

授業時間は1週間当たり20単位時間以上、年間760単位時間以上(1単位時間=45分以上)としており、いずれも現行の法務省告示基準と変わらない。ただ、修了要件として、所定の授業科目を履修させるだけでなく、「試験の合格等の適切な要件」を設けることも求めている。加えて、各機関が認定基準の教育要件を満たすかどうかは、今後策定される「コアカリキュラム」を参照の上で判断するとしていて、よりハードルが高まりそうだ。

 

コロナ禍で需要が高まった遠隔授業に関しては、感染症の拡大等により対面授業が困難な場合には、臨時的に実施できることが明文化された。

 

また「認定日本語教育機関」の収容人数に関しては、現行の法務省告示機関に「現有の収容定員数」を認めるとしたほか、新規の教育機関は当初100人以下とし、以後は要件を満たせば、隔年ごとに15倍まで増員を可能とした。(要件は、実員が定員の8割以上いることや生徒の在留継続に必要な支援体制が適切であること等)。現在は増員申請に際し、「過去1年以内に増員を行っていないこと」が要件になっているが、新基準では増員が最速で2年に1回となる。

各機関は、「1年課程」「2年課程」など設置する課程ごとに、入国時点で各生徒がどの課程に入るかを確定させる必要がある。また認定基準上の入学時期は、これまでの「年2度以内(やむを得ない場合は年4度以内)」が、「年4回以内」となる。新規校等の入学時期が、広がることになりそうだ。

 

基準案では、「認定日本語教育機関」に対し、毎年1回以上の自己点検・評価のほか、文部科学大臣への定期報告を行う必要があるとした。報告内容には卒業・退学者、進学・就職者の状況等のほか、生徒の授業出席率や資格外活動の状況など、現在、法務省告示の日本語教育機関が報告を求められている内容も引き続き含まれている。

 

また焦点となっていた「認定日本語教育機関」で日本語教育を担当する教員の要件について、基準案は令和113月末まで5年間の「経過措置期間」を設定。新設される「登録日本語教員」の資格がない場合でも、所定の要件をクリアしていれば、当面は引き続き教員として勤務できるとした。

この具体的な要件としては、①日本語教員養成の420単位時間以上修了か日本語教育に関する大学の単位26単位以上を修得し、かつ学士・修士・博士等の学位を有する者、②日本語教育能力検定試験の合格者、③平成3141日以降に、法務省告示機関、大学または文科大臣が別途指定の日本語教育機関で日本語教育に1年以上従事した経験者、のいずれかに該当する必要がある。

 

※大学等の日本語課程についても教員数等を規定

 

なお日本語教育機関の内、大学や専修学校等(日本語教育以外の課程を設置している教育機関)が設置する日本語課程の教員数について、新基準案では「日本語教育を実施するための基本組織を置くこと」を求めている。教員数を収容定員40人につき1人以上とするルールは一般の日本語教育機関と変わらないが、日本語教育課程以外の教員が運営の責任を担う場合には、収容定員40人以下の場合の最低数を1人(通常は2人)でも可とした。また最低授業時数(年間760単位時間)についても、大学や専門学校の場合、日本語教育課程以外の科目を履修させることにより、160単位時限を上限に減らすことができるとした。収容定員に関しては、一定の確認を経た大学に対し「実績を踏まえた定員数」を認めるとしている。

 

 今回の基準案は現在、民間からの意見(パブリックコメント)公募を行っており、920日が締め切りとなる。

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2023-08-22 15:19:00

 

新たに日本語教育機関として法務省に告示され、今秋より正式に開校する学校が、全国で少なくとも12校に上ることが分かった。所在地別の内訳は東京都が4校で最も多く、愛知県2校のほか、茨城、京都、大阪、奈良、岡山、長崎の各府県でそれぞれ1校ずつとなっている。

 

『留学生新聞』が関係先から独自に得た情報を総合すると、これらの内、ゼロベースで新設される学校は3分の1程度とみられる。東京都の新たな告示校中、少なくとも2校は、老舗校が他の既存校に事業を売却・譲渡したことに伴うもので、両校ともに10月以降は新たな校名で再スタートを切る。愛知県と大阪府の各1校(計2校)は、日本語教育機関をもつ既存校による系列・姉妹校の立ち上げとなる。また西日本エリアでは、以前告示されていた専門学校等2校の日本語科が、今回再告示された。

 

これらのほか東京都では既存校の校名変更が2校あり、うち1校は専門学校の系列校が東京都から愛知県へ移転するのに伴う変更となる。

 

上記とは別に、今年4月には全国で19校が新たに開校しており(名称変更等含む)、2023年度中に新設の日本語教育機関は少なくとものべ30校強に上る見通しだ。

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2023-08-18 15:49:00

 日本語教育振興協会(日振協)は817日、2023年の「日本留学AWARDS」入賞校を発表した。同賞は毎年、同協会加盟校を対象に、「日本語教育機関の教職員が選ぶ留学生に勧めたい進学先」をウェブアンケートによる投票で選出。国公立大学、私立大学、専門学校の各部門で、東日本と西日本に分け各5校ずつが選ばれている。

 

 

 今年は私立大学文科系部門で柘植大学、明治大学、早稲田大学等が、同理工系部門では足利大学、東京電機大学、中部大学等が、また専門学校では日本電子専門学校、日本工学院専門学校等が、それぞれ入賞した。

 

 協会では91日にオンライン配信で各部門の大賞を発表し、表彰式を行う。

 

★家事支援外国人の在留期間 コロナ禍の影響踏まえ8年に延長へ

 

国が国家戦略特区の枠組みで実施している「家事支援外国人」の受入れ事業に関して、内閣府は、対象者が日本に滞在できる期間を大幅に延長する方向で検討を進めている。この事業は炊事や洗濯、掃除、児童の世話等、一般家庭に対する家事支援を、特区内の特定機関(受入れ企業)と雇用契約を結ぶ外国人材が来日し行えるようにしているもの。対象者は、本国で1年以上の実務経験、及び日本語能力試験N4以上と同等の日本語能力を持ち、来日前に一定の研修を受けることが必要だ。従来、同事業で活動できる期間は通算5年までとされていたが、コロナ禍の期間中、新たな受入れが進まなかった影響で、入国後24年目の人材が不足する状況にあるという。

 

 これを踏まえ内閣府では、コロナ禍の拡大により一時日本への入国が禁止される以前から同事業に携わり現在も雇用されている外国人か、雇用期間が終了し出国準備中の外国人について、同活動が可能な期間を通算8年に延長する方針だ。ただ現在、家事支援サービスの中核を担い、後輩指導などを行う指導的な立場にあることが条件となる。

 

 新たなルールは、パブリックコメント等の手続きを経て、今年10月にも適用される見通しだ。

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2023-08-08 13:57:00

 

 

日本で生まれ育ち学校教育を受けながら、在留資格を有していない18歳未満の外国籍の子女について、政府は先週、在留特別許可を与える方針を正式に表明したが、これに関連して齋藤健法務大臣は会見で、該当者に付与する在留資格は基本的に「留学」を想定していることを明らかにした。

 

この問題をめぐっては、先の国会で成立した改正入管法の審議の過程で、在留資格のない送還忌避者の子女をどう扱うのかが焦点の一つとなっていた。齋藤大臣は「改正(入管)法の施行時までに我が国で出生し、小学校、中学校又は高校で学校教育を受けており、引き続きわが国で生活することを真に希望している」と認められる場合、家族一体で日本社会との結びつきを検討した上で、在留特別許可を行う方針を表明した。出入国在留管理庁によると、目下該当する子女は201人だが、この内少なくとも7割程度が対象となる見通し。改正法の施行時点で学齢期に達している子女を基準とすれば、同比率は8割程度に達するという。対象者の在留資格は本人の身分や日本で行おうとする活動等に応じて個別に決定されるとしつつ、「基本的には(教育を受けている)子どもについては『留学』の在留資格を付与することになるのではないかなという想定をしている」と述べた。

 

今措置の実施においては、「留学」生として日本に滞在することになる子女のみに在留特別許可を与えると、生活が立ち行かなくなることを考慮し、本人を監督養育する親についても、就労可能な「特定活動」の在留資格を付与する基本方針が決まった。一方で同措置をめぐって齋藤大臣は、親の側に「看過しがたい消極事由がある場合、出入国管理行政に与える支障も大きい」として、在留特別許可を出せない場合もあると述べた。具体的に想定されるケースとしては、親が①他人名義の旅券を行使し入国、②偽装結婚による入国や仲介、③不法入国・不法上陸、④偽造在留カードの作成・売買、⑤薬物使用・売春等、反社会性の強い犯罪行為に関与したとか、⑥懲役1年を超える実刑判決を受けている、等の例を挙げた。

 

なお、齋藤大臣は対象となる子女の内、日本で出生後に小中学校等で教育を受けすでに成人している子女に対しては、同様に在留許可を出す方向で考えていきたいとしたほか、国内では出生していない対象者の子女94人についても、日本国内で教育を受けている点などを考慮の上、個別事案ごとに判断していく考えを述べている

 

今措置の実施時期については、改正入管法の施行を待たず、許可が可能な案件から順次、許否の判断を行っていく意向も示した。

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2023-08-04 13:58:00

 

~文化庁が今年度から予算化、今月末まで公募~

 

文化庁は大学・大学院等を拠点に、各地域における日本語教師の養成・研修を行う新たな事業を近く開始する。先の国会で日本語教育機関の認定制度と日本語教師の国家資格(登録日本語教員)創設を盛り込んだ法案が成立したことを踏まえ、大学のほか、日本語教育機関や地方自治体、民間企業等が共に参加するネットワークを構築し、各地域で日本語教育を担う高度人材の育成に向けた基盤整備を図る。

 

このプロジェクトは「日本語教師養成・研修推進拠点整備事業」で、今年度、新規で6千万円の予算が計上されている。文化庁による類似のカリキュラム開発事業が昨年度終了したことを受けたもので、今回は令和9年度までの5か年度事業だが、毎年度ごとに各事業の継続の可否が判断される。初年度は全国6ブロックで、6か所の拠点を整備する計画だ。

 

同事業では、大学・大学院等が中核となり、日本語教育機関、地方自治体、経済団体等を構成メンバーに「日本語教師養成実施機関連絡協議会」を設置する取組が対象となる。コンソーシアム組織を設置するほかに、▶日本語教師・教育者に対する教師養成・実践研修の実施、▶地域におけるニーズ把握を目的とした日本語教師・教育者の状況調査の実施、の2点を必ず企画に盛り込む必要がある。これらのほか、大学等との単位互換を含む提携や、登録日本語教員の雇用に繋がっていくような取組を重視するとしている。

 

事業に応募が可能なのは、①国立大学法人、公立大学法人又は学校法人、②公益財団法人又は公益社団法人の法人格を有する団体。日本語教師養成課程を実施する大学以外の団体が応募する場合には、所定の教育内容を踏まえた養成・研修を行っていることを確認できる書類が別途必要となる。

 

文化庁では今月初めから同事業の公募を開始した。応募期限は83117時まで(電子メール、必着)。

 

★外国人との共生社会実現は「ロードマップ」で対応~法相

 

 齋藤健法務大臣は81日の会見で、外国人との共生社会の実現に向けた総合的な法整備の必要性について問われた際、昨年6月に閣僚会議で決定済みの「ロードマップ」に基づき、外国人の受入れ環境を整備していくと述べて、別建ての法律を作ることは想定していないことを示唆した。

同ロードマップにおいては、在留資格をもつ外国人を社会の構成員として受入れていくという視点に立ち、日本語教育や情報発信・相談体制を強化していく方向性が打ち出されている。

 

 同時に齊藤大臣は「ルールに違反する者に対しては厳正に対応していく」ことが必要だとして、前国会で成立した改正入管難民法をその重要な一歩に位置付けた。

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